
今回は、検索広告についてです。
この記事でわかること
- 検索広告とブランディング効果
- 新しさの2つのポイント (潜在ニーズと態度変容)
- 4年前の取り組みが花開く
Google のオウンドメディア Think with Google で紹介されていた事例をご紹介します。
後半では、この取り組みは個人的にも感慨深いものがあり、思ったことをも併せて書いています。
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考になれば嬉しいです。
検索広告とブランディング効果
Think with Google で以下の記事を読みました。
検索広告の新たな可能性 - 目標インプレッション シェアの導入で潜在顧客の態度変容へ:トヨタ自動車|Think with Google (2020年7月)
この事例での検索広告の使い方を一言で言えば、検索広告をブランディング効果を目的に使っていることです。
新しさの二つのポイント
一般的には、検索広告は顕在ニーズの刈り取りに使われます。
具体的な検索キーワードに対して検索広告を表示させ、クリックしてもらいランディングページ (LP) への誘導を狙います。LP で何かしらのコンバージョン (CV) を発生させることを目的に検索広告を使います。
一方、今回の Think with Google の記事で紹介されている例は、顕在ニーズではなく潜在ニーズ、その場での CV ではなく態度変容を狙っています。
この二つ、つまり 「潜在ニーズ」 と 「態度変容 (ブランディング効果) 」 が新しさのポイントです。
前者の潜在ニーズとは一般的なキーワード、例えば 「SUV かっこいい」 です。もし従来通りの顕在ニーズであれば、具体的な社名やメーカー名に対して検索広告を表示させます (例: 「トヨタ C-HR」 や 「C-HR 価格」 ) 。
二つ目の新しさである態度変容は、広告効果をクリックではなく、認知、興味、検討、購入意向の向上を目的にします。
ブランディング効果への運用方法と結果
実現するための検索広告の運用も興味深かったです。
ご紹介しているトヨタの事例では通常のクリック数最大化ではなく、インプレッションシェアの最大化を設定したようです。
目標インプレッションシェアで運用する意味は、予算内で最大限の表示回数を目指します。
Think with Google の記事によれば、期待したブランディング効果も見られました。具体的には第一想起、純粋想起、試乗意向、購入意向で、目標インプレッションシェア運用の広告接触者の方が高かったようです。

引用: Think with Google
4年前の取り組みが花開く
今回ご紹介している事例が個人的にも印象的だったのは、トヨタのような企業がこのアプローチを採用したことです。
というのは、私が前職で Google だったのですが、Google にいた当時2016年にこの取り組みを私自身が社内でリードしていた立場だったからです。
当時は、今思い返せばまだ取り組みとしては早すぎました。
検索広告をブランディング目的で使う考え方に賛同するクライアントはいましたが、広く普及するには至っていませんでした。目標インプレッションシェアから配信する仕組みが技術的にも実現できていなく、実務運用面にも課題がありました。
理想と現実の間にいました。
そう考えると、こうして4年後に実を結び、事例として Think with Google で紹介されるのは感慨深いです。
ちなみに当時の取り組みは、私も Think with Google で発信をしていました。
まだ記事が残っていたので、参考までにリンクをつけておきます。手前味噌ですが、考えていたこと・やろうとしていたことは今回ご紹介した最新事例とまさに同じです。
モバイルマーケティング第 4 回 : モバイル検索広告におけるブランディング効果への期待|Think with Google (2016年11月)
まとめ
今回は、検索広告をブランディング効果に使う事例をご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
最後に今回の記事のまとめです。
検索広告の事例
Think with Google 掲載のトヨタの事例は、検索広告をブランディング効果を目的に使った。事例のポイントは、「潜在ニーズ」 と 「態度変容 (ブランディング効果) 」 で検索広告を活用。通常の検索広告は顕在ニーズに対してコンバージョン。
ブランディング効果への運用方法と結果
運用は通常のクリック数最大化ではなく、目標インプレッションシェアから予算内で表示回数の最大化。
トヨタの事例ではブランディング効果 (第一想起, 純粋想起, 試乗意向, 購入意向) があった。
4年前の取り組みが花開く
Google にいた2016年にこの取り組みを社内でリードしていた。当時は技術面に課題があり取り組みとしては早かった。4年後に実を結び、Think with Google で紹介されたのは感慨深い。