
今回は書評です。
終の盟約 (楡周平) という本をご紹介します。
この記事で分かること
- 本書の概要
- 認知症の自分ごと化
- 自分の最期の迎え方 (認知症シナリオの追加)
小説を通じて老いとは何か、死生観を考えさせられました。
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、この本も手にとって読んでみてください。
この本に書かれていること
以下はこの本の内容紹介からの引用です。
認知症になった親が死を望んでいたらあなたはどうしますか。
ある晩、内科医の輝彦は、妻・慶子の絶叫で跳ね起きた。父の久が慶子の入浴を覗いていたというのだ。久の部屋へ行くと、妻に似た裸婦と男女の性交が描かれたカンバスで埋め尽くされていた。
久が認知症だと確信した輝彦は、久が残した事前指示書 「認知症になったら専門の病院に入院させる。延命治療の類も一切拒否する」 に従い、父の旧友が経営する病院に入院させることに。弁護士をしている弟の真也にも、事前指示書の存在を伝えた。父の長い介護生活を覚悟した輝彦だったが、ほどなくして久は突然死する。死因は心不全。しかし、あまりに急な久の死に、疑惑を抱く者もいて――。
認知症の父の突然死。医師同士による、ある密約。医師の兄と、弁護士の弟は、真相にたどり着けるのか。楡周平史上、最大の問題作。次に挑むテーマは<安楽死>。
考えさせられたテーマ
小説を読んで考えさせられたのは、次のようなことでした。
考えさせられたテーマ
- 親や家族、自分が認知症になったとしたら (具体的な認知症の描写から)
- 安楽死の是非
- 自分はどう最期を迎えたいか
認知症の自分ごと化
この小説のストーリーのはじまりは、主人公の父親が認知症を患うところからです。
認知症と言っても症状の重さは様々です。物忘れをしてしまい多少の日常生活への不便から、それまでの人間関係が成り立たなくなるものまであります。小説のケースでは後者でした。父親は基本的な会話すらもできなくなり、自分が自分ではなくなってしまうような認知症でした。
考えさせられたのは親など自分の大切な人たちが、もしそうなった時です。何よりも自分が将来に重い認知症にかかる可能性です。自分のこととして考えるととても怖くなりました。
小説で書かれていたのは、自分が認知症を患った時には迷わず死なせて欲しいと言う意思がありました。自らの尊厳を保てないのであれば生きる意味がない、そうまでして周りに迷惑をかけてまで長生きをしたくないという切実な気持ちです。
自分の最期の迎え方
もう一つ読んで考えさせられたのは、自分の人生の終着点についてでした。
人生の終着点
- 自分はどこに向かおうとしているのか
- どんなパターン (シナリオ) があるか
- その中で理想とする最期は何か
この本を読んで追加されたのは、自分が将来重い認知症になるシナリオです。
できれば避けたいし、そうならないために日常の生活習慣をつくっていきたいです。しかし 100% 防げるとは思えません。
であればシナリオが現実化した時に、またはなりそうな兆候が出た時のために今からどんな打ち手をしておくかです。自分のことだけではなく、家族との向き合い方も含めてです。
まとめ
今回は 終の盟約 という本をご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
最後に今回の記事のまとめです。
考えさせられたテーマ
- 親や家族、自分が認知症になったとしたら (具体的な認知症の描写から)
- 安楽死の是非
- 自分はどう最期を迎えたいか
本書からの問いかけ
- 読者への問いかけは、認知症になった親が死を望んでいたらどうするか?
- 小説テーマは安楽死。小説を通じて老いとは何か、死生観を問われる
終の盟約 (楡周平)