今回はプロダクト開発です。リーンスタートアップと MVP を取り上げます。
✓ この記事でわかること
- リーンスタートアップとは
- まずは MVP をつくる
- MVP と仮説
- MVP の3つのポイント
ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。
リーンスタートアップ
プロダクト開発のアプローチに 「リーンスタートアップ」 があります。
リーンスタートアップは Google などで取り入れられている開発手法です。リーンスタートアップの Lean は、「俊敏な」 や 「無駄のない」 という意味です。
リーンスタートアップでは仮説立案と検証のサイクルを小さく早く回します。プロトタイプを作りテストを繰り返し、ビジネスアイデアをブラッシュアップしていきます。
細かく刻むように進むので、もしアプローチが間違っていてもすぐに戻れます。大きな手戻りがなく、無駄が発生しません。
リーンスタートアップのサイクル
リーンスタートアップの特徴は、次の6ステップのサイクルを回します。
出典: KBP Media
✓ リーンスタートアップのサイクル
- Idea (アイデアを得る)
- Build (構築する)
- Product (プロダクトを作る)
- Measure (測定する)
- Data (データを得る)
- Learn (学ぶ)
アイデアや仮説が生まれたら、まずはプロトタイプで良いので実装してプロダクトにします。
プロダクトをテストしデータを得ます。データとは例えばプロダクトテスト対象者からのフィードバックです。フィードバックから学び、アイデアや仮説に反映します。
以上を繰り返していくのがリーンスタートアップのサイクルです。
ポイントはアイデアを得たらプロダクトという形にし、素早く試すことです。
机上の議論ばかりではなく、まずは手を動かしプロダクトというアイデアの具現化をします。やってみて初めてわかることがあり、そこから学びを得るのです。
リーンスタートアップについては、リーン・スタートアップ - ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす という本に詳しく書かれています。もしよかったらぜひ読んでみてください。
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まずは MVP をつくる
リーンスタートアップのアプローチで鍵を握るのが MVP です。
MVP は Minimum Viable Product の略です。Minimum は 「最小限の」 、Viable は 「実行できる」 です。MVP は日本語では 「実用最小限の製品」 と訳されます。ただ、実務の場ではこの表現は使われず、MVP と呼びます。
プロダクト開発の初期段階では MVP をつくり、想定する顧客に使ってもらいテストをします。テストは仮説検証のためです。
開発初期の段階では、プロダクトアイデアはあくまで仮説です。仮説が正しいのかを検証するために MVP があります。
MVP は仮説検証の手段
MVP は仮説ありきです。大事なのは目指すつくりたいプロダクトがあり、最終ゴールから逆算して何の仮説を検証したいかが明確になっていることです。
例えば開発したいプロダクトが自動車だとします。この場合に NG な MVP と、良い MVP からの開発のイメージは次の絵のようなプロセスです。
絵の補足をすると、プロダクトアイデアのコアになる仮説は 「人や物を運べるニーズが想定顧客にあるだろう」 です。ここから MVP としてスケボーを作ってみて、仮説を検証するわけです。
ありがちなのは目指す作りたい自動車に対して、MVP はタイヤだけを作り込んでしまうことです。いかにタイヤが素晴らしくても、これだけでは 「人や物を運べるニーズが想定顧客にあるだろう」 という仮説は検証できません。
MVP は仮説があってこそで、仮説検証の手段です。
MVP のポイント
MVP のイメージで、わかりやすい絵をもう1つご紹介しますね。
MVP は 「Minimum + Viable」 の両方を満たす必要があるという絵です。
出典: Hacker Noon
この絵で最終的に作りたいプロダクトは、大勢の人を運ぶ船です (絵の右側の Maximum) 。ここから逆算をすると、MVP は人間が1人乗れるボートになります (絵の中央) 。決してネズミが乗るようなボートではないのです (絵の左) 。
以上から MVP つくるポイントは3つです。
✓ MVP のポイント
- 目指す最終形のプロダクトイメージからの逆算
- 今の開発ステージで優先的に検証すべき仮説の明確化
- 仮説が検証できる最小限の機能の実装
まとめ
今回はリーンスタートアップというプロダクト開発手法から、MVP を解説しました。
最後に記事のまとめです。
リーンスタートアップとは
- アイデアを得たらプロダクトという形にすること、そして素早く試す
- 実行をやりっ放しにせず振り返る。得られた経験や学びを抽象化する
- サイクルは1回まわして終わりではなく、学びで得られたアイデアを次にまた試す
MVP で仮説 (プロダクトアイデア) を検証する
- MVP とは 「実用最小限の製品」
- 開発初期の段階ではプロダクトアイデアはあくまで仮説
- 仮説検証のために MVP がある (MVP は手段)
MVP のポイント
- 目指す最終形のプロダクトイメージからの逆算
- 今の開発ステージで優先的に検証すべき仮説の明確化
- 仮説が検証できる最小限の機能の実装