今回はサービス開発です。Google にいた時の仕事のエピソードです。
✓ この記事でわかること
- 検索広告のブランディング効果とは
- 調査手法の開発プロセス (3つのステップ)
この記事で書いているのは、私が Google で働いていた時のサービス開発の話です。
当時はまだなかった、ある調査手法の開発エピソードです。
ぜひ最後まで読んでいただき、何か少しでも参考になればうれしいです。
記事の背景
まずは背景から共有させてください。
Google にいた時は私はマーケティング部門に所属していました。ポジションはマーケティングリサーチマネージャーです。
当時取り組んでいたテーマの1つが、検索広告のブランディング効果の可視化でした。
検索広告のブランディング効果
広告のブランディング効果とは、広告を見て商品・サービスを知ったり、興味を持つ、買いたいと思うような態度変容や行動変容です。
検索をしたユーザーに検索広告が表示され、仮にその場で検索広告がクリックされなくても、商品・サービスを新たに知ったり、いいなと思ってもらえれば検索広告にブランディング効果があるわけです。
まずは小さく始めることから
しかし、検索広告にブランディング効果があるかを調査手法が、そもそも確立していませんでした。
ないなら自分でつくってみようと思ったのが、開発の一歩目でした。
背景と問題意識、解決するためのコンセプト案をまとめ、調査手法イメージをスライドにまとめました。
ここでのポイントは 「小さく始める」 です。そもそもの問題意識やコンセプトアイデアの筋が良いかをスライドを使って検証しました (ペーパープロトタイプでの仮説検証) 。
ありもので調査を再現
スライドでのアイデア仮説の検証からニーズはありそうで、「これはいけそうだ」 という実感を得ました。
次にやったことは、すでにある調査ツールを使って検索広告調査を再現しました。既存ツールとは Google が提供していた Google Surveys というセルフアンケート調査です。
テストをなるべく実際の検索広告調査として再現するために、社内の営業メンバーを巻き込み協力してくれる広告主を探しました。
賛同してくれる広告主が見つかり、実際の商品から検索広告を作り調査案件を再現しました。企画、設計、調査、分析、レポートと1人で全部をやった経験も、後から役に立ちました。
広告主からの好評価とフィードバック
テスト調査結果は広告主に報告をしました。
これまでに誰もやったことがない調査でしたが、結果だけではなく開発した新しい手法も興味を持ってくれました。広告主からは 「この方法があれば、こんな活用方法もできるのでは」 とフィードバックをもらえたことも貴重でした。
1つ目の開発ステップで、スライドからのコンセプト検証をした時以上の手応えを得られました。
ただしこのやり方は既存の調査ツールを使った方法で、いわばパッチワーク的なアプローチです。調査としては十分に機能するものの、手作業での対応があり案件が増えた時に受けきれないと思いました。スケールへの課題感です。
調査会社との共同開発へ
そこで仕組みとしてさらに発展させるために、調査会社に声をかけて共同開発をすることにしました。
これまでの開発経緯、調査手法、テスト結果を共有をして、賛同してもらえました。
検索広告のブランディング効果を可視化する調査メニューを作り、調査会社の有償サービス化が実現しました。開発の過程で、テストに協力してくれる広告主を新たに募り、複数社での共同調査が実現しました。
それぞれの広告主には趣旨を説明し、使わせてもらった商品・サービスの検索広告からの結果を本当の調査案件のように報告をしました。調査手法とブランディング効果の結果を評価いただき、ブランディング広告を可視化する調査メニューが正式に始動しました。
なお、この調査手法を使った結果は Google のオウンドメディアである Think with Google で発表をしました。
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まとめ
今回は新しいサービス開発の具体例を、Google にいた時のエピソードでご紹介しました。
最後に記事のまとめです。
検索広告のブランディング効果
- 広告のブランディング効果とは、広告を見て商品・サービスを知ったり、興味を持つ、買いたいと思う態度変容や行動変容
- 検索をしたユーザーに検索広告が表示され、仮にその場で検索広告がクリックされなくても、商品・サービスを新たに知ったりいいなと思ってもらえれば、検索広告のブランディング効果がある
調査手法の開発プロセス (3つのステップ)
- 問題意識やコンセプトアイデアをスライドにまとめ (最初の MVP) 、ヒアリングからアイデア検証
- 既存調査ツールで検索広告のブランディング効果測定調査を再現 (2つ目の MVP) 。広告主から好評価とフィードバックを得た
- 調査会社と共同開発。複数社の広告主と調査を実施。ブランディング広告を可視化する調査メニューとして有償サービス化