今回はマーケティングです。
✓ この記事でわかること
- 男性化粧品アスタリフトメンの 「スターターキット」
- スターターキットのマーケティング解説
- マーケターが学べること (心理的ハードルの解消方法)
アスタリフトメンの初めての取り組みである 「スターターキット」 から、マーケティングや販売方法に学べることを解説しています。
具体的にはお客の 「買いにくさ」 という心理的ハードルを下げる方法についてです。
この記事を読んでいただきたいと思うのは、マーケティングや販売の仕事をされている方です。自社のマーケティングや販売方法のヒントになればと思います。
他には男性化粧品アスタリフトメンの初めての取り組みを知りたい、マーケティングに興味がある方にも何か参考になればうれしいです。
アスタリフトメンの 「スターターキット」
今回の記事で取り上げたいのは、男性化粧品のアスタリフトメンです。同ブランドが初心者向けとして 「スターターキット」 を開始しました (公式サイトはこちら) 。
出典: 富士フイルム
以下は日経新聞の記事からの引用です。
富士フイルムが男性用の化粧品事業に力を入れている。今春には主力の男性用スキンケアシリーズ 「アスタリフトメン」 について、小容量で初心者が気軽に試せるようにした 「スターターキット」 を発売した。
新型コロナウイルス感染拡大を受け、リモート会議などでの見栄えを意識した化粧品の需要を掘り起こす。
スターターキットは、2週間程度の利用を想定した入門用という位置づけです。
2種類あり、4商品 (美容液, 洗顔料, 化粧水, 乳液) の全てが試せる 「プレミアムケア」 (5500円) と、2商品をセットにした 「シンプルケア」 (4070円) です。
これまで小容量では旅行用のトラベルセットはありましたが、効果を試したい人向けのスターターキットは初めてとのことです。
スターターキットの役割
ではアスタリフトメンのスターターキットについて、マーケティングの視点で掘り下げてみます。
スターターキットは一言で表現すれば 「橋渡し的な役割」 を担います。
化粧品でよくある販売方法に 「試供品の無料配布」 があります。1回分の使用容量をサンプルとして提供し、実際の使い心地を試してもらいます。消費者がサンプルを使って自分に合った商品だと思えば、定価の本品を買ってもらうことを狙います。
アスタリフトメンのスターターキットはサンプルと本品のちょうど中間にある存在です。
サンプルとスターターキットの違いは、次のように整理できます。
✓ サンプルとスターターキットの違い
- サンプルは無料、スターターキットは有料 (5500円 or 4070円)
- 容量はサンプルが1回分、アスタリフトメンのスターターキットは2週間分
スターターキットは、1回使っただけでは実感しにくい肌への効果を確かめてもらう位置づけです。
また効果だけではなく、男性化粧品を初めて本格的に使う人にとっては、スキンケアを毎日やれるかどうかの習慣として定着するかもテストできます。
スターターキットが期待されていることは、定価の本品への購入につなげることです。この意味で 「橋渡し的な役割」 と表現しました。
買いにくさの解消
ここまでの内容を踏まえて、提供者側 (今回で言えば売り手である富士フイルム) にとっての意味と、買い手にとっての意味合いを整理してみましょう。
提供者にとっては 「本当に売りたい商品」 、つまりもっと値段の高い本品をいきなり売ろうとするのではなく、「売りやすい商品」 としてスターターキットを用意したということです。
買い手にとってはいきなり本品を買うのには心理的な抵抗があります。しかしスターターキットであれば、「2週間とりあえず試してみよう」 と思え、選びやすいです。購入への心理的ハードルが下がるわけです。
スターターキットから学べること
ではあらためて、アスタリフトメンのスターターキットから何が学べるでしょうか?
自社の商品・サービスの販売やマーケティングにおいて、次のことを考えてみるといいです。
✓ スターターキットから学べること
- 商品を買うのにお客は心理的な抵抗感を持ってしまっていないか
- その心理的ハードルの要因は何か (何が買いにくくしているか)
- 抵抗感を少しでも下げるにはどうすればいいか
- トライアル的な商品 (例: スターターキット) から本品につながっているか (トライアルで終わらせない仕組みが設計されているか)
まとめ
今回は男性化粧品アスタリフトメンのスターターキットを取り上げました。
最後にまとめです。
アスタリフトメンの 「スターターキット」
- 2週間程度の利用を想定した入門用。使い心地や効果を試してもらう役割
- 1回使っただけでは実感しにくい肌への効果、スキンケアを毎日やれるかどうかの習慣として定着するかを確かめてもらう
- スターターキットは定価の本品に購入につなげる 「橋渡し的な役割」
買いにくさの解消
- 買い手にとってはいきなり本品を買うのには心理的な抵抗がある
- スターターキットであれば、「2週間とりあえず試してみよう」 と思え選びやすい
- 購入への心理的ハードル (買いにくさ) を下げている
スターターキットから学べること
- お客は購入への心理的な抵抗感を持っていないか
- 何が買いにくくしているか
- 抵抗感を下げるにはどうすればいいか
- トライアル的な商品から本品につながる設計されているか
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