今回のテーマは、事業開発とマーケティングです。
✓ この記事でわかること
- ディズニーの飲食店向けビジネス Disney HARVEST MARKET とは?
- 独自資産を横展開したビジネス
- 「ヘルシーテイメント」 というコンセプトと、2つの価値
- 事業開発とマーケティングに学べること
おもしろいと思ったディズニーの事業を取り上げ、ビジネスモデルを掘り下げます。
事業開発やマーケティングに学べることを解説していくので、ぜひ最後まで読んでみてください。
Disney HARVEST MARKET
今回ご紹介したいのはディズニーの世界観を楽しめるカフェ 「Disney HARVEST MARKET (ディズニー・ハーベスト・マーケット」 です (公式サイトはこちら) 。
東京・渋谷の商業施設 「渋谷ヒカリエ」 にオープンしました。
出典: PR TIMES
ディズニー・ハーベスト・マーケットの特徴は、ディズニーのキャラクターが使われた料理やドリンクが全て健康に配慮されていることです。料理のカロリーや塩分量などディズニー独自の栄養基準が採用されています。
栄養基準は、アメリカのディズニー本社が策定した栄養成分の基準 「ディズニー・チェック」 を日本向けに調整したものを適用しているとのことです。具体的には、1皿当たりのカロリーを 600 キロカロリー以下に抑え、塩分や糖質、脂質の使用量も厳格に定めています。そして、自然食品の使用を推奨し、調理法にもこだわっています。
出典: PR TIMES
ディズニー・ハーベスト・マーケットのコンセプトは、「ヘルシー・テイメント」 です。ディズニーの造語で、Healthy と Entertainment からです。込められた意味は、ディズニーならではの 「食事での娯楽体験の提供」 から、人々の健康増進や地球環境の保護という社会貢献につなげることです。
ディズニー・ハーベスト・マーケットは、こうした考えを共有できる飲食店をやっている企業などにライセンス供与していくとのことです。
独自資産を活かした事業展開
ディズニー・ハーベスト・マーケットのビジネス、をさらに掘り下げていきましょう。
一言で言えばディズニー・ハーベスト・マーケットがやっていることは、ディズニーの独自資産を横展開したビジネスです。ここで言う資産とは、ディズニーのキャラクターの知名度や愛着、ディズニーランドに代表される 「夢の国」 と言う世界観です。
ディズニー・ハーベスト・マーケットは、こうした要素からのブランド (ディズニーらしさ, 信頼) を活かしたビジネスです。単なるキャラクター使用のライセンス提供ではなく、ディズニーが作った健康への基準を満たした食事メニューを、ディズニーの世界観を失わせることなく提供しています。
これを 「ヘルシーテイメント」 という一言のコンセプトにしているわけです。
Disney HARVEST MARKET の提供価値
ではディズニー・ハーベスト・マーケットについて、マーケティングの観点から深掘りをしてみます。
ディズニー・ハーベスト・マーケットが提供する他の飲食店にはない独自の価値は何でしょうか?
価値を大きく2つに分けて、「機能的価値」 と 「意味的価値」 で見てみましょう。ちなみに機能的価値とは、役に立つ・便利などの価値です。意味的価値は、楽しい、かわいい、使っていて・持っていて誇りに思う、満足感などの感情的な価値です。
ディズニー・ハーベスト・マーケットの機能的価値はヘルシーな食事であることです。ディズニーが考案し推奨する栄養基準を満たしたメニューが食べられます。
もう1つの意味的価値はディズニーの世界観で食べられる楽しさで、エンターテイメントとしての価値です。
ヘルシーな食事は、ともすると自分が食べたいものを我慢したり、どこか味気なかったりします。しかし、ディズニー・ハーベスト・マーケットはヘルシーな食事にディズニーならではの 「楽しさ」 という要素を加えているのです。
ヘルシーだけでもなく、エンタメ的な食事だけでもないヘルシーとエンターテインメントの両方を 「ヘルシーテイメント」 を体験できるのが、ディズニー・ハーベスト・マーケットの他にはない独自の価値です。
学べること
では最後に、ディズニー・ハーベスト・マーケットから事業開発とマーケティングに学べることを整理してみましょう。
事業開発への学びは、「新しい事業開発や商品アイデアを考える時には既存の持っている資産を有効活用できないか」 です。
ディズニー・ハーベスト・マーケットではディズニーというブランドを生かした飲食業への横展開でした。ただし注意点があり、活用先が既存資産のブランドイメージを悪化させないようにすることです。
マーケティングへの学びは、「顧客への提供価値を機能的価値と意味的価値の2つに分けて考えてみよう」 です。
ディズニー・ハーベスト・マーケットではヘルシーな食事という機能的価値と、そこに他のヘルシー食品にはないディズニーならではのエンタメ要素 (意味的価値) を加えました。このように機能的価値と意味的価値のどちらか一方ではなく、両方の価値提供の実現を目指していく。これがマーケティングに学べることです。
まとめ
今回はディズニー・ハーベスト・マーケットを取り上げ、事業開発とマーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
ディズニー・ハーベスト・マーケット
- ディズニーのキャラクターが使われた料理やドリンクが全て健康に配慮されている
- コンセプトは、「ヘルシー・テイメント」 (Healthy と Entertainment から) 。ディズニーならではの食事での娯楽体験の提供から、人々の健康増進や地球環境の保護という社会貢献につながる
独自資産を活かした事業展開と価値提供
- ブランド (ディズニーらしさ, 信頼) を活かしたビジネス
- ヘルシーな食事という機能的価値と、ディズニーの世界観で食べられる楽しさ (エンターテイメント) の意味的価値を提供している
- ヘルシーだけでもなく、エンタメ的な食事だけでもない 「ヘルシーテイメント」 の両方を体験できる
学べること
- 事業開発への学びは、新しい事業開発や商品アイデアを考える時には既存の資産を有効活用できないか
- マーケティングへの学びは、顧客への提供価値を機能的価値と意味的価値の2つに分けて考えてみよう
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