今回はマーケティングの話です。
✓ この記事でわかること
- マーケティング 4P
- ヒット商品のザバスミルクプロテインを例に解説
- ターゲット顧客が変われば、打ち手 (マーケティング 4P) も変わる
この記事を読んでいただきたいのは、マーケティングに興味がある方です。
仕事で直接マーケティングをやっていなく間接的に関わっていたり、マーケティングのことを知りたいと思っている方を想定しています。
具体的な事例としてプロテイン飲料 「ザバスミルクプロテイン」 を取り上げるので、ザバスミルクプロテインのマーケティングに興味を持った方に参考になればうれしいです。もちろんマーケターの方にもマーケティングの基本の復習の機会になればと思います。
マーケティング 4P
今回取り上げるマーケティングのフレームが 4P です。
✓ マーケティング 4P
- Product: 商品。パッケージやネーミングも含む
- Place: 販売チャネル (お店や Web サイト・アプリ, 流通)
- Price: 価格
- Promotion: 広告や販促
4つのうち1つ目の Product が 「売り物」 、残りの3つの P が 「売り方」 です。
4P を買い手の立場で表現すると次のようになります。
✓ 買い手の視点でのマーケティング 4P
- 使って価値を得るもの [Product]
- 商品やサービスを手に入れる場所 [Place]
- 価値を得る対価 (支払う金額) [Price]
- 商品・サービスを知ったり買うきっかけになる情報 [Promotion]
今回の記事のテーマは、「ターゲット顧客が変わると、打ち手であるマーケティング 4P も変わる」 です。これが一言でのお伝えしたいメッセージです。
では具体的な商品に当てはめてみていきましょう。
ザバスミルクプロテイン
例として取り上げたいのが、明治のプロテイン飲料である 「ザバスミルクプロテイン」 です (公式サイトはこちら) 。
出典: MELOS
以下は日経新聞の記事からの引用です。
明治のプロテイン飲料 「ザバスミルクプロテイン」 が新たな需要を発掘し、販路を拡大している。売上高は発売初年度の2015年度の7億円から、20年度に160億円を突破。21年度も前年度比2桁 % 増で進捗している。
ザバスは1980年に粉末プロテインで発売され、ボディービルダーなどアスリートを中心に広がった。プロテイン飲料は2013年発売の 「明治スポーツミルク」 が前身で、15年に 「ザバスミルク」 を発売。翌16年には本格的プロテイン飲料の 「ザバスミルクプロテイン」 が登場し、プロテイン飲料と呼ばれる分野が本格的に立ち上がった。
ヒットの背景には健康や美容意識の高まりがある。さらに目的意識を持ち運動する 20 ~ 40 代の間で、運動後にタンパク質を摂取する習慣が広がった。ジムに通いマッチョになることを目的とする層に加え、自宅でトレーニングして身体をひき締めたいと思う層にも飲用が広がり、ユーザーの裾野が一気に拡大した。
ターゲット顧客の拡大
それまではボディビルダーなどのアスリートが顧客の中心でしたが、自宅で運動するくらいのライト層にも裾野を広げました。これはターゲット顧客が新たに加わったことを意味します。
ではマーケティング 4P を補助線に、ザバスミルクプロテインの打ち手を見ていきましょう。
ザバスミルクプロテインのマーケティング 4P
先ほどの日経の記事からの引用です。
飲料は、体内でタンパク質の吸収速度を高める技術 (速攻吸収製法) を導入し、ごくごく飲める風味とした。ザバスは粉末を旧明治製菓が展開し、旧明治乳業のノウハウで乳飲料化した経緯がある。両社を統合して生まれたのが明治で、ザバスミルクプロテインはグループのシナジー効果を体現した商品でもある。
商品パッケージには、ブランドの価値訴求を高めるため、「高たんぱく 15 グラム」などとミルクプロテインの配合量を具体的に記した。また 「理想のカラダへ」 とのブランドステートメントも明確に発信した。
プロモーションは、飲用経験を重視している。学校周辺や美容室などでサンプリングを繰り返し、小売りのキャンペーンも利用してユーザーとの接点を増やしてきた。また店舗や施設での栄養講習も続け、プロテインの効果効能の啓もうにも取り組んでいる。
マーケティング 4P で整理してみましょう。
✓ ザバスミルクプロテインのマーケティング 4P
- Pruduct: ごくごく飲める、バニラやココアのフレーバー、パッケージに 「高たんぱく 15 グラム」とミルクプロテインの配合量を具体的に表示、「理想のカラダへ」 のブランドステートメント
- Place: コンビニ等の身近な店
- Price: 手頃な152円
- Promotion: 学校周辺や美容室などでサンプリングを繰り返し実施。小売とのキャンペーン。店舗や施設での栄養講習 (啓蒙活動)
以上のことは、元々のターゲット顧客であったボディビルダーなどアスリートには合わない打ち手です。
例えばコンビニで売らなくても、スポーツジムにあれば間に合います。容量ももっと大容量でその分だけ高くなります。またアスリートの人数規模からすると、大規模なサンプリングは非効率です。栄養講習も、すでにアスリートは知識を持っているはずで求められてはいません。
しかしターゲット顧客がこれまでよりもライト層に変わったので、彼ら・彼女らに最適な打ち手にすることが必要になります。打ち手を具体的にしたのが、先ほどのマーケティング 4P で見たようなターゲット顧客にあった 「売り物」 と 「売り方」 なのです。
これが今回の記事でお伝えしたい、「ターゲット顧客が変わると、打ち手であるマーケティング 4P も変わる」 です。
まとめ
今回は 「ザバスミルクプロテイン」 を例に、マーケティング 4P について見てきました。
最後にまとめです。
買い手の視点でのマーケティング 4P
- 使って価値を得るもの [Product]
- 商品やサービスを手に入れる場所 [Place]
- 価値を得る対価 (支払う金額) [Price]
- 商品・サービスを知ったり買うきっかけになる情報 [Promotion]
ターゲット顧客と打ち手
- ターゲット顧客が変わると打ち手であるマーケティング 4P も変わる
- ザバスミルクプロテインはライト層に裾野を広げ、彼ら・彼女らに最適な打ち手に変えた
ザバスミルクプロテインのマーケティング 4P
- Pruduct: ごくごく飲める、バニラやココアのフレーバー、「高たんぱく 15 グラム」「理想のカラダへ」 のパッケージ表記
- Place: コンビニ等の身近な店
- Price: 手頃な152円
- Promotion: 学校周辺や美容室などでサンプリング、小売とのキャンペーン、店舗や施設での栄養講習 (啓蒙活動)
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