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Z 世代向けフルーツオレ専門店 「The Label Fruit」 に学ぶ、戦略の本質


今回のテーマは、戦略です。

✓ この記事でわかること
  • Z 世代向けフルーツオレ専門店 「The Label Fruit」 とは?
  • 戦略の本質
  • The Label Fruit の美しい戦略
  • 学べること

新しくオープンしたフルーツオレ専門店を取り上げ、おもしろいと思い注目した理由を掘り下げています。

そこから戦略の本質とは何か、美しい戦略をつくるためにはどうすればいいかを解説しています。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

Z 世代向けのフルーツオレ専門店


東京・原宿に、Z 世代をターゲットにしたフルーツオレ専門店 「The Label Fruit」 がオープンしました。


商品の受け取りはロッカーで


ユニークなのは、フルーツオレの受け取りは店内のロッカーからのみにしていることです。

事前にスマホから注文し、フルーツオレは店内に設置したスマートロッカーの中に入っています。完全な非接触での受け渡しです。お店はバックヤードで商品を作るスタッフのみで運営されており、販売スタッフはいません。

モバイルオーダー画面 (出典: 日経クロストレンド)

フルーツオレを受け取るロッカー (出典: 日経クロストレンド)

出典: PR TIMES

自分好みのカスタマイズ


The Label Fruit の特徴は、カスタマイズからのパーソナライズにあります。

具体的にはフレーバーの種類、トッピング、甘さ度合いです。フレーバーはストロベリーやメロンなどの5種類から、下地となるミルクは豆乳など3種類から選べます。ナタデココや杏仁豆腐などのトッピングもつけられ、甘さの度合いも調整が可能です。

出典: Showcase Gig

フルーツオレのカップのラベルもカスタマイズできます。色は12種類、デザインは8種類以上が用意されています。ラベルには名前も入れられます。

名前が入った自分だけのフルーツオレ (出典: WorkMaster)

もう1つパーソナライズの要素があり、商品を受け取るスマートロッカーです。

ロッカーは映像が流れるようになっていて、お客さんごとに異なるものが映し出されます。受け取る時のスマートロッカー上で、自分だけのデジタルアート演出を楽めます。

出典: PR TIMES

店内で飲食 NG , 撮影は OK


興味深いと思ったのは、店内でのイートインはできないことです。

お店の中での飲食は NG で、その代わりに撮影スポットとして店内を利用できます。壁には撮影時に使える鏡があり、若年層に人気のネオンサインが飾られています。


購買データと店内カメラを活用


The Label Fruit では、スマホからの顧客の購買履歴、設置した AI カメラとビーコンを使い店内での動向データを分析し、店舗運営に生かしているとのことです。

混雑する時間帯や需要を推測し、スタッフの適切な配置や需要予測から店舗運営を最適化していく狙いがあります。店内のプロジェクターからコンテンツを流し、来店客がどのようなコンテンツや店内の仕掛けに反応を示すかも分析しているそうです。

* * *

ここまでフルーツオレ専門店の The Label Fruit の特徴を見てきました。

The Label Fruit には戦略の観点で興味深いと思ったので、ここからは戦略を掘り下げていきます。


戦略に学べること


The Label Fruit の戦略を掘り下げる前に、そもそもの話として戦略とは何かについて見ていきましょう。

そもそも戦略とは


一言の本質は、戦略とは 「目的を達成するための “やること” と ”やらないこと” の決めごと」 です。

戦略の上位概念には前提となる目的があります。戦略は目的達成のための手段なのです。

戦略をつくる上で重要なのは、何をやらないかです。意思を持って 「やらないこと」 を決めて、残った 「やること」 に注力をします。この意味で戦略は、やらないことを決めるためにつくると言ってもいいです。

The Label Fruit の戦略


戦略とは、目的達成のための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごとで、大きな方針です。

では The Label Fruit をこの視点で掘り下げると、きれいな戦略が見てとれます。

✓ The Label Fruit の戦略
  • お店での店員を通した商品注文は受けない → スマホからの注文のみ
  • 店内での飲食は NG → 撮影は OK で SNS の投稿を促している
  • カスタマイズやパーソナライズによる独自の体験価値を提供

戦略の判断基準


こうした割り切りができ、やらないことの意思決定ができるのは、目的を明確にしターゲット顧客を絞っているからです。

私が思う The Label Fruit のマーケティング目的は、「ここでしかできないフルーツオレの体験 (おいしく飲む, カスタマイズできる注文, デジタルアートが表示されるスマートロッカーでの受け取り, 店内での撮影) から独自の価値を提供し、長く愛され続ける持続的なブランドになること」 です。

また、The Label Fruit はターゲット顧客を Z 世代という10代から25才ぐらいまでの若年層に絞っています。

戦略の前提になる目的と顧客設定が明確だからこそ、やらないという決断ができ、残ったやることに集中できるのです。

学べること (まとめ) 


では最後にまとめとして、The Label Fruit から学べることを整理しておきましょう。

✓ 戦略とは
  • 戦略は、目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごと
  • 重要なのは何をやらないか。意思を持って 「やらないこと」 を決めて、残った 「やること」 に注力する

✓ 戦略の判断基準
  • 戦略の前提になるのは上位概念にあたる目的
  • 目的が明確で、マーケティングではターゲット顧客を絞っていれば、提供する価値が決まる。これらから、戦略として 「何をやらないか」 という決断をする

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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。