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販売不振を消費者インサイトに立ち戻ってヒット商品へ。「明治ブルガリアヨーグルトプレーン plus」 に学べること


今回のテーマは、顧客理解からの商品開発とマーケティングです。

✓ この記事でわかること
  • 販売が振るわなかった明治ブルガリアヨーグルトプレーン plus
  • 消費者理解から、逆転の発想でのコンセプト変更とは?
  • 「答えはお客の中にある」 というマーケターとしての矜持
  • 深い顧客理解からの価値提案

おもしろいと思った商品リニューアル開発を取り上げ、学べることを掘り下げています。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

明治ブルガリアヨーグルトプレーン plus


今回ご紹介するのは、「明治ブルガリアヨーグルトプレーン plus」 です。

出典: 明治

以下は日経新聞の記事からの引用です。

明治が3月に発売したヨーグルト 「明治ブルガリアヨーグルトプレーン plus」 シリーズが好調だ。

カップ容器の底にソースが入り、プレーンヨーグルトを重ねた2層構造になっている。このソースが、主役のプレーンヨーグルトのさっぱりした味わいを引き立たせる。

4 ~ 10月の出荷数量は、前身となる商品の前年同期実績と比べて2.5倍に増えた。

前年に比べて販売が2.5倍になったとのことですが、当初は苦戦していました。

同じ記事からの引用です。

マーケティング本部の乳酸菌マーケティング部ヨーグルト G の武井蓮さんは 「洋梨やバナナ、オレンジなど新規性のあるソースを投入してきた」 と話す。

 「フルーツを楽しむヨーグルト」 とのコンセプトで訴求したが、発売とコロナ禍が重なり十分な営業活動ができず販売は苦戦した。

消費者理解に立ち戻ってのリニューアル


ここからが興味深かったのですが、あらためて消費者理解に立ち返りました。

そこで一度立ち止まって市場を調査したところ 「消費者の健康志向が高まり、プレーンヨーグルトが見直されていることがわかった」 (武井さん) という。

そこで 「プレーンを楽しむヨーグルト」 へと発想を転換。約半年かけて、プレーンヨーグルトを主役にした商品を開発。ソースの味わいも定番の3種類に改めた。
出典: 明治


逆転の発想でのコンセプト変更


おもしろいと思ったのは、商品コンセプトの主従関係を逆にしたことです。

初めは 「フルーツを楽しむためのヨーグルト」 でした。メインはフルーツです。

コンセプトを逆にして 「プレーンを楽しむ」 に変えました。プレーンが主で、フルーツソースが従なわけです。コンセプトまで立ち返り、半年かけてコンセプトを実現する開発をしました。


学べること


では、明治ブルガリアヨーグルトプレーン plus から、商品開発やマーケティングに学べることを見ていきましょう。

明治ブルガリアヨーグルトがリニューアルでやったことは、消費者理解に立ち戻ってのコンセプト変更と商品開発です。販売が苦戦する中で小手先の対応ではなく、そもそも 「消費者が何を求めているのか」 まで立ち返りました。

 「答えはお客の中にある」


これはマーケティングや商品開発への持論ですが、「自分たちの答えはお客の中にある」 と考えます

答えとは、明治ブルガリアヨーグルトプレーン plus の例で言えば、販売不振の商品の売上を伸ばすアイデアです。

消費者調査で見えた 「健康志向の高まりでプレーンヨーグルトが見直されている」 から、プレーンヨーグルトとフルーツソースの二層構造で 「プレーンを楽しむヨーグルト」 という新しいコンセプトになりました。

ここで強調しておきたいのは、「答えはお客の中にある」 について、「自分たちが求める答えをお客さんが直接言ってくれるわけではないこと」 です。お客さんの中にある答えを見出すのは、作り手である自分たちです。

お客さんの言葉や振る舞いをヒントに、マーケター自らが答えまで掘り下げていくことが大事なのです。

見出した 「答え」 からの価値提案


プレーンヨーグルトが健康志向の高まりで見直されているからといって、ただ単にプレーンヨーグルトを提案しただけでは、消費者の期待を超える価値にはならなかったでしょう。

プレーンヨーグルトへのちょっとした自覚していない不満、隠れた望みを汲み取るところまでいくのが重要です。

以下は、先ほどの日経記事からの引用です。

ソースの味わいも定番の3種類に改めた。

食べ方をアレンジできる点が消費者をひき付ける。初めからソースと混ざっているヨーグルトとは異なり、好みのタイミングでソースを混ぜることができ、味わいの変化を楽しめる。

これは推測ですが、消費者の奥にある気持ちとしては次のようなものがあったはずです。

✓ プレーンヨーグルトへの隠れた不満や望み
  • プレーンヨーグルトはいつも同じ味。健康に良いのは分かるが、代わり映えせず飽きてしまう
  • もっと自分好みでプレーンヨーグルトを楽しみたい。味や食べ方を工夫したい
  • プレーンヨーグルトという白いキャンパスに、自分の好きな絵を描きたい

消費者は、このような明確な意見を持っているわけではありません。だからこそマーケターが自ら 「答え」 を見出し、隠れた不満や望み (潜在ニーズ) に刺さる価値提案につなげることが大事です。


まとめ


今回は 「顧客理解からの価値提案」 という視点で、明治ブルガリアヨーグルトプレーン plus を例に商品開発やマーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

自分たちの答えはお客の中にある
  • 答えとは例えば、販売不振の商品の売上を伸ばすアイデア
  • アイデアのヒントはお客の中にある

マーケター自ら答えを見出す
  • ただし、自分たちが求める答えを、お客が直接言ってくれるわけではない
  • 答えを見出すのは作り手である自分たち。お客さんの言葉や振る舞いをヒントに、マーケター自らが答えまで掘り下げていく

顧客理解からの価値提案
  • 顧客は不満や望みについて明確な意見を持っているわけではない
  • 顧客理解から、隠れた不満や望み (潜在ニーズ) に刺さる価値を提案しよう


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。