出典: JA しまね
今回は、「見込み客に能動的にユーザー体験を提供し、価値を実感してもらおう」 という話です。
おもしろいと思ったブロッコリーを取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げていきます。
✓ この記事でわかること
- 差別化されたブロッコリー 「出雲フォルテ」
- 一度で採用が決まる小売への営業アプローチ
- 百見聞は “一験” にしかず
- マーケティングへの応用
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
出雲フォルテ
ご紹介したいのは、「出雲フォルテ」 という名前のブロッコリーです。
高付加価値のブロッコリー
出典: JA しまね
甘みがあり、解毒力や抗酸化作用が高いのが特徴です。
以下は日経新聞の記事からの引用です。
ブロッコリー産地の島根県出雲市で、新たな品種のブロッコリーをブランド野菜に育てる取り組みが軌道に乗ってきた。身体の抗酸化力を高める成分が多く、甘みが強いのが特徴の新品種だ。
栽培面積を広げて供給体制を整えたうえ、今シーズンから東京都内の高級スーパーなども本格的に開拓している。
新品種は JA しまね (松江市) の出雲ブロッコリー部会が生産する 「出雲フォルテ」 。音楽用語のフォルテ (強く) に出雲の農業繁栄の願いを込めた。外観は従来品種より花蕾 (からい) の粒が大きく、赤みが出やすい。ブロッコリー独特のにおいは薄いが、味には甘みがある。
JA しまねによると、食べると体の解毒力や抗酸化力を高められるとされる成分 「スルフォラファン」 の含有量が従来のブロッコリーの 2.5 ~ 3 倍という。
出典: 日経
小売への営業アプローチ
記事で書かれていて興味深かったのは、小売への営業方法でした。
小売のバイヤーなどの担当者に、出雲フォルテを試食をしてもらったとのことです。
栽培が増えてきたのを踏まえ、現在は関西や関東の百貨店や高級スーパーの担当者らに試食などで売り込んでいる。
「売り場では大きく花蕾がきめ細かいブロッコリーが好まれるため当初は話を聞いてもらえないこともあったが、一度試食してもらうと採用が決まるケースが多い」 (JA しまねで営業を担当する大野剛氏)
引用の最後にあったように、「一度試食してもらうと採用が決まるケースが多い」 と、試食は効果てきめんです。
学べること
では、出雲フォルテから学べることを掘り下げていきましょう。
百見聞は “一験” にしかず
言葉で説明をしたり見てもらっただけでは、自分が思うようにはなかなか相手に良さは伝わらないものです。
出雲フォルテも同じで、味の甘みに他のブロッコリーにはない特徴があっても、相手は聞いたり見るだけでは、甘みはわかってもらえません。
そこで、試食という実際に食べてもらい、他にはない良さを実感してもらったわけです。引用した記事にあったように 「当初は話を聞いてもらえなかったが、一度試食してもらうと小売に採用されるケースが多い」 と、これは試食したからこそです。
言い回しで 「百聞は一見にしかず」 という教えがありますが、見る以上に効果があるのが体験です。「百見聞は “一験” にしかず」 なのです。
価値を伝える体験機会
出雲フォルテから学べることを一般化してみます。
一言で表現をするなら、学びは 「見込み客への能動的な体験機会をつくり、価値を実感してもらおう」 です。
相手から頼まれたり言われて初めて体験の場を提供するのではなく、こちらから積極的に使ってもらうといいです。使うことで、相手の中で自分ごと化が強くなり、買いたい気持ちが醸成されます。
お金をいただかずに使ってもらうことは、短期的に見れば損をしています。しかし長い目で見れば、プラスになります。
損して得とれの姿勢で、後からプラスにする 「価値を伝える体験機会」 をどうすればできるのかを考えてみるといいです。
まとめ
今回はブロッコリーの 「出雲フォルテ」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ 価値を伝える体験機会の提供
- 説明を聞いたり実物を見るよりも、一度体験をしてもらえれば良さが伝わる。百見聞は “一験” にしかず
- 使うことで、相手の中で自分ごと化され、買いたい気持ちが生まれる
- 見込み客への能動的な体験機会をつくり、価値を実感してもらおう
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