出典: Magic Shields
今回は 「前提を疑い、常識を変えてみよう」 という話です。おもしろいと思った床材を取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- 床材 「ころやわ」 の逆転の発想
- ユニークな商品ができた理由
- 前提を疑い、常識を変えてみよう
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
床材 「ころやわ」
出典: Magic Shields
ご紹介したいのは床材の 「ころやわ」 です。
転ぶとやわらかくなる
ころやわは日経新聞の記事でも取り上げられていました。
素材開発の Magic Shields (マジックシールズ, 浜松市) は、転倒時の衝撃を吸収する床材の生産を約4倍に伸ばす。需要の高い医療・介護施設向けに加え、家庭向けの販売にも乗り出す。競合がほとんどない独自技術を強みに、まずは国内で導入を広げる。
増産するのは2020年に発売した 「ころやわ」 シリーズ。弾力性のある厚さ約2センチの床材で床の上に敷いて使う。素材は自動車部品などに使う耐久性の高い熱可塑性エラストマーで、内部にハチの巣のような幾何構造をつくって配置している。
歩いたり車椅子が通ったりする程度では沈み込まず安定し、転倒など大きな力がかかるとたわんでクッションの役割を果たす。高齢者の転倒による骨折リスクを減らす目的で、これまで全国400以上の施設が導入した。
強い力 (体重) がかかるとたわんで衝撃を吸収する (出典: Magic Shields)
ころやわの特徴は通常は安定して歩けるくらいの硬さですが、転んだ時だけ柔らかくなり衝撃を吸収してくれます。人の体重という強い力がかかるとたわんでショックを和らげる構造になっています。
逆転の発想
ころやわが興味深いのは一般的な床材と逆の考え方をしていることです。
普通はいかに人を転ばせないかと転倒すること自体を防ぐようにします。一方の 「ころやわ」 は転ぶことが前提になった設計です。
どんなに気をつけていても人はふとした時に転倒してしまいます。100% 転ばないようにするのではなく、たとえ転んだとしても怪我をしないようにするという逆転の発想です。
学べること
では床材の 「ころやわ」 から学べることを掘り下げていきましょう。
常識を変える
ころやわがやったことを一般化して捉えると、前提を疑い、時には大胆に常識を変えました。
床材を 「いかに人を転ばせないものとするか」 から、ころやわは逆の発想をして 「もし転んでも怪我をしなければいい」 としたわけです。
素人の視点
ころやわが逆転の発想にできたのは良い意味で素人の視点があったからです。
マジックシールズは19年設立。下村社長は以前、ヤマハ発動機でバイクの開発に携わっていた。車体が衝撃を吸収する技術の開発で得た経験を生かし起業した。
ヤマハ発動機でのバイク開発という、床材とは違う世界での経験から着想を得たのが 「ころやわ」 です。
異業種から参入したことで、「床材とはこうあるべし」 という固定観念がなかったからこそです。
前提を疑おう
社内や業界で当たり前になっていることはいつの間にか暗黙の前提になり、時として新しいアイデアの制約になっているかもしれません。
自分たちは知らないうちに常識にとらわれていないか、常識を変えるとどうなるかを考えてみるとマーケティングや商品開発へのヒントが得られます。
まとめ
今回は床材の 「ころやわ」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ 前提を疑い、常識を変える
- 社内や業界で当たり前になっていることが、いつの間にか 「こうあるべし」 という固定観念となり、新しいアイデアの足かせになっているかもしれない
- 良い意味での素人目線になり、前提を疑い、時には大胆に常識を変えてみよう
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