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凍らすゴミ箱 CLEAN BOX 。イノベーションを起こす方法

#マーケティング #イノベーション #利用シーン

出典: PR TIMES

今回のテーマはイノベーションです。

おもしろいと思ったユニークなゴミ箱から、イノベーションを起こす方法を見ていきましょう。

✓ わかること
  • ゴミを -11℃ で凍らすゴミ箱 CLEAN BOX
  • 開発のヒントは尖った使い方から
  • イノベーションを起こす方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

CLEAN BOX


出典: PR TIMES

凍らせるゴミ箱


ご紹介したいのは生ごみなどが臭わないようにする 「凍らせるゴミ箱」 です。名前は 「CLEAN BOX」 といいます。

生ごみ以外にも使用済みの紙おむつ、ペットのトイレシートなどの嫌な臭いのゴミを -11℃ で凍らせ、臭いを抑え細菌の繁殖を抑制します。

開発の背景


ゴミを凍らせるという着想はある家庭の冷凍庫から生まれたとのことです。

なぜ、冷やすごみ箱というユニークな商品が生まれたのか。開発者である NKC ビジネスデザインセンターの長崎陸氏 (※崎はたつさき) に話を聞いた。

長崎氏は 「ある家庭で生ごみを凍らせて保管しているのを見たことが一つのヒントになった」 と CLEAN BOX 開発のきっかけを話す。その家庭では、袋に入れた生ごみをさらにタッパーに入れて、冷凍庫の一部で保管していたという。

生ごみや使用済みの紙おむつは、日がたつと悪臭を放ち始める。もちろん、蓋付きのごみ箱もあるが、その効果にも限界がある。

 「ごみの収集日まで生ごみを冷やして保管するのは面白いアイデアだと思ったが、食品を保管する冷蔵庫や冷凍庫で、においのあるごみを冷やすことに抵抗がある人もいる。それなら冷やすごみ箱を作れば需要があるのではないかと考えた」 と長崎氏は話す。

同時期に、奈良県のある駅のごみ箱に 「介護用おむつを捨てないでください」 と書いた張り紙があるのを目にした。こうしたことから、おむつなどの介護ごみに困る人も多いのでは、と着想した。

* * *

学べること


では凍らすゴミ箱 CLEAN BOX から、学べることを掘り下げていきましょう。

尖った使い方から


CLEAN BOX は 「エクストリームユーザー」 から着想を得て開発されたゴミ箱です。エクストリームユーザーとは極端な人で一般的ではない使い方をする人のことです。

CLEAN BOX の場合は家庭の生ゴミの保管において生ゴミを袋に入れるだけではなく、タッパーに入れて冷凍庫でゴミ収集の日まで凍らせていた人です。

開発担当者はこうした尖った行動をスルーせず見逃しませんでした。変な使い方として切り捨てず、見落としていたニーズと捉え新しい商品開発のヒントにしたわけです。別の場面で駅のゴミ箱に 「介護用おむつを捨てないでください」 と書かれた注書きの張り紙からも着想を得ました。

実は一定数の人がやっていた


先ほど引用した記事の中で CLEAN BOX の開発担当者は 「ある家庭で生ごみを凍らせて保管しているのを見たことが一つのヒントになった」 と語っていました。

コメントからうかがえるのは生ゴミを冷凍庫で凍らせて一時的に保管しておくのは、想定していなかった方法だったということです。

ところが、実は一定数の人がやっていた行為でした。CLEAN BOX のプレスリリースでは調査によれば5人に1人が生ゴミを冷凍庫で冷やして保管しているようです (調査はベルメゾンデッセのモニター調査で2016年8月16日 - 8月31日に実施した4736人からの回答結果) 。

隠れたニーズを捉える


冷凍庫で生ゴミを凍らせることについて、やっている人の多くは仕方ない気持ちで嫌々やっていたのではないでしょうか。

袋に縛ってタッパーに入れているとはいえ、生ゴミと食品を同じ冷凍庫の空間の中に保存していくことには抵抗があるはずです。冷凍庫にあるこれから食べるものがけがれてしまうような気持ちになります。

CLEAN BOX はこうした生活者の奥にある不満で言葉を大にして言うほどではないものの、なんとかしたい望みを解決する商品です。

この意味で、つまり今までの市場になかったものであり、ゴミを凍らせるゴミ箱 「CLEAN BOX」 はイノベーションを起こした事例です。

CLEAN BOX を先行販売したクラウドファンディングでは、次のような 「こんなのを欲しかった」 「待ってました」 というメッセージが寄せられました。

生ゴミ、ペットゴミ、狭い家では大問題なんです!だからこそ見た目も重要です。応援してます! (R さん) 

こういう商品を待ってました! 毎年臭いとコバエに悩まされていました。楽しみにしています。 (かどっちさん) 

まさにこんな商品があったらいいなという思いを叶えてくれました!本当に幸せです。ありがとうございます!楽しみにしています! (m さん) 

再登場されるのを心待ちにしていました!子どものおむつと生ゴミの処理に苦労しているので、届くのが待ち遠しいです。応援しています。 (hiropon さん) 

イノベーションを起こす方法


CLEAN BOX の事例はイノベーションを起こす方法として示唆があります。

イノベーションとは辺境から生まれます。本流ではなく隅っこからです。

袋に入れた生ごみをさらにタッパーに入れて冷凍庫の一部で保管するというのは 「辺境の事象」 で、いわば本流から外れた保管方法です。売り手であるメーカーは辺境の地で起こっていることに気づかず、そのようなゴミの扱い方は想定していなかったわけです。

この状況を異端として見逃さず気づいていなかったユーザーニーズとして積極的に取り入れ、商品開発やマーケティングに活用して生まれたのが CLEAN BOX です。

イノベーションになるような従来とは非連続な大きな変化は本流ではない辺境で密かに兆しが生まれます。先見の明のある人が辺境の地の事象を発見し意味合いを見出し、本流に変えていくことでイノベーションが起こるのです。


まとめ


今回はゴミを凍らせるゴミ箱 「CLEAN BOX」 を取り上げ、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ 尖った使い方からのイノベーション
  • イノベーションは、本流ではない辺境から生まれる
  • 辺境での事象から意味合いを見出し、本流に変えていくことでイノベーションにつながる
  • 変な使い方や尖った行動を切り捨てず、むしろ積極的に学びにいき商品開発やマーケティングのヒントにしよう


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。