今回のキーワードは 「お客さんの使い方」 です。マーケターは 「お客さんの使い方理解」 のプロであれという話です。
おもしろいと思った食品商品から、マーケティングに学べることを掘り下げていきましょう。
✓ わかること
- 「お鍋を使わないレンジで3分出雲そば」 のヒット理由
- お客さんの使い方にヒントあり
- マーケターは 「お客さんの使い方理解」 のプロであれ
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
お鍋を使わないレンジで3分出雲そば
出典: グルメプレス
ご紹介したいのは 「お鍋を使わないレンジで3分出雲そば」 です。
好調な売上
売上が前年と比べて2倍とのことです。
本田商店 (島根県雲南市) の 「お鍋を使わないレンジで3分出雲そば」 が売れている。6月の時点で前年比2倍の勢いで売れている。
調理のしやすさを追求
商品名が 「お鍋を使わないレンジで3分出雲そば」 ですが、特徴は鍋を使わずにレンジで簡単に作れる生そばです。
開発の狙いもここにありました。
「そばに興味のない若い人にも食べてもらいたくて作った商品なんです」
そう話すのは本田繁社長。生そばはうどんに比べてゆでるのに失敗しやすい。鍋を使う煩わしさもあって、時短料理を好む若い人からは敬遠されてしまう。おいしい生そばを手軽に食べてもらえる商品が必要だと思い、鍋を使わずに作れる “時短そば” を開発することにした。
味にも妥協しなかった。今はおいしいインスタント食品や冷凍食品があふれている。そこで本田社長は電子レンジで温めてもおいしく食べられる生そばを考えた。もともと保存料不使用、無添加がウリのメーカーだったこともあり、温めたお湯にそばがつかっても、保存料のアルコールや酸味が出てこないそばを作ることができた。
POP のようなパッケージ
出典: 本田商店
パッケージの見た目も特徴的です。
パッケージはあえて店頭 POP のような派手なものにした。
「今の時代は (お店の) スタッフも少ないですから、POP を作っても売り場に貼ってもらえない可能性があります。ならば、POP みたいなパッケージにしたほうが確実だと思ったんです」 (本田社長)
発売当初の動きは鈍かったが、量販店で取り扱いを始めたのをきっかけに大ブレイク。スーパーはもちろん、ドラッグストアでも販売され、年間20万食売れるヒット商品となった。
学べること
では、今回の事例から学べることを掘り下げていきましょう。
調理と販売の手間を解消
ご紹介した 「お鍋を使わないレンジで3分出雲そば」 がヒット商品になった要因は、2つのお客さんの使い方に配慮し手間をなくしていることです。
2つのお客さんとは消費者と小売です。消費者の調理、小売の販売で面倒さを起こさないようにしています。
✓ 手間の解消と価値
- 消費者: 鍋を使わずに生そばをレンジで簡単に調理できる。時短で楽
- 小売: パッケージが POP のようになっているので、POP をつくったり商品棚に貼る作業がいらない
自社商品の使われ方に注目し便利にしたことで、消費者と小売のそれぞれで商品の魅力を高めたのです。
お客さんの使い方にヒントあり
学びを一般化すると 「お客さんの使い方に着目しよう」 です。
自社商品はどのように使われているのか、エイドユーザーだけではなく小売も含めてどう扱われているのかには、商品開発やマーケティングのヒントがあります。
お客さんが使っている時、使う前や後には売り手が想定していなかった不都合や不便さが生じているかもしれません。
自分たちの商品はどのように使われているのか。マーケターとして目指したいのは商品の機能などの特徴の把握だけではなく、「お客さんの使い方理解のプロフェッショナル」 です。お客さんマニアと言えるレベルです。
まとめ
今回は 「お鍋を使わないレンジで3分出雲そば」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ お客さんの使い方にヒントあり
- お客さんが自社商品を使っている時や前後には、売り手が想定していなかった不都合が生じているかもしれない
- 商品の扱われ方には、商品開発やマーケティングのヒントがある
- マーケターは 「お客さんの使い方理解のプロフェッショナル」 を目指そう
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