今回のキーワードは 「価値」 です。お客さんにとっての商品の価値をどうやって見極めるかという話です。
✓ この記事でわかること
- 価値とは何か?
- ドラッカーの指摘
- 価値を見極める3つの問い
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
価値はお客さんが決めるもの
こちらの記事を読みました。
なぜキーエンス社員は平均年収2183万円を稼げるのか… 仕事の価値を高めるために必要な 「3つの問い」|PRESIDENT Online
この記事は書籍、付加価値のつくりかた - 一番大切なのに誰も教えてくれなかった仕事の本質 (田尻望) の一部を再編集したものです。
この本では 「価値」 を次のように捉えています。
「価値とはお客様 (相手) が感じる (決める) ものである」
これが本稿における価値の定義です。では 「付加価値」 とは何でしょうか?付加価値は次のように定義づけしています。
「付加価値はニーズが源泉である」
つまり 「価値」 は、その商品やサービスに対して、「お客様が『これには価値がある』と感じるもの」 であり、「付加価値」 とは、「お客様のニーズを叶えるもの」 なのです。
「付加価値」 について少しだけ付け加えておきましょう。
ビジネスで重要なのは、「自社で仕入れたものの価値に対し、どう付加価値をつくり上げるのか。それをどうやってお客様に買ってもらい、使ってもらうか。そして最後に、いかにその商品・サービスの価値、付加価値を感じてもらうか」 です。付加価値をつくるためにはこれらを考える必要があります。
ドラッカーの指摘
商品やサービスに価値があるかはお客さんが決めることであるという考え方は、ドラッカーが言っていることに通じます。
現代の経営[上](P F ドラッカー, 上田惇生) という本に書かれていたことです。
顧客が買っているもの
該当箇所を引用します。
企業が何かを決定するのは顧客である。財やサービスへの支払いを行うことによって、経済的な資源を富に変え、ものを商品に変えるのは顧客だけである。
企業が自ら生み出していると考えるものが重要なのではない。特に企業の将来や成功にとって重要ではない。顧客が買っていると考えるもの、価値と考えるものが重要である。企業が何であり何を生み出すかを規定し、企業が成功するか否かを決めるのは、それらのものである。
顧客が企業の土台として企業の存在を支える。顧客だけが雇用を創出する。社会が企業に資源を託しているのは、その顧客に財とサービスを供給させるためである。
引用の中にあった 「企業が生み出しているもの」 は商品やサービスのことです。
ドラッカーはここは重要ではないと言っていて、大事なのは 「顧客が買っていると考えるもの」 と 「価値だと考えるもの」 であると指摘しています。
商品がもたらす価値
売り手にとっては商品やサービスを売ることが目的であり、ゴールに当たります。
一方の買う側のお客さんの認識は買うこと自体がゴールではありません。
確かに商品を買っていますが、本当に望んでいるのは 「商品を使うこと・持っていることで得られる価値」 なのです。機能的な価値に加え、うれしい・楽しい・誇らしいなどの感情的な意味的価値も含まれます。
お客さんにとって商品とは価値を得るための 「手段」 です。ドラッカーの言う 「顧客が買っていると考えるもの」 や 「価値だと考えるもの」 は手段の先にあります。
価値が他の商品では得られないもので便益が高いほど、お客さんはお金を払ってでも欲しいと思うものになるわけです。
ではどうすればお客さんにとって価値かどうかを見極められるのでしょうか?
価値を見極める方法
3つの問い
最初に引用した PRESIDENT Online の記事には次のように書かれていました。
まずは価値の定義をきちんと理解しましょう。それが付加価値をつくるためのスタート地点だからです。
そのうえで、「ムダ」 に時間をかけないために、自分の仕事に価値があるかどうかを判断することが必要です。その判断には、次の 「3つの問い」 が役に立ちます。
あなたが日々行っている仕事は、
① お客様の 「買う」 という意思決定に影響を与えているか?
② 商品・サービスを買った後、本当に 「使う」 か?
③ それを使ったら、「役に立つ」 か?
例えば、健康食品を売る営業が、お客様のところへ出かけていき、一生懸命、商品の説明をしたとします。
① は、その説明によってお客様が 「最近、体調悪化がひどくて…… 。ずっとこういうものを探していたんです。ぜひ買います!」 と、その健康食品を買ってくれるかどうか、ということです。
② は、その健康食品を買ってくれたお客様が使ってくれたか、そして、その後も同じ商品を継続して買い続けてくれたかどうか、ということです。
③ は、その健康食品を摂り続けた結果、お客様の体調が大幅に改善。悩みが解消されて、「すっかり体調がよくなったよ!」 と喜んでもらえたかどうか、ということです。
これら3つのどれか1つでも当てはまれば、その仕事には 「価値がある」 と言えます。逆に、① から ③ のどれにも当てはまらないことに価値はありません。気をつけてほしいのは、① が起こらない限り ② ③ が起こることはないことです。
価値がないこと = 「ムダ」 です。
日々さまざまな仕事に取り組む中で、その仕事の価値の有無を判別するためには、この3つの問いに答えてみるとよいでしょう。
マーケティングでの問い
3つの問いのポイントは買う、使う、役に立つかです。
- お客さんはなぜ買ってくれるのか
- (お客さんは) 商品・サービスを使うか、どのように使うか
- (お客さんが) 使うことでどう役に立っているか、何がうれしいか
主語はいずれも 「お客さん」 です。
3つの問いを順番に補足していくと、1つ目の 「買ってくれるか」 はお客さんがお金を払ってでも自社商品を欲しいと思ってもらえるかです。
ただし、買ってくれただけではまだお客さんに価値をもたらしていません。商品は使ってこそ価値を生むからです。
そして3つ目の問いである 「どう役に立ったか」 「何がうれしかったか」 まで掘り下げることで、具体的な 「お客さんにとっての価値」 を見極めていきます。
お客さんに買ってもらえるか。使われるか。使っている時や後にどんな価値をもたらしているか。これら3つの問いはマーケティングで常に意識しておきたいことです。
まとめ
今回は価値とは何か、価値をどうやって見極めるかという話でした。
最後にまとめとして3つの問いを振り返っておきます。
✓ 価値を見極める3つの問い
- お客さんはなぜ買ってくれるのか。お金を払ってでも欲しいと思うか
- 商品・サービスを使うか、どのように使うか。価値は使ってこそ生まれる
- 使うことでどう役に立っているか、何がうれしいか。使用中や後でもたらされる具体的な価値は何か
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