消費者は化粧品をどこで買うのでしょうか?ドラッグストア?コンビニ?それともネットから?
今回は、化粧品ブランドのアユーラが、高級ホテル内に化粧品店舗を開設したという事例をご紹介します。「顧客接点」 を切り口に、マーケティングへの学びを掘り下げます。
帝国ホテルに化粧品店舗を開設
出典: AINZ & TULPE
アインホールディングスが、自社スキンケアブランド 「アユーラ」 の新店舗を東京の帝国ホテルに開設しました (リリースはこちら) 。
お店の名前は 「アユーラ ビューティー 帝国ホテル店」 です。
広さ126平方メートルの店舗面積を持ち、500種類程度の商品を販売します。他社の化粧品ブランドの商品も一部扱うようです。訪日外国人や国内外の富裕層を主なターゲット顧客と想定し、贈答品での購入も狙っているとのことです。
学べること
ではマーケティングへの学びを考えてみましょう。
メディア機能を持つ売場
化粧品が売っている場所は、通常は実店舗であればドラッグストアやコンビニ、百貨店などで、またネット販売も盛んです。
アユーラは新店舗を都内の帝国ホテルという高級ホテル内に出しました。高級ホテルには国内外から富裕層が宿泊しに来るので、アユーラの理想的な顧客ターゲットに一致します。
ホテル内に店舗を設けることで化粧品を販売する場所としてだけでなく、ブランドのことを知ってもらう 「メディア」 の役割も果たしています。
顧客接点とお客さん
マーケティングの観点から言えば、顧客接点の重要性を見てとれます
顧客接点である販売場所が変わると、自然と接するお客さんの層も変化します。
帝国ホテルという日常とは異なる場所にいることで、人はリラックスした状態になり、楽しみ、解放感、気持ちの高ぶりなどの普段とは違う心理状態になり、自ずと行動にも影響を及ぼします。
ホテル滞在時という非日常的な状況が消費行動を促し、使うお金が増えたり、また、自分自身のためだけでなく旅行でのお土産から贈り物として買うこともあるでしょう。
Place 起点のマーケティング戦略
今回の事例は、マーケティングの 4P の1つである 「Place (販売チャネル) 」 に学びがあります。
マーケティング 4P とは、Product (製品) 、Price (価格) 、Place (販売チャネル) 、Promotion (広告や販促などのプロモーション) の頭文字をとったマーケティングの基本的なフレームワークです。マーケティングを組み立てるための基本要素です。
Place とは、商品やサービスがお客さんに提供される場所、またはその手段を意味します。Place を考える際には、単に物理的な場所やデジタルな場だけでなく、その場所にいるお客さんをセットで捉えることが重要です。
アユーラの例では、帝国ホテルという Place を選んだことで、その場所に滞在する特定の顧客層に直接ブランドを届けるアプローチを獲得しました。Place を選択することでお客さんが定まり、そこからマーケティングに展開した事例です。
まとめ
今回は化粧品ブランドのアユーラの事例から、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- 顧客接点の変化はお客さん層の変化をもたらす
- マーケティングの 4P の1つ 「Place (販売チャネル) 」 を適切に選択することで、特定の顧客層に直接ブランドを知ってもらったり、狙いたい心理状態 (例: 普段よりもリラックスしていたり気分が高揚している状態) で買ってもらえる
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