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営業と販売、マーケティングと広告。共通点に見る原点に立ち返るマーケティング

#マーケティング #営業 #目的と手段

営業活動とマーケティング活動には共通する要素があります。

今回は、営業の本質に迫り、そこから成果につながるマーケティングへの示唆を考えます。

営業と販売の関係


 「営業」 と 「販売」 、どちらもビジネスには不可欠な要素ですが、2つの違いはどこにあるのでしょうか?

ある記事に書かれていた、営業組織において営業と販売の関係を正確にとらえる重要性が興味深かったです。

営業組織が担う営業活動とは何かというと、上述した通り主な役割は 「売り上げを高めることで利益を創出すること」 となる。当然コストやリスク度外視でいいということではないため、「主な」 役割という理解をした方が良い。

利益を創出する営業組織は、どのような営業活動をすることが求められるのか。この問いについて考えるにあたり、「営業」 と 「販売」 の違いを整理することで理解していこうと思う。

なぜなら営業組織の活動が 「販売活動」 に偏重しており、営業の本質を満たしていないことが散見されるからである。もしかすると営業従事者は営業と販売を混同しており、それによって結果的に売り上げを高めることに苦労しているのではないか、という考えに筆者がたどり着いたのが本特集を始めるきっかけだ。

結論から言うと、営業と販売は目的が異なる。「営業」 の目的は 「買い手の問題を解決すること」 であり、その手段が 「販売」 だ。一方で販売の目的は単に 「売ること」 であり、その手段として 「販売テクニック」 や 「手法」 がある。このように整理すると、営業活動というのは売ることを包含した、買い手の問題解決に関する全ての活動を指すということとなる。

つまり、自社の商品・サービスを販売することが顧客の問題解決につながる適切かつ合理的であると判断し、買い手と合意できれば販売すればいい。もし自社の商品・サービスを売ることが最適な選択肢ではないと判断した場合は、販売以外の選択肢を用いて、買い手の問題を解決し、自社の利益に貢献するように活動することが営業の本質である。


引用した内容を整理すると、次のようになります。

  • 営業組織の主な役割は、売上を高めて利益を創出すること

  • 営業は 「買い手の問題を解決すること」 が目的。営業活動は、買い手の問題解決に関する全ての活動を指す

  • 営業という買い手の問題を解決するための手段として 「販売」 がある。販売の目的は 「売ること」 であり、販売テクニックや手法が手段

  • 自社の商品・サービスが顧客の問題解決に適している場合は販売を行う。一方で自社商品が顧客にとって最適な選択肢でない場合は、販売以外の手段を用いて顧客の問題を解決し、自社の利益に貢献することが営業の本質


マーケティングへの当てはめ


営業と販売の議論はマーケティングにも当てはまります。

営業を 「マーケティング」 、販売をたとえば 「広告」 にそれぞれ置き換えると、マーケティングにも示唆に富むものになります。

マーケティングとは

マーケティングとは、一言で表現すれば 「お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般」 のことです。

お客さんから自分たちの商品やサービスを選んでもらうために、お客さんが選ぶ理由をつくるさまざまな活動をマーケティングとしているので、この定義はマーケティングを広く捉えています。

マーケティングと広告の関係

前半で見た営業と販売の関係性では、営業という 「買い手の問題を解決すること」 のための1つの手段として 「自社商品を売る」 という販売がありました。

同じことがマーケティングと広告においても成り立ちます。

マーケティングが目指す 「お客さんから選ばれる理由をつくり出すこと」 のための1つの手段として広告が存在するわけです。広告では、自分たちの商品を知ってもらったり、興味を持ってもらう、買いたい、欲しい気持ちを生みだす、思い出してもらう、買ったものへの信頼感を高める、再び買ってもらうといったことを狙ってコミュニケーションを展開します。

 「手段の目的化」 に注意

マーケティングのことを 「マーケティング = 広告」 とせまく捉えてしまうと、マーケティングの本質を見誤りかねません。

それは営業と販売の認識のずれや意味合いの混同によって起こることと同じです。「営業 = 販売」 とすると、お客さんの問題を解決するには自社商品を売ることが前提になった営業活動になってしまいます。もし自社商品がお客さんの問題を解決しなければ、無駄な費用が発生してしまいます。

マーケティングにおいては、広告という手段が目的化してしまうと、本来は広告をしなくてもいい、あるいはもっと減らせるにもかかわらず広告を無理に強行すると、広告の上位概念であるマーケティングに貢献しない施策になりかねません。

広告以外にも、調査や PR、イベント企画などはいずもマーケティングを進めるための手段の1つに過ぎないのです。

その広告は、本当に 「お客さんが自分たちを選ぶ理由」 をつくり出すのか。マーケティングの原点に立ち返ってマーケティングに立脚する広告、広告以外にも調査などを実施することが大事です。

まとめ


今回は、営業と販売の関係からマーケティングへの示唆を考えました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • 営業はお客さんの問題解決を目的とし、販売はその手段

  • 営業と販売の関係はマーケティングにも当てはまる。マーケティングとは 「お客さんから選ばれる理由」 をつくる活動全般。選ばれるための手段として広告がある

  • 広告が目的化してしまうと本来不要な広告にもリソースを浪費し、効果的なマーケティング活動にならない

  • マーケティングの原点に立ち返り、「お客さんが自分たちを選ぶ理由」 をつくり出すための広告や調査を行うことが大事


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。