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コカ・コーラを日本一売った男の営業に学ぶ、マーケティングで成功する方法

#マーケティング #営業 #本

マーケティングの世界で成功を収めるには、どうすればいいのでしょうか?

マーケティングのテクニックや知識ももちろん重要ですが、それ以上に大切なのは、お客さんと商品に対する深い理解と敬意ではないでしょうか。

書籍 「コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌 (山岡彰彦) 」 は、まさにこの視点から、営業の本質に迫り、マーケティングにも示唆に富む一冊です。


著者の山岡さんの数々の失敗と成功を通じて得られた営業への洞察は、マーケティングにも新たな光を当ててくれます。

本書の概要



著者は、地方 (四国) の営業所から社会人をスタートし、最初は 「いつ辞めるか」 ばかりを考えていた営業パーソンでしたが、その後に日本コカ・コーラの販売で日本一になるほどの活躍をされた方です。

この本では、日本一に至る過程で得た学びについて、営業日誌に書かれているような具体的なエピソードを通して学ぶことができます。営業の範囲を超え、仕事や、もっと言えば人生に活かせる教訓を読者は得られます。

一般的に、大切なことというのは抽象レベルが高い内容で、「~ は大事である」 と書かれているだけでは、あまり心に響くことはないかもしれません。しかし、この本では著者自身が体験した営業の実話について、当時の状況を具体的に読み進めることで、大切なことの意味を腹落ちして理解できます。

メーカーの営業担当者として重要なことはもちろん、人としてどうあるべきかという人間力や人格形成への示唆も随所にあります。

学べること


では、この本から私が学びを得られた内容を、いくつか共有します。

お客さんと商品に敬意を払う 「敬店愛品」 

本書で強調されているのは、お客さんと商品に対する深い敬意です。稲盛和夫氏の 「敬天愛人 (天を敬い人を愛する) 」 という言葉を元に、「敬店愛品」 という考えが提案されています。お店を敬い、自分たちの商品を愛するという心構えで、営業活動の基盤として重視されています。

敬店愛品は営業の本質を表現しています。お客さんと商品に対する真摯な姿勢は、相手は自然と感じ取るものです。営業は単に商品を売る活動ではなく、相手に対して誠意と敬意を持ち、商品が提供する価値を伝える行為なのです。

商品の価値をお客さんの視点から考える

商品を売る際には 「こちらの都合」 ではなく 「相手の都合」 で考えることが重要です。営業の基本は、自社の都合ではなく、お客さんの立場に立って考えることです。

本書に書かれていたあるエピソードでは、レストランや喫茶店に自社製品を置いてもらうことだけを考えていた著者に、当時の部長から 「相手が何を望んでいるか」 を考えてみるよう指導を受ける場面が描かれています。自社の商品が欲しい、あったらうれしい、我々の機材を置いたら便利になるのはどこかという視点です。

営業の順番は、まず相手の立場に立ち、どこでその商品が役立つかを探ることからです。商品を買ってくれるかどうかは、相手にとってどれだけ価値があるかにかかっています。

営業は 「売る」 のではなく 「買ってもらう」 

著者の山岡さんは、営業とは 「売る」 のではなく 「買ってもらう」 活動だと強調します。

営業パーソンがどれだけ自分の主張を押し通そうとしても、相手にとって魅力的でなければ買ってもらえず、ビジネスは成立しません。

相手の立場に立ち、懸念や疑問に対して親身になって応え、相手目線でメリットを丁寧に説明することによって、お客さんは安心して商品を 「買おう」 と決断をしてくれます。この 「買ってもらう」 ための営業スタンスをとることこそが、本当にお客さんに支持される営業パーソンになれる秘訣でしょう。

現場主義の徹底と新たなビジネスチャンス

現場を理解することの大事さも、この本から学べます。

著者は担当していた小売店チェーンの常務から、「私たちのお店で買い物をしたことがない営業の意見は自分たちには届かない」 という指摘を受けました。

言わんとしているのは、机上やオフィスでデータを見ているだけだったり、人から聞いた話だけに頼るのではなく、自分の足で現場をまわりお客さんの様子を観察したり、ときには自らがひとりのお客さんとしてお店を利用してみることで、顧客ニーズや課題を直接感じ取ることができるということです。

現場には新しいビジネスへのチャンスの種が眠っています。

この本で紹介されていたエピソードに、飲食店向けに導入してもらうドリンクバーを、家具店やパチンコ店、さらには葬祭会館といった一見関連がなさそうな場所にも提案していった話が出てきます。

新規開拓は 「今ままでの延長線上でものを考えない」 という教訓を得た事例ですが、従来の発想にとらわれず、新しい市場を見出す発想が重要です。常識にとらわれず、自社商品が 「欲しい」 と思われるシチュエーションを発見し、新規の取引をつくりだしたエピソードは、考え方や視点を変えることの重要性を教えてくれます。

学び続ける姿勢

学び続ける姿勢の重要性も、この本には書かれています。

どれだけ専門知識を持っていても、それだけでは十分とは言えません。著者は若いころに上司から 「一日30分、本を読むといい」 というアドバイスをもらったそうです。そして、ただ何となく本を読むのではなく、明日から実践できるヒントや知恵を得るという姿勢も学びます。

知識の裾野を広げ、様々な視点からアプローチすることによって、仕事での活動はレベルアップしていきます。焦らず、日々少しずつでも学びを続けることにより、自身のスキルや人間性は向上していき、それが結果につながるのです。

まとめ


今回は、書籍 「コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌 (山岡彰彦) 」 を取り上げ、学べることを見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • 「敬店愛品」 とは、お客さんと商品に対して深い敬意を払うという考え方。この姿勢を続けることで、お客さんとの信頼関係の構築につながる

  • 商品の価値をお客さんの視点から捉える。自社都合で商品を売るのではなく、相手の立場に立ち、商品が 「便利」 「欲しい」 と感じられる場面を探り、お客さんにとってどのように役立つかを第一に考える

  • 営業とは 「売る」 のではなく 「買ってもらう」 活動。相手の立場に立ち、懸念や疑問に対して親身になって応え、相手目線でメリットを丁寧に説明することによって、相手は安心して商品を 「買おう」 と決断をしてくれる

  • 現場には新しいビジネスの種がある。既存の発想にとらわれず、新たな市場を開拓するためにも、机上でのデータや論理だけにとどめず、実際に現場を訪れてお客さんのことを知ることが大事

  • 今どれだけ専門知識を持っていても、それだけでは十分とは言えない。学び続けることが重要。焦らず、日々少しずつでも学びを続け、自身のスキルや人間性は向上していき、それが結果につながる

この本は、営業という職業への具体的なエピソードと、著者が得た洞察をもとに、成功するための心構えや具体的な行動が語られています。

営業パーソンの方ではなくても、仕事で人とどう接するかに学びが得られます。



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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。