2月11日は日本では 「建国記念の日」 です。この日は、日本書紀が伝えるには、初代の天皇である神武天皇が即位した日とされています。神武天皇が即位したのは旧暦では1月1日で、明治期に新暦の2月11日と換算されました。
神武天皇が即位したのは紀元前660年、今から2700年ほど前です。大和地方での橿原宮で即位しました。橿原宮は今でも橿原神宮として奈良県に存在しています。
初代天皇から現代までつながっている
世界の国々と比べた時に、日本の特徴は約2700年の間、天皇制がずっと続いていることです。これは他にはない類まれな歴史です。
単に制度として存在し続けているだけではなく、日本の皇室は 「万世一糸」 なのです。万世一糸とは永久に1つの系統が続くという意味です。
平成時代の天皇である明仁親王は125代目。1つの系統というのは、天皇の 「父親」 をたどっていくと、1代目である神武天皇に行き着くことです。明仁親王の父親 (昭和天皇) の父親 (大正天皇) の父親 … といくと、最後は神武天皇までつながるのです。
このように全ての天皇が男系天皇でした。なお、男系天皇と男性天皇は意味が違います。前者の男系天皇というのは、父親が天皇であることです。天皇が全て男性天皇であったわけではなく、過去には男系の女性天皇は推古天皇など8人いました。
神話からもつながっている
全ての天皇は系統としてつながっているのですが、これを神話の世界に広げてもつながっています。
日本の神話では、伊弉諾尊 (いざなぎのみこと) と伊弉冉尊 (いざなみのみこと) という男女神がいます。2人には3人の子どもがいて、天照大神 (あまてらすおおみかみ) がそのうちの1人。
初代天皇の神武天皇は、この天照大神の子孫とされています。系統で言うと、神武天皇のおじいさんのおじいさんのお母さんが天照大神です。
もちろん、神話の世界ではありますが、神話から現在まで皇室が1つにつながっているというのはとても価値のある歴史だと思っています。
このような文明は日本だけです。同じことが海外でもしあると仮定すると、例えばギリシャ神話のゼウス神とされる子孫が、今もギリシャの国王として断絶することなく続いているというイメージです。
多くの神話は現実とは切り離された存在ですが、一方で、神話にはその民族の持つ哲学、理念が反映されていると思います。日本においては今なお、神話と現在がつがなっています。この意味は大きいとあらためて実感します。
世界史の多くの国では、常に王朝が変わる歴史を持っています。王朝が変わるときには支配する民族も変わりました。平和的な権力交代ではなく、新しい王朝が、それまでの皇帝や王だけではなく一族も追放されたり殺害された歴史があります。
このような歴史が良い悪いとかではありませんが、皇室の断絶が日本では1回も起こらなかったことは特筆すべきことです。
日本と他国を比べて日本が優れているなどの優劣を言うつもりはありません。日本では神話から現代までが1本でつながっている国体 (国の体質) は、伝統や歴史、文明としての重みを私は感じます。
日本人に生まれ、日本を祖国として誇りに思う理由の1つです。