統計学が最強の学問である [実践編] - データ分析のための思想と方法 という本をご紹介します。
エントリーの内容です。
- 統計学を使う3つの目的
- 本書で扱う統計学は3つめの 「因果関係」
統計学を使う目的
タイトルに実践編とあるように、前作 統計学が最強の学問である に比べると、統計学をどう使うか、特にビジネスにどう活用するかに軸足が移った内容になっています。
著者は、統計学は使う目的は大きく3つに分けられると言います。
- 現状の把握のため
- 将来予測のため
- 人間を洞察するため因果関係を知ること
3つの目的を 「健康診断」 や 「医者からの診断」 に当てはめると
これら3つの違いを理解するために、健康診断や医者からの診断に例えるとわかりやすいです。
1. 現状把握
健康診断によって、自分の今の健康状態を知ることです。体重や体脂肪率、血圧、心拍、視力や聴力、血液状態、肝臓の状態などの各検査結果から、どこに健康上の問題がありそうなのかを知ることができます。
2. 将来予測
健康診断や人間ドックの結果から、例えば、今の生活を続けると、将来に糖尿病の可能性が xx% 上がるということです。極端な例で言うと、あなたの余名はあとxx年 (残り何年生きられる) というものです。
3. 因果関係を知る
医者からの診断によって、普段の生活の何を改善すればより健康になれるのか、余命を伸ばせるのかを把握することです。心身ともに健康的な生活を送ることを目的とし、そのためにどんな取り組みをすれば目的に寄与するかという因果関係を知ることです。
本書で扱うのは 「人間の行動を因果関係を知るための統計学」
統計学を使う3つの目的のうち、本書で扱われているのは、3つ目の人間の行動を洞察するための統計学です。
以下は本書からの引用です。
調達や仕入れを担当する部門の人であれば、仕入れ価格や出荷数の変動を予測して対処するということが一番の関心かもしれないが、マーケティング部門などではしばしば予測よりも洞察のほうが重要になる。
たとえば、いざ完成した商品に対して、「この商品がいくつ売れるか」 という正確な予測よりも、「どのようなプロモーションをすれば商品が売れるか」 「どのような商品を作ればヒットするか」 という洞察のほうが利益の源泉となるのだ。
すなわち、購買という求める結果の背後にどのような原因が存在するか、という因果関係を探り当てることが重要なのである。
(引用:統計学が最強の学問である [実践編] - データ分析のための思想と方法)
最後に
本書が最も刺さると思うターゲット読者は、データ分析者というよりも、分析されたレポートを読み、報告や提案内容をどう次に活かすかの判断する人です。
データや集計情報、考察された結果や示唆をどう読むかのリテラシーを高めてくれる本です。