
もうダマされないための経済学講義 という本で紹介されていた、遺伝子組み換え食品の開発の話が興味深かったので、今回のエントリーで取り上げます。
多様化する遺伝子組換え作物
以下は本書からの引用です。
遺伝子組換え作物自体も、これからは多様化してきます。
(中略)
ゴールデンライスという、ビタミン A の前駆体がたくさん含まれているお米も研究されています。開発途上国では、ビタミン A 欠乏による失明などが起きていますので、その解決につながると期待されています。
日本で開発中の花粉症緩和米などもインパクトがあるかもしれません。これは、コメに花粉症の原因となる物質を作らせて、それを毎日食べることで体を少しずつその物質に慣れさせ、花粉が飛んで来ても発症しないようにするというもので、非常に大胆で独創的な研究です。
遺伝子組み換え食品への期待
私自身の遺伝子組み換え食品の理解が、作物に除草剤耐性を持たせたり、干ばつに強い品種にするなど、作物をより効率よく作るためにあると認識していました。
一方で、上記の引用で紹介した遺伝子組み換え作物は、食品自体の栄養価を高めたり、プラスアルファの付加価値を持たせることを目的としています。
花粉症緩和米については、米の中に花粉原因物質を入れますが、この方法を、病気に対するワクチンに応用できれば、さらに価値を生むのではと思います。
お米や、小麦などを食べることを通じて、例えばコレラの感染症を防ぐワクチンを投与することが可能になるのではないでしょうか。
食事を通じて投与できるだけではなく、ワクチンの保存と運搬もお米を通してできるので、もしかするとここにもメリットがあるのかもしれません (常温で運べ長期保存が可能になるなど) 。
多くの人は知らない間に遺伝子組み換え食品を口にしている
遺伝子組み換え食品というと、日本では消費者の中で抵抗の強いものです。例えば、スーパーなどで売られている豆腐や納豆のパッケージには 「大豆 (遺伝子組換えでない) 」 と明記されています。
多くの消費者は、自分は遺伝子組み換えを原料とした食品は食べていないと思っているのではないでしょうか。
しかし、実態は異なります。最後に、同じく もうダマされないための経済学講義 からの引用です。
食用油や、清涼飲料水に使われている異性化液糖などは、遺伝子組換え作物を原料として作られていても、表示義務がありません。分析しても遺伝子組換え原料を使っているかどうか判別がつかないからです。
食品企業は、判別がつき表示義務がある豆腐や納豆などには、遺伝子組換え作物を使いませんが、表示義務のない食品の原料には使っています。
したがって、ほとんどの人が遺伝子組換え作物から作られた食品を食べているのが実態です。