レポートの組み立て方 は、1994年に発売された本です。
エントリーの内容です。
- 本書の内容
- 良いレポートの3つの条件
本書の内容
内容紹介を引用します。
レポートの役割は、事実や情報を取捨選択して整理し、それについての作成者の意見を加えて、読み手にわかりやすく伝えることである。
そのためには、事実と意見を区別することを学ぶとともに、伝達手段としての言語技術の訓練が欠かせない。『理科系の作文技術』で話題をよんだ著者が、豊富な具体例をもとに、そのノウハウをわかりやすく説く。
良いレポートの3つの条件
本書で示されている良いレポートは、次の3つを満たしていることです。
- 事実と意見が区別されている。事実が客観的に書かれ、意見は根拠 (事実) に基づいている
- 主題という最も言いたいことが明確である
- 読み手にとってわかりやすく書かれている
1. 事実と意見が区別されているか
1つめの事実と意見の区別は、本書で何回も出てきます。それだけ著者が強く言いたかったことだというのが伝わってきます。
レポートにおいては事実部分が主体であり、事実だけで完結してもいい場合もあると著者は言います。
レポートに求められる基本要件は2つです。事実という土台があり、その上に事実に基づく意見が乗っていること、事実と意見は区別されていることです。
2. 主題は明確か
2つめについて、主題とは、事実と意見から導かれる、自分が最も言いたいことです。
例えば、レポートを、パワーポイントなどのスライド形式でつくるケースで考えてみます。主題というキーメッセージは、1枚のスライドに1つずつ存在します (1スライド 1メッセージ) 。
レポートは章立てになっているはずで、章ごとにも各スライドのメッセージをまとめた主題があります。その章ごとの主題をさらにまとめた内容が、レポート全体としての主題になります。
主題がピラミッド構成になっていて、各スライドごと、章ごと、全体として、大きくは三回層で成り立っているかです。
3. 読み手にわかりやすいか
3つめの 「読み手にとってわかりやすく書かれている」 かどうかです。
主題が明確で、その主題は事実と意見を根拠にしているかです。事実と主題の書き方や表現の仕方に一貫性があるか (ロジックがつながっているか) です。
一貫性について補足をしておきます。事実の伝え方は、表現としてグラフを使うことも多いでしょう。
レポートを読んでいてよく見るケースは、主題で言いたいことが、必ずしもグラフで適切に表現されていないことです。そのスライドで主題としてそう言いたいのであれば、グラフの使い方はこうではない、と思うことがしばしばあります。
最後に
レポートの書き方について、思い返してみると私自身の場合は、どこかで体系立てて習ったことはないことに気付きます。レポートを読んだり、自分が作っていく中で、なんとなく書き方のコツみたいなものが身についたように思います。
その意味で、本書はレポートの作り方の基本が、事例とともにわかりやすく説明されていて、参考になる1冊です。