2015年後半から2016年前半で聞くようになったのは、個人の資産運用に 「ロボアドバイザー」 を提供する日本のスタートアップ企業のニュースでした。
使っているロボアドバイザー
ロボアドバイザーは、資産運用の全て、またはほとんどを自動アルゴリズムがやってくれます。ファンドマネージャーなどの人がやっていたことを機械が担います。
2016年6月現在で、日本の資産運用ロボアドバイザーで興味があるのは、
- THEO (テオ):THEO は2016年2月からサービスを開始
- WealthNavi (ウェルスナビ):事前登録者のみで一般公開はこれから (2016年6月現在)
- FOLIO (フォリオ) :2016年秋頃のサービス開始を目指している
これら3つのうち、THEO とウェルスナビを使っています (2016年6月現在) 。以下は関連エントリーです。
今回のエントリーでは、資産運用ロボアドバイザーを自分の資産運用にどう活用するかを考えてみます。
これまでの資産運用の状況
ロボアドバイザーを考える前提として、現状の私の資産運用をご紹介します。
2016年6月現在、自分が保有する金融資産を大きく5つのカテゴリーに分けて管理しています。
- キャッシュ:財布や家にある現金、銀行口座の預金、証券会社の MRF
- 日本株式:主に日本株式に投資するアクティブ投資信託、個別株
- 外国株式:先進国と新興国のインデックス投資信託
- 外国債券:海外債券のインデックス投資信託、FX
- 年金:国民年金と厚生年金、個人型確定拠出年金 (401k)
資産配分 (アセットアロケーション) の目標は、以下で設定しています。() 内は2016年5月末時点の実際の構成比です。目標に比べ、手持ちのキャッシュがやや多い状況です。
- キャッシュ 25% (30%)
- 日本株式 35% (32%)
- 外国株式 20% (17%)
- 外国債券 10% (7%)
- 年金 10% (14%)
この比率に合うように、5つのカテゴリーそれぞれで以下の投資信託に、毎月自動積立で投資をしています。
- 日本株式:ひふみ投信、ひふみプラス、結い2101、コモンズ30ファンド
- 外国株式:EXE-i 先進国株式ファンド、EXE-i 新興国株式ファンド
- 外国債券:三井住友・DC外国債券インデックス
- 年金:EXE-i 先進国株式ファンド (個人型確定拠出年金)
まとめると、日本株式はアクティブ投信信託、それ以外はインデックス投資信託です。
ロボアドバイザーの位置づけ
資産運用ロボアドバイザーの THEO とウェルスナビは、海外 ETF (上場投資信託) に投資をします (2016年6月現在) 。
自分の5つのカテゴリーで言えば、外国株式と外国債券に当てはまります。当面は、ロボアドバイザーと、これまでの上記インデックスファンドの両方を使います。
6ヵ月 ~ 1年程度のロボアドバイザーの運用成績を見て、外国株式と外国債券のインデックスファンドからロボアドバイザーに完全にスイッチするか、引き続き併存させるかを判断しようと思っています。
運用成績とコスト
判断基準は、パフォーマンス (運用成績) とコストです。
コストについて、ロボアドバイザーは年間で預かり資産の 1% が手数料です (厳密にはプラス消費税) 。インデックスファンドで投資している 「EXE-i 先進国株式ファンド」 「EXE-i 新興国株式ファンド」 「三井住友・DC外国債券インデックス」 の3つは、信託報酬で概ね 0.3% ~ 0.4% の間くらいです (2016年6月現在) 。
単純に比較すると、ロボアドバイザーのほうが約3倍程度のコストがかかります。その分、インデックスファンドよりも良いパフォーマンスが残せるかどうかです。
ちなみに、国内株式の投資先として使っている 「ひふみ投信」 の信託報酬は 1% 超なので、ロボアドバイザーのコストを、アクティブファンドとして見れば同レベルの低コストと見ることもできます。
人とロボット
ロボアドバイザーは、人ではなくロボット (自動アルゴリズム) が投資 ETF 銘柄や売買タイミングを決めます。資産運用における、人に対するロボットの挑戦という見方ができます。
日本では、2016年時点では数社のスタートアップがサービスを提供している程度ですが、今後は多様な投資先でロボアドバイザーが広がるでしょう。THEO やウェルスナビは海外 ETF ですが、国内の個別株や国内 ETF を投資対象にするサービスもいずれは出てくると思います。
もし、国内株式へのロボアドバイザーが登場した場合、自分の現在の投資先である 「ひふみ投信」 「結い2101」 「コモンズ30ファンド」 などの、人が運用方針を決めるアクティブ投資信託から切り替えるかどうかです。
ロボアドバイザーよりも志のあるアクティブ投資信託を選びたい
現時点の結論から言うと、国内株式のほうはもしロボアドバイザーが出てきても、人のほうのアクティブファンドを使います。多少はロボアドバイザーも組み込むことはあっても、ひふみ投信などのアクティブファンドをやめることはないでしょう。
なぜかと言うと、ロボアドバイザーにはなく、人によるアクティブファンドのほうには投資先を選定する 「志」 があるからです。ひふみ投信、結い2101、コモンズ30ファンドは、それぞれ以下の投資先選定の方針を持っています。
ひふみ投信
運用チームが 「この企業のミッションは何か?」 、「この企業が作っている製品は世の中に必要とされているか?」 といった視点で企業を発掘し、株価水準が割安と考えられる企業に投資。
「資本市場を通じて社会に貢献する」 という企業理念に基づき、顧客から預かった資産を主に国内の上場株式に投資する (なお、2016年6月現在は米国株式への新たな投資を検討中とのこと) 。
結い2101
これからの社会に本当に必要とされる会社、ファンとなって応援したくなるようないい会社に投資する。
顧客の大切なお金が社会の水脈となり、豊かな社会や本当の価値を醸成したい。調和の上に成り立つ社会の発展と顧客のお金の成長の循環を目指す。
コモンズ30ファンド
企業の分析と調査を徹底的に行い、対話を重ね、「投資委員会」 でメンバーの経験、知見、視点を共有して投資先を決定する。
世代を超えて持続的な価値創造が期待できる企業、不透明な時代でも環境の変化を自らの進化で乗り越えていく強い企業を選定。収益力だけではなく、競争力や経営力に優れ、企業文化が浸透しているかを見る。
以上の3つのアクティブファンドへの投資を決めたのは、こうした運用方針に共感したからでした。
一方のロボアドバイザーは、確かに金融アルゴリズムによる選定は魅力ですが、上記のようななぜその銘柄を選んだかの志が見えません。
ここに、ロボットにはなく、人であるファンドマネージャーの存在意義があると思っています。