
Free Image on Pixabay
ブロックチェーン・エコノミクス - 分散と自動化による新しい経済のかたち という本をご紹介します。
エントリー内容です。
- 本書の内容
- ブロックチェーンの本質
- スマートコントラクト
本書の内容
以下は本書の内容説明からの引用です。
ブロックチェーンの技術と仕組みを理解するとともに、最新動向・知見から組織・社会・経済へのインパクトを考える画期的論考の本!
この本に書かれている内容は、主に以下についてです。
- ブロックチェーンの技術と仕組み
- デジタル経済とブロックチェーンの関係
- 自律分散型組織とブロックチェーン経済の展望
それぞれについて簡単に内容をご紹介します。
1. ブロックチェーンの技術と仕組み
- インフラとしてのブロックチェーンが持つ様々な可能性を概観
- ブロックチェーンを活用するサービスの最新事例を紹介
- ブロックチェーンの技術と基本的な仕組み、暗号化や取引構造などの解説
2. デジタル経済とブロックチェーンの関係
- IoT やスマートコントラクトがもたらす超自動化社会がどのような形になるのか
- フィンテックへの影響、中央銀行によるデジタル通貨の可能性を考える
- 来るべきデジタル経済とブロックチェーンの関係を展望する
3. 自律分散型組織とブロックチェーン経済の展望
- 「ブロックチェーン・エコノミクス」 のあり方を提唱
- ブロックチェーンが実現する 「自律分散型組織」 について、組織経済学からの考察
- 新たな産業組織の姿、ICO (Initial Coin Offering) などの最新動向の事例を紹介
ブロックチェーンの本質
ここからは、本書を読んで興味深いと思ったことです。
この本では、ブロックチェーンの本質とは、「インターネット技術の上に構築される、価値交換の分散型インフラ技術である」 と説明されます。
ポイントは2つあります。価値交換と分散型インフラです。
価値交換
価値を交換するためには、2つのことが成立していなければなりません。
- どんな価値を誰が持っているのか
- 誰と誰において価値が交換されるのか
ブロックチェーンは価値の交換を可能にするために、情報が記録され、かつ、改ざんや二重履行を防ぐように設計されています。
例えばビットコインでは、コインをどこから手に入れ、誰に支払おうとしているのかが一つのデータファイルにまとまっています。データファイルには、現時点で誰が持っているかを示すために電子署名が付きます。
この仕組みによって、情報資産が誰から誰に渡ったのかを管理でき、二重利用などを防いでいます。データや資産の取引履歴が残っているのは、ブロックチェーンの特徴です。
分散型インフラ
ブロックチェーンの特徴は、価値交換の仕組みを中央が管理するのではなく、分散していることです。中央とは特定の事業者 (国や銀行など) です。決められた管理者ではなく、不特定多数が分散して運営されています。
インターネットは分散型の情報交換インフラです。ブロックチェーンは、不特定多数の運営者の連携により、国境を越えて価値の交換を可能にします。
スマートコントラクト
ブロックチェーンで興味深いのは、ブロックの中に資産情報というデータが記録されるだけではなく、プログラムも実装できることです。具体例は、スマートコントラクトです。
契約をプログラムで自動化できる意味
スマートコントラクトでは、ブロックチェーン内に載ったプログラムが、資産の移転や付随業務などの契約を自動的に実行します。
契約に関する処理が自動化できることによって、契約内容の実行に必要な人による前処理や後処理を省力化することができることです。
さらに、取引コストを削減できます。取引コストとは例えば、契約相手を探す、契約内容を交渉する、履行状況を監視する等です。
取引コストを自動化によって下げられるので、人がやると手間のほうがかかり、取引に至らなかった規模の小さい取引も行えるようになります。
IoT へのブロックチェーンの実装
ブロックチェーン内にプログラムが実装されることによって期待できるのは、多頻度・小規模・多様な主体での連携が可能になることです。例えば、モノのインターネットである IoT です。
スマートコントラクトを IoT に適用すれば、デバイスが連携するごとに、契約を結び、処理を行い、支払いまでを全て自動で完了することが可能になります。デバイス同士がメーカーや規格を越え、自由に連携しあう状態です。
スマートコントラクトの本質
スマートコントラクトの本質は、コードをブロックチェーンに埋め込むことにより、外部の中央管理者から独立した処理を自動で行えることです。
何かの業務や活動を、中央管理者なしに実行できることに意味があります。上下関係のある階層型組織ではなく、分散型組織です。