
1188回目のブログ更新です。
人工知能の核心 (羽生善治) という本をご紹介します。
このエントリーで読んでいただきたい内容は、以下です。
- 本書の内容
- 人の特徴。生存本能として持つ力
- 人と AI が互いに学び合う関係
本書の内容
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
人間にしかできないことは何か。
2016年3月、人工知能の囲碁プログラム 「アルファ碁」 が世界ランクの棋士を破った。羽生善治は、その勝利の要因を、「人工知能が、人間と同じ "引き算" の思考を始めた」 とする。
もはや人間は人工知能に勝てないのか。しかし、そもそも勝たなくてはいけないのか─。NHK スペシャル『天使か悪魔か─』の取材をもとに、その先を描く。
天才棋士が人工知能と真正面から向き合い、その核心に迫る、"人工知能本" の決定版。
人の特徴
この本を興味深く読めたのは、人工知能そのもの以上に、対比で語られる側にある人の特徴でした。
印象に残っているのは、具体的には以下です。
- 大局観。大体このあたりであると瞬間的に見て取れる直観
- 無駄な情報を扱うことを減らす 「引き算の思考」 に、人間の頭脳の使い方の特徴がある (ただし本書ではディープラーニングには引き算の要素が入り始めていると指摘)
- 経験を積むことによって、「こうすればうまくいく」 より 「これをやればうまくいかない」 がわかるようになる
- 筋の良いものに美しさを見い出すことができる美意識。恐怖心を持っていることも人の特徴
- 汎用性。人は、一つの分野での知識を別の分野に応用ができる
生存本能として持つ力
上記の人の特徴を深掘りしてみます。
人の特徴を俯瞰して思ったのは、
- 左脳でロジカルに出すよりも、右脳で全体的に導くもの
- 過去の自分の経験 (体験知) や暗黙知がもとになっている
- これらは本能として組み込まれているのではないか
3つめについて補足です。
引き算の思考での情報を捨てること、知識を別のことに活かすための抽象化は、枝葉ではなく本質を捉える力です。脳は複雑な情報は処理できないので、いかに脳が素早く本質をつかむために必要な能力だと理解しました。
思ったのは、美しいものを見い出す美意識や恐怖心も、本能として組み込まれているのではないかということです。
人が持つ生存本能、つまり死なずに生き延びるために獲得した力で、本能として持っている人の能力ではないかと、読みながら考えさせられました。
人と AI が互いに学び合う関係
もう1つ、本書でおもしろい視点だと思ったのは、人と人工知能 (AI) の関係です。人と AI の共存で、お互いに学び合う関係です。
AI は、人が作成した学習データによって学習をします。
人間の側も AI から学ぶことを、将棋を例に説明されています。AI が提示したアイデアを参考に、棋士は将棋の新しい打ち手を考えたり、そこから将棋の技術が進歩するケーズが非常に多く起こっていると言います。
印象的だった表現は、単に AI が導き出した結論を知るだけではなく、それによって明らかになった人の思考の盲点を見つけることができるというものです。
まとめ
今回の内容のまとめです。
- 機械に比べて人が持つものの特徴は、大局観や経験から得られる暗黙知、美意識、恐怖心、汎用性 (別のことに応用ができる力)
- これらで思ったの人間の特徴は、① 左脳でロジカルに出すだけではなく、時には右脳で全体的に導くことができる、② 直感は過去の自分の経験 (体験知) や暗黙知がもとになっている、③ 大局観や美意識、恐怖心は本能として組み込まれている能力
- 人と AI が互いに学び合う関係を目指す。AI は人が作成したデータから学習する。人間も AI が導き出した結論から、自分たちの思考の盲点を見つけるという相互に学び合う関係
最後に
今回は、人工知能の核心 という本を読んで思ったことを書きました。
この本が興味深く読めるのは、人工知能の最新事例がただ書かれているだけではなく、羽生善治氏のフィルターを通して紹介されていることです。
羽生善治氏が、その技術や事例を見て何を思ったか、対比される人間の特徴や可能性は、あらためて考えさせられる一冊です。
人工知能の核心 (羽生善治)