今回は、マーケティングについてです。
この記事でわかること
- マーケティングの定義
- 定量評価の数式 M
- M を増やす方法
- 選ばれることの掘り下げ (マーケティングの本質論)
記事では最初に、マーケティングとは何かをシンプルな一言でご説明します。
後半は、マーケティング活動の結果指標である M という考え方をご紹介します。そこから M を使って 「マーケティングとは何をやることか」 を掘り下げていきます。
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。
マーケティングの定義
皆さんは、「もしマーケティングとは何か」 と聞かれれば、どのようにお答えになるでしょうか?
私の一言の定義は、マーケティングとは 「顧客から選ばれる理由を作る活動を全般」 です。選ばれるとは、買ってもらえる・使ってもらえる・来店/訪問される・指名されるです。
マーケティングとは選ばれるための活動です。ではその活動が適切にできたかは、どのように評価すればいいのでしょうか?
マーケティングの定量評価指標 M
ご紹介したいのは M という数式です。
元々この考え方を知ったのは、確率思考の戦略論 - USJ でも実証された数学マーケティングの力 という森岡毅さんと今西聖貴さんの本からです。
M とは、ターゲット顧客における 「1人あたりの選択回数」 です。
M を数式で表すと以下のようになります。
M = 全選択数 ÷ ターゲット顧客数
- 全選択数 (分子) : 延べ選択回数
- ターゲット顧客数 (分母): ターゲット全体の人数。自社ブランドを選ばなかった人も含む
M は、自社ブランドを顧客が選択した延べ回数を、ターゲット顧客の人数で割ったものです。例えば、延べ選択回数が100回で、ターゲット顧客が200人なら、M の値は 0.5 です。
マーケティングとは、「顧客から選ばれる理由を作る活動を全般」 とご説明しました。M とは、マーケティング活動の結果指標です。アクションという打席数に対して、M は結果である打率に当たります。
ではここからは M という観点から、どんなマーケティングのアプローチをしていけばいいかを掘り下げていきましょう。
M を増やすためには、どうすればいいか?
マーケティングとは、顧客から選ばれる理由をつくる活動全般でした。これを定量的に評価するために、1人あたり選択回数である M を使います。
では、M を増やすアプローチはどうすればいいでしょうか?
M を増やす方法
- ターゲット顧客を絞る
- ターゲット顧客の中での選択者を増やす
- リピート数を増やす
- ターゲット顧客を広げる
それぞれについて順番にご説明しますね。
[方法 1] ターゲット顧客を絞る
1つ目のターゲット顧客を絞るのは、M の分母に寄与します。
買ってくれなそうな人たちをターゲットから外し、分母の数を少なくすることによって、結果的に M の値を大きくするアプローチです。
自分たちの商品やサービスを買ってくれそうな人は誰なのか。この視点で、まずはターゲット顧客を絞っていきます。ただし、これだけでは不十分で、自分たちから見て 「買ってほしい人」 もしっかりと定めます。
顧客と自分たちとで相思相愛の関係を目指すのが理想です。
[方法 2] ターゲット顧客の中での選択者を増やす
2つ目のアプローチは、ターゲット顧客の中から選んでくれる人を増やします。ターゲットの中からシェアを増やすイメージです。
選ばれるというのは、買ってもらえる以外にも、来店されるなどがあります。購入経験率以外の指標としては、来店率・訪問率などを使います。
[方法 3] リピート数を増やす
延べ選択回数を増やすためには、リピート顧客を増やして何度も選択してもらいます。
LTV を高めロイヤルティの高い顧客になってもらうアプローチです。
[方法 4] ターゲット顧客を広げる
1つ目の方法 「ターゲット顧客を絞る」 とは逆のアプローチです。
意図的に顧客を広げます。今の提供ソリューションと同じでも訴求できる顧客セグメントが存在するなら、顧客は広げることも選択肢になります。
一人当たり選択回数である M は、「M = 全選択数 ÷ ターゲット顧客数」 です。分母のターゲット顧客を増やし、広げた新しい顧客からも既存顧客と同程度に選ばれれば M は維持できます。
新しい見込み客から選ばれ、リピートを増やしていけば M も向上します。
* * *
ここまで、1人当たり選択回数 M を増やすために、どうすればいいかを見てきました。
ではここからは、「そもそも選ばれるとはどういうことか」 について掘り下げて見ていきましょう。
選ばれるとはどういうことか?
自分たちが選ばれることを分解すると、次のようになります。
選ばれるとは
- 知ってもらっている (認知)
- 選ぶことができる (機会)
- 顧客にとって意味がある (価値)
1つ目の認知には、二段階があります。言われれば思い出せるという助成想起、言われなくても自分で頭に浮かぶという純粋想起です。
より強いのは後者の純粋想起です。さらに純粋想起の中でも、一番始めに思い出すのが第一純粋想起 (Top of share mind) です。最初に思い浮かぶので、最も選ばれる可能性が高くなります。
次に、選ぶことができるという機会があることも大事です。マーケティングの観点で言えば、店頭に商品が置いてある配荷です。せっかくの選ばれる状況の機会損失をなくすという考え方です。
ここまでが選ばれるための最低限で、土俵に上がれている状態です。勝負はここからです。
選ばれることの本質は価値があることです。では、価値とは何でしょうか?
「選ばれる」 と価値
マーケティングの観点で価値を別の言葉で表現すれば、競合優位性です。
優位性とは、顧客視点に立てば得られる価値です。顧客にとって他との違いが認識でき、かつその違いに意味があることです。
価値には機能的に便利もの、デザイン性が良いなど 「役に立つ」 という機能的ベネフィットと、ストーリーや感情移できるどの情緒的ベネフィットがあります。後者の情緒的なベネットは自分にとって 「意味がある」 です。
他にはない唯一無二な価値ほど、お金を払ってでも欲しいと思ってもらいやすくなります。つまりそれだけ選ばれる確率が高くなるのです。
まとめ
今回は、マーケティングの定義に立ち返り、選ばれるとは何かという観点で考えてきました。
最後にまとめです。
マーケティングと評価式
- マーケティングとは 「顧客から選ばれる理由を作る活動を全般」 。マーケティング活動が適切にできたかは、ターゲット顧客1人あたりの選択回数 M を使う
- M = 全選択回数 ÷ ターゲット顧客数
M を増やす方法
- ターゲット顧客を絞る
- ターゲット顧客の中での選択者を増やす
- リピート数を増やす ターゲット顧客を広げる
選ばれるとは
- 知ってもらっている (認知)
- 選ぶことができる (機会)
- 顧客にとって価値がある