今回はマーケティングの話です。
✓ この記事でわかること
- マーケティングで大事な 「顧客の不」
- 顕在化している不、潜在的な不
- 水面の下に沈んでいる不を見極める
- ある BtoC サービスの事例 (奥にある不と価値提案)
この記事で書いているのはマーケティングで、「顧客の不」 をキーワードに顧客理解と価値提案の方法を掘り下げています。
ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。
顧客の不
マーケティングで大事なのは顧客理解です。
では具体的に顧客の何を理解すればいいのでしょうか?
理解したい1つが 「顧客の不」 です。不とは、不満、不便、不都合、不安、不快感の総称です。マーケティングではペインポイントと言ったりもします。
顧客の不は二種類あります。顧客自身が明確に気づいている 「顕在的な不」 と、自覚していない 「潜在的な不」 です。
では前者の顕在化している不について見ていきましょう。
顕在的な不
顕在化している不は、顧客自身が問題と思っているものです。しかしまだ不に対する解決はできていない状態です。
もし不を解消するソリューションがあれば、顧客には価値があります。
ただし、提供価値への予想外の驚きは大きくはありません。不について顧客自身が認識しているからです。
では、もう1つの潜在的な不を見てみましょう。
潜在的な不
顧客自身ははっきりとは認識していませんが、そうだと気づかされればなんとかしたいと思えるものが 「潜在的な不」 です。
マーケティングで大事なのは、いかに潜在的な不を見つけ解決方法とセットで提供できるかです。
顧客自身はソリューションを提供されて初めて自分が持っていた不、なんとなく日頃から感じていた不に気づけます。その分だけ顧客が得る価値への期待や体験イメージへの驚きは大きくなります。
水面の下の 「顧客の不」 を見極める
ここまで顧客の不について、顕在的なものと潜在的なものの2つに分けて掘り下げてきました。
ここから言えるのは、顧客が自覚できていて訊けば説明してくれる不 (顕在化しているもの) は、顧客が抱えている不の一部だということです。
いわば氷山の一角です。水面の下には、こちらから見えていない顧客の不が存在するのです (潜在的な不) 。
では見えていない顧客の不の事例をご紹介します。
ある BtoC サービスのマーケティング
以前に私がマーケティングで関わった BtoC サービスの話です。
このサービスはアプリでコンテンツを作成できました。コンテンツは保存でき、アプリ内で他のユーザーと共有し合える機能もあります。
このサービスのマーケティングを考えていた時に、当初の新規ユーザーと既存ユーザーへの訴求で想定していたのは次の2つでした。
✓ 当初の訴求ポイント
- アプリ内でのコンテンツ作成の機能とユーザー体験
- シェアし合えるユーザー体験
しかし、その後に別の着眼点が生まれました。
潜在的な不の発見
ユーザーインタビューを続け、社内メンバーとの議論を続けていく中で潜在的な顧客の不を発見できたからです。
ユーザー自身も自覚できていなかったことは、「過去の自分がつくった、または他のユーザーからシェアされたコンテンツを見返したくなっても、すぐにその場で見つからない不」 です。ふと以前のあのコンテンツをもう一度見たいと思った時に、ストレスなく探したい気持ちからでした。
過去にたくさんのコンテンツの中からどうせすぐには見つからない、探して見つからなかった時の残念な感じになりたくないと、探すことを食わず嫌いのように試してすらいませんでした。
ユーザーの中に不はありましたが、顕在化しているほど表面化していなかったのです。
不からの価値提案
新しい顧客の不の発見から、マーケティングチーム内で議論をしユーザーへの訴求方針を変えました。
ユーザーへの価値提案として 「探せる & 見つかる体験」 を打ち出しました。
入り方を 「あなたはこういう不を持っていませんか」 という問題提起からにし、潜在的な不を顕在化させるところからマーケティングコミュニケーションを始めました。その後にセットで不を解決するストーリーを共有しました。
マーケティングとしてやったことをまとめると、次のプロセスです。
✓ 不からの価値提案
- 顧客の潜在的な不を発見する
- 不を解消するソリューションをつくる
- 潜在的な不に気づいてもらい、解決方法を提示する (価値提案)
まとめ
今回は 「顧客の不」 をキーワードにマーケティングについて掘り下げました。
最後に今回のまとめです。
マーケティングで大事な 「顧客の不」
- 不とは、不満、不便、不都合、不安、不快感の総称。ペインポイントと言ったりもする
- 二種類あり、顧客自身が明確に気づいている顕在的な不と、自覚していない潜在的な不
水面下に沈んでいる不を見極める
- 顧客が自覚できていて訊けば説明してくれる顕在的な不は、顧客が抱えている不の一部
- いわば氷山の一角で、水面の下にはこちらから見えていない顧客の不が存在する (潜在的な不)
潜在的な不からの価値提案
- 顧客の潜在的な不を発見する
- 不を解消するソリューションをつくる
- 潜在的な不に気づいてもらい、解決方法を提示する (価値提案)