今回は、マーケティングやプロダクト開発での顧客を理解する方法です。
ユーザーや顧客のインタビュー方法をご紹介します。
✓ この記事でわかること
- 相手の言葉への引っかかりから掘り下げる
- インタビューでの感情表現
- 化学反応と触媒
- 事前準備の方法 (と余白の大切さ)
この記事で書いているのは、顧客インタビューでインサイトを掘り下げる方法です。
インタビュー中に意識するといいこと、事前準備のやり方もご紹介しています。
ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。
相手の言葉への引っかかり
私の専門領域の1つがマーケティングリサーチです。
リサーチ手法の中にインタビューがあります。私の仕事の関係上、顧客やユーザーへのインタビューをする機会はよくあります。
インタビュー中に意識したいと思っているのは、相手の言葉への感度を高めておくことです。言葉の引っかかりを捉えて掘り下げるようにしています。
具体的には?
言葉への引っかかりとは、直感的に相手の言葉の使い方が自分とは違うと思えるものです。
例えば BtoB ビジネスでのインタビューであれば相手の会社特有の言葉の使い方、業界専門用語です。
他には抽象的な表現です。例えば相手が 「これを肌感覚で腹落ちするかが大事なんです」 と発言したとします。この場合の 「肌感覚」 や 「腹落ち」 に何か裏に深い意味がありそうなので、相手にどういう意味で肌感覚や腹落ちという言葉を使ったのかを質問します。
相手の言い方で感情が出てきたなと感じれば、そこも掘り下げたいです。
例えば今までは標準語で話していたのに、急に関西弁になった瞬間です。インタビュー対象者が無意識にも感情が乗って話をしてくれているからです。
インタビューでの感情表現
感情については、インタビューをする側も大切にしたいポイントです。
インタビュー相手のことを 「ここがもっと知りたい」 「興味がある」 と思ったことは、少し大げさにでも相手に伝えようとすると良いです。直接の言葉だけではなく、自分の表情や言い方のトーンからです。
というのはインタビュー対象者にとっては、「自分が話していることが的を得ているか」 という漠然とした不安が常にあるからです。「こんなことまで話していいのかな」 と、話しながらも自信を持てない状態になっているわけです。
そこでインタビュアーは 「もっと訊きたい」 「そこが知りたい」 と声に出して言ったり、非言語の表現 (表情やトーン) で相手に伝えると良いです。
これが次にお伝えしたい良いインタビューとは何かにつながります。
化学反応と触媒
私の経験から、良いインタビューとは 「化学反応」 が起こります。
化学反応とはインタビュアーと対象者の間で、インタビュー中にお互いの気づきから対話が発展していきます。相手の質問や発言を受けて、考えさせられたり新たな発見につながるのです。
お互いが相手への 「触媒」 の役割を果たします。
* * *
インタビューの事前準備
最後にインタビューの事前準備の方法についてもご紹介します。
私は 「準備が8割」 だと思っていて、インタビューで化学反応が起こりうまくいくために準備に時間をかけ大切にしています。
インタビュー対象者の事前情報はなるべくインプットして頭に入れておきます。それと、インタビューの目的や調査課題 (主な論点) 、台本となるインタビューフローも見なくても言えるように記憶します。
準備ができたかどうかの目安は、インタビューに臨む不安よりも楽しみが大きいと感じることです。数式で表現すれば 「楽しみ > 不安」 となれば準備 OK だと判断します。
インタビューでの遊び (余白)
ただし、インタビュー当日は事前のインタビューフローに固執しすぎないことがポイントです。
あらかじめ決めたインタビューの流れに沿ってガチガチに固めすぎると、インタビュー中の余白がなくなります。余白がないと脱線や想定外の話への掘り下げが十分にできなくなります。
相手の思わぬ発言から、顧客インサイトの発見になることはよく起こります。これはもとを辿れば、インタビュー中のちょっとした雑談や脱線から始まるのです。
だからこそ、準備したインタビューフローにこだわりすぎず、インタビューには余白設計をしておくといいです。ここで言う余白とは時間的な余裕と精神的の心の余裕です。
まとめ
今回は顧客インタビューから、インサイトを掘り下げる方法をご紹介しました。
最後にまとめです。
相手の言葉への引っかかりからの掘り下げ
- 言葉への引っかかりとは、直感的に相手の言葉の使い方が自分とは違うと思えるもの
- 相手の会社特有の言葉の使い方、業界専門用語、抽象的な表現 (例: 肌感覚, 腹落ち)
- 言い方で感情が出てきたと感じた場合も掘り下げる (例: 急に関西弁に切り替わった時)
インタビューでの感情表現
- インタビュー対象者には自分が話していることが的を得ているかという漠然とした不安が常にある
- 相手の発言に興味があると思ったことは、少し大げさにでも 「もっと訊きたい」 「そこが知りたい」 と声に出して言ったり、非言語の表現 (表情やトーン) で相手に伝える
事前準備の方法
- 準備が8割。インタビューで化学反応が起こりうまくいくために準備に時間をかけ大切にする
- 準備ができたかどうかの目安は 「楽しみ > 不安」 と思えた時
- インタビュー当日は事前のインタビューフローに固執しすぎない。話の脱線からもインサイトがあり、時間と心の余白を持っておく