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Minoru 「家賃が実る家」 。筋の良いビジネスモデルをつくる方法

#マーケティング #ビジネスモデル

出典: PR TIMES

今回のテーマはビジネスモデルです。

おもしろいと思った住宅サービスから、筋の良いビジネスモデルをつくる方法を見ていきましょう。

✓ わかること
  • 賃貸で住み始めて、後からマイホームになるサービス
  • 新しいお客さんの獲得
  • 筋の良いビジネスモデルをつくる方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

家賃が実る家


いきなりですが、住む家は 「持ち家」 か 「賃貸か」 はどちら派ですか?

2つの選択肢を出しましたが、二者択一ではなく両方の良いところを取り入れたサービスが今回ご紹介したい 「家賃が実る家」 です (公式サイトはこちら) 。

最初は賃貸で住み始めて一定期間後にマイホームになるユニークなサービスです。


家賃で住み続ければマイホームに


以下は日経新聞の記事からの引用です。

従来の賃貸とも分譲とも違う 「第3の選択肢」 として、不動産スタートアップのMinoru (ミノル, 東京・渋谷) が提案するのが 「家賃が実る家」 だ。

定められた期間家賃を払い続けると、土地と建物が最終的に自分のものになるサービスで、入居希望会員数はすでに約1万人に上る。

仕組み


マイホームになる仕組みを見てみましょう。

出典: PR TIMES

先ほどの記事から続けて引用します。

同社が提案するのは 「借りながら持ち家にする」 譲渡型賃貸住宅サービスだ。

 (中略) 

まずは賃貸と同じように家賃を払って住み、10 ~ 28年の契約期間で家賃を払い続けるとオーナーである投資家から家が譲り渡され、持ち家になる仕組みだ。

賃貸期間の固定資産税や火災保険料はオーナー側が負担する。入居5年以内に退去すると最大で20カ月分の賃料が解約違約金として発生するが、入居6年目以降であれば通常の賃貸と同様、退去することも可能だ。

幅広い人たちからの申し込み


 「家賃が実る家」 は多様な職業の人から人気があるようです。

サービスを始めてみると中小企業の役員や個人事業主、収入が不安定になりやすい政治家やプロスポーツ選手、芸能人など幅広い層から需要があった。

通常の住宅ローンに比べると 「累計支払額は7割以上高くなる」 (ミノルの森裕嗣 CEO) ものの需要は高い。入居希望者は足元でも 「月に100 ~ 150人ずつ増えている」 (森 CEO) 。利用者は30歳代後半 ~ 50歳代が中心で、住宅ローンを組む層よりやや高めだ。

筋の良いビジネスモデルをつくる方法


それでは譲渡型賃貸住宅サービスの 「家賃が実る家」 から、学べることを掘り下げていきましょう。

新しいお客さんの獲得


ニーズがあったのは収入が不安定だと見られがちな人からでした。中小企業の役員、個人事業主やフリーランス、政治家、プロスポーツ選手、芸能人です。

こうした人たちは今までは持ち家が欲しくても十分なローンが組めず、土地や建物を買えませんでした。

最初は賃貸として家賃を払い一定期間後にマイホームになる 「家賃が実る家」 は、これまでにはない仕組みにすることで新しいお客さんを獲得できたのです。

ビジネスっぽい表現をすれば、「家賃が実る家」 はビジネスモデルを変えたことで新規のお客さんをつくりだしたということです。

ビジネスモデルの要素


今回の学びとして、ビジネスモデルについて深めていきましょう。

結論から言うと筋の良いビジネスモデルをつくる方法に示唆があります。ビジネスモデルを分解すると次の5つの要素になります。

✓ ビジネスモデルの要素
  • お客さん
  • 顧客が抱える課題や解決したい問題
  • 問題の解決策 (商品やサービス) 
  • お客さんが得る価値 (提供価値) 
  • 収益モデル (お金の流れ) 

文章で表現をすると 「想定するお客さんの問題を解決し、提供する価値から収益を得る仕組み」 。これがビジネスモデルです。

 「家賃が実る家」 のビジネスモデル


では 「家賃が実る家」 にビジネスモデルの5つの要素を当てはめてみましょう。

✓ 「家賃が実る家」 のビジネスモデル
  • 顧客: お客さんは収入が不安定に見られる人
  • 問題: 抱えていた問題は、ローンができず持ち家を買いたくても購入できない
  • 解決策: 譲渡型の賃貸住宅サービス 「家賃が実る家」 
  • 提供価値: 最初は賃貸として住み、一定期間後に念願のマイホームを持てる
  • 収益モデル: 利用者は家賃を払う。サービス提供者のミノルは申込金や手数料、貸主は賃料を得る

5つの要素で整理すると、新しい仕組みにしたことで困っている人たちにはありがたいサービスなことがわかります。借り主であるお客さん、貸し出す家主、サービス提供者である自分たちにもメリットのある Win-Win-Win のビジネスモデルになっています。

譲渡型賃貸住宅サービスの 「家賃が実る家」 は、筋の良いビジネスモデルをつくるための学びがある事例です。


まとめ


今回は、賃貸で住み始めて後からマイホームになる 「家賃が実る家」 を取り上げ、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ 筋の良いビジネスモデルをつくる方法
  • 以下の5つの要素で具体性と一貫性を持たせる
  • ① ターゲット顧客
  • ② お客さんが抱える課題や解決したい問題
  • ③ 問題の解決策 (商品やサービス) 
  • ④ 商品やサービスを使ったり保有することでお客さんが得る価値
  • ⑤ 価値提供の対価としての収益モデル (お金の流れ) 


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。