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最近、自分の会社の新入社員からインタビューを受けました。
業務を理解するためのインタビュー研修
社内インタビューは、新人研修のプログラムの1つです。目的は、各部署の先輩社員にインタビューをして業務をより具体的に理解することです。
社内組織・お客さんとの関係・仕事内容をチームごとにインタビューをします。研修内で互いに発表し、会社の全体像を把握することを目指します。去年もインタビューを受けたので、今年は2回目でした。
この企画は毎年やっていて、自分が新人の頃からありました。
当時、ある幹部の方にインタビューをさせてもらいました。インタビューをまとめた発表資料をその方にも共有した後、1通のメールを返信いただきました。メールに書いてあったことは、その後の自分の仕事をする上でずっと大切にしていくことになる言葉でした。
「よいインタビューを行うためには、事前準備が肝要です。」
事前準備としてどこまで 「想定」 できているか
インタビュー準備で行なうのは、質問項目の整理と組み立てです。
質問をつくるためにさらに必要なのは、質問に相手がどう回答するかの想定です。自分が全く知らない領域について相談したり聞くケースもあるかもしれませんが、望ましいのはある程度の想定ができている状態です。
具体的には、以下です。
- インタビュー内容などの質問を考える前に、ある程度の情報収集をする
- 得られた情報から、「わかっていること・わからないこと」 を整理する
- 「知りたいこと & それに対する仮説」 を具体的に想定する
ここまで事前準備ができていると、質問相手に聞く際に、「ここまでは想定できているが、ここが具体的に分からない」 という点に絞ることができます。相手から出てきた回答が 「想定していたのと違う答えだった」 について、質問をして深掘りができます。
受ける側から見た事前準備の効果
今回、新入社員からインタビューを受けました。
相手が事前準備をしている範囲については、「ここまでは理解している」 「あなたの話を聞くために、これについての知識はある」 ということがインタビューから伝わってきます。そうすると、相手への信頼ができ、もっと話をしてもいい相手だなという気持ちになれました。
なお、インタビューの場合は、「この領域のことは全く素人で分からないので、教えてください」 ってスタンスで相手を持ち上げ、気持ちよくしゃべってもらうというテクニックもあります。
ただ、この場合も、素人と言いつつもある程度わかっていないと良いインタビューにならないと思います。
想定が 「想定外へのき対処」 につながる
失敗学を提唱する畑村洋太郎氏の著書に 「想定外」 を想定せよ! - 失敗学からの提言 があります。
この本には、想定とは 「人間が意図的・人為的につくる境界」 と説明されています。
境界とは、ここまでは考えるという範囲の線です。想定範囲の円があるとして、内側が想定できていること、円の外側が想定外です。
想定するとは、想定外への対処にもなるのではと思います。
質問の事前準備として 「どこまでわかっているか」 を明確にすべきであると書きました。「わかる」 ことをきちんと抑えておけば、「わからないこと」 が出てきた時、自分がわからない状態であることに気づけます。わかっている範囲 (= 想定) が線引きできているので、「わからないこと」 (= 想定外) への対処の幅も広がるのです。
現実的に、想定外をゼロにすることはできません。なるべく少なくする準備はしておいたほうがいいですが、どこかで線引きが必要です。
想定外に対処するためには、まずは自分の中で想定の範囲をクリアにしておくことです。
想定外の 「わからない」 が出てきた時、具体的に何がわからないのか、何がわかれば 「わからない → わかる」 になるのかを考えることが大事です。そのためには事前準備をしっかりとすることです。
今回、新人からのインタビューを受けながら、自分が当時新人だった時のことをあらためて思い返していました。
最後に
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