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このブログでは、訪問いただいた方に役に立つと思ってもらえる本を紹介しています。読んだ本の書評を書いたり、エントリーの参考情報として本の内容を引用しています。
今回のエントリーでは、2017年4月の1ヶ月でクリックが多かった本をご紹介します (5冊) 。クリック数の多かった順番で並んでいます。
WHY から始めよ! - インスパイア型リーダーはここが違う (サイモン・シネック)
TED での 優れたリーダーはどうやって行動を促すか を語ったサイモン・シネックの著書です。
本書で紹介されているアイデアを一言で表現すると、「人は何を (What) ではなく、なぜ (Why) に動かされる」 です。
「なぜ」 は、自分の動機やビジョン、理念です。自分が信じていることを語り、共感が生まれれば人々を惹きつけることができるという考え方です。
本書ではゴールデンサークルというフレームが紹介されています。Why, How, What の3つの円があり、この順番がポイントです。
一般的にはゴールデンサークルの外側から内側に向けて考えると言います。What → How → Why の順番です。しかし優れたリーダーは逆で、Why → How → Whatの順で伝えます。
具体例として Apple が取り上げられています。iPhone や Mac を what からではなく、why からメッセージがあったと著者のサイモンは説明します。Apple の場合は why は 「世界を変えること」 であり、「Think different に価値がある」 です。
関連のエントリーはこちらです。
Why からはじまるゴールデンサークル:シンプルかつ応用度の高い思考アイデア
究極の身体 (高岡英夫)
運動や体の本で、今まで読んだ中で最もおすすめの一冊です。人の身体構造や運動のメカニズムについて独自理論が、興味深く読めます。
本書の究極の身体の定義は 「人体の中で眠っている四足動物、あるいは魚類の構造までをも見事に利用しきって生まれる身体」 です。
人間の進化は、魚類 → 爬虫類 → 哺乳類 → ヒトと経ています。人間の身体には、魚類、爬虫類や哺乳類などの四足動物の構造も受け継いでいると著者の高岡英夫氏は言います。
著者の問題意識は、究極の身体を持っているにもかかわらず、現在の人類の多くはその身体資源を使いきれていないことです。
究極の身体を実現するために印象的だったことは、以下でした。
- 究極の身体に不可欠なことは重心の意識。そのために筋肉の脱力が必要
- 身体の中にセンター (軸) を構築する。センターは、身体の重力線とほぼ一致するところを通る身体意識
- 究極の身体の立ち方は、吊り人形のように頭部の糸で身体を吊り上げ、そこからゆっくり下ろして足を接地させたような立ち方 (緩重垂立) 。体重を支えるギリギリのところまで力を抜いたプラプラの状態
身体動作や運動構造に興味のある方は、おもしろく読める本です。書評エントリーはこちらです。
書籍 「究極の身体」 がおもしろい
なぜ、あの会社は儲かるのか? - ビジネスモデル編 (山田英夫)
様々な企業のビジネスモデルが紹介されています。不動産、バス、素材、地銀、建機、旅館、タイヤなどの業界です。
本書が他の類似本と違うのは、日本企業の事例が多く扱われていること、そして、単にビジネスモデルを紹介しているだけで終わっていないことです。
紹介されている各ビジネスモデルについて、以下の3つのステップで説明がされます。
- ビジネスモデルの事例紹介
- 仕組みの一般化
- 他業界にある同様のモデル紹介
流れとして、具体例 → 抽象化 → (他の) 具体例、と横展開されています。
この本でのビジネスモデルを学ぶ考え方は、異業種にあるモデルから着眼点を得ることです。具体的に、異業種のどこを見ればよいか、どうすれば移植できるか、その際の課題は何かが書かれています。
同じビジネスモデルでも違う業界に適用されているので、そのモデルの本質的な仕組みを理解できます。書かれている内容がきっかけや刺激になり、そのビジネスモデルを自分の業界や、自分の仕事に活かせないかと考えてみると発想が広がるでしょう。
書評エントリーはこちらです。
書評: なぜ、あの会社は儲かるのか? - ビジネスモデル編 (山田英夫)
経営の教科書 - 社長が押さえておくべき30の基礎科目 (新将命)
書評としてのエントリーは残していませんが、「大局観をいかにして磨くか」 というテーマが興味深かったので、ブログエントリーとして取り上げました。
大局的な視点でものごとを見るには 「多、長、根」 という3つがキーワードだとします。
- 多:複数の視点から全体像を把握する
- 長:短期ではなく長期のスケールで考える
- 根:本質に立ち返る
詳しくはこちらのエントリーで紹介しています。
大局観を持つための視点は 「多 / 長 / 根」
ストーリーとしての競争戦略 - 優れた戦略の条件 (楠木建)
この本の内容紹介は、次のように書かれています。
戦略の神髄は、思わず人に話したくなるような面白いストーリーにある。
大きな成功を収め、その成功を持続している企業は、戦略が流れと動きを持った 「ストーリー」 として組み立てられているという点で共通している。
戦略とは、必要に迫られて、難しい顔をしながら仕方なくつらされるものではなく、誰かに話したくてたまらなくなるような、面白い 「お話」 をつくるということなのだ。
本書では、多くの事例をもとに 「ストーリー」 という視点から、究極の競争優位をもたらす論理を解明していく。
本書で書かれていたことで、思わず人に話したくなったのは、ある競争戦略フレームでした。SP と OC という戦略概念です。
- SP (Strategic Positioning): ポジショニングの戦略。他社と違うところに自社を位置づけること。SP は、何をやる・何をやらないかという意思決定や活動の選択
- OC (Organization Capability): 組織能力による差別化。他社には簡単に真似できない組織や仕組みとしての強みのこと。表面的には真似することができても、実際の組織内での実行レベルでは中々真似できないもの。時間とともに常に進化していく
SP が他社と違ったことを 「やる」 に対して、OC は他社と違ったものを 「持つ」 ことです。SP は短期的な戦略的意思決定で、OC は中長期での競争優位性となるものです。
SP と OC のわかりやすい例えが、レストランです。
SP (やること) はどんなメニューを提供するかです。例えば日本食なのか中華なのかイタリアンか、さらには日本食でも高級か庶民的か、あるいは伝統的な料理か新しい料理かの、他店との違い (ポジショニング) です。
一方の OC (持つこと) は、腕前のよい料理人やシェフを雇い、どんな厨房や、料理の注文・調理・提供する仕組みを持つか、あるいは仕入先やどんな素材を持っておくかです。