2012/06/30

Why からはじまるゴールデンサークル:シンプルかつ応用度の高い思考アイデア




好きな動画コンテンツに TED があります。

TED は動画が公開されていてよく見るのですが、今まで見た中で間違いなくベスト5に入ると思っているのが、Simon Sinek の 「優れたリーダーはどうやって行動を促すか (How great leaders inspire action) 」 です (リンク先は日本語字幕付き TED 動画) 。


3つの基準が全て当てはまるプレゼン


TED を見ていておもしろいと思う評価基準として、

  • アイデアがすばらしい
  • 伝え方がうまい (プレゼンの仕方、パフォーマンス、情熱を持って語っている)
  • アイデアが自分にも役に立つ

2つ目まではどの動画も当てはまります。3つ目の 「アイデアが自分にもすぐに役立つか」 は多くはありません。

「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」 というアイデアは、タイトル通りリーダーシップにも使え、それ以外にも幅広い応用ができると思っています。

仕事でもプライベートでも。本当に役に立つ考え方で、非常にシンプルです。


優れたリーダーはどうやって行動を促すか


内容は実際の TED を見ていただくのがいいと思いますが、簡単に書いておきます。

紹介されているアイデアを一言で表現すると、「人は『何を (What) 』ではなく『なぜ (Why) 』に動かされる」 というものです。

「なぜ」 というのは、自分の動機やビジョン・理念とも言えますが、自分が信じていることを語ることで、共感が生まれれば人々を惹きつけるという考え方です。

プレゼンの中でゴールデンサークルというフレームが紹介されています。

Why、How、Whatの3つの円があり、「人は『何を (What) 』ではなく『なぜ (Why) 』に動かされる」 ことを説明するシンプルなものです。有用度も高いです。



プレゼンテーターのサイモンによると、普通はゴールデンサークルの外側から内側に向けて考えると言います。What → How → Why の順番です。

しかし優れたリーダーは逆で、Why → How → Whatの順で考え、伝えます。

具体例として取り上げている1つがアップルでした。もしアップルが iPhone、Mac を What から入った伝え方をすると、次のような流れになります。

  • 我々のコンピュータは素晴らしく、美しいデザインで簡単に使え、親しみやすい商品です
  • ひとつ買いませんか?

これを逆に Why → How → What で語ると次のようになります。

  • 我々のすることはすべて 世界を変えるという信念で行っています。違う考え方 (Think Different) に価値があると信じています
  • 私たちが世界を変える手段は、美しくデザインされ簡単に使え、親しみやすい製品です
  • こうして素晴らしいコンピュータができあがりました

はじめにアップルの Why であるビジョンを伝えています。人々はこれに共感するからこそ、アップルの商品を手に取ります。これがWhyからはじまるストーリーなのです。

ゴールデンサークルについては、Simon Sinek 本人が書いた本に詳しく書かれています。



Why からはじまるゴールデンサークルの応用 (1)


ゴールデンサークルのアイデアはリーダーだけのものではないと思っています。

仕事にも役に立つし、考えを整理する時にも使えます。普段の会話などの日常でも使える道具です。

例えば考えを整理するために使ってみます

以前に 「絶対赤字」 の非常識に挑んだクロネコヤマトの競争戦略」 というエントリーを書きました。

ヤマト運輸がクロネコヤマトという宅配便ビジネスに参入した際の戦略を取り上げています。ここ最近では最もアクセス数が多かったのですが、実はこのエントリーでも Why → How → Whatの特に、Why と How について考えてみて書いたつもりです。

具体的には、

  • Why:なぜヤマトは個人向け宅配市場に参入したのかの2つの理由
  • How:参入するためのクロネコヤマトの競争戦略 (SP と OC)
  • What:クロネコヤマトの宅急便という便利なサービス

詳細は割愛しますがこのように考えることでシンプルになり、実際に書きやすかったです。


Why からはじまるゴールデンサークルの応用 (2)


ゴールデンサークルの考え方は仕事でも役に立っています。

例としては上司から仕事を頼まれた時、大抵の場合は What だけを言われると思います。「これやってくれない?」 という指示です。

What に相当する部分で、もちろんこれだけで依頼されたことを自分で進められますが、この時に Why を考えると違ってきます。

「なぜやるのか」 を考えることで、依頼内容の背景や目的、その仕事の前後関係もわかり全体像を把握できます。

何より、Why が見えてくることでモチベーションにも影響します。

また、依頼された時にその仕事をどう進めるか (How) も同時に考えると、この情報・データが必要とか、他のチームにお願いしないといけない、など ToDo も洗い出されていきます。

会議でも使えます。会議を設計する時に議題 (What) だけではなく、会議目的 (Why) や会議の進め方 (How) を考えておくのです。

これは自分が会議オーナーの時も、出席者として参加する場合も自分の中で考えておくといいとです。

自分が招集した会議で、Why や How がクリアになっていないと会議の成果が期待通りにならないこともあって、Why → How → What は大事です。仕事でも Why から始めるゴールデンサークルは重宝しています。

お客さんやクライアントに話を聞く場合でも What だけではなく、How、Why も併せて深掘りすると思わぬ情報が得られることがあります。

インタビューや質問で注意したいのは、 (ゴールデンサークルの順番と逆ですが) いきなり Why から聞くと相手が過剰に身構えることもあることです。あえて What (何を) 、How (どのように) を聞いていき、最終的には Why まで聞けると、その人の動機や目的、やろうとしていること、ビジョンなどが見えてきます。これは日常の会話でも使えるテクニックです。

Why からはじめ、Why ⇒ How ⇒ What と考えるゴールデンサークル。リーダーだけのアイデアにしておくのはもったいないアイデアです。


サイモン シネック: 優れたリーダーはどうやって行動を促すか|TED




動画を見る時間がない、という方はこちらがおすすめです。プレゼン内容が文字で読めます。
サイモン シネック: 優れたリーダーはどうやって行動を促すか|読むTED

※参考情報
サイモン シネック: 優れたリーダーはどうやって行動を促すか|TED
サイモン シネック: 優れたリーダーはどうやって行動を促すか|読むTED
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「絶対赤字」 の非常識に挑んだクロネコヤマトの競争戦略|思考の整理日記

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