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今回は、行動分析学についてです。行動分析学は、心理学の1つです。
行動分析学では、人や動物の行動について、なぜその行動が起こったのか探ることによって、その行動をうまく起こしたり、起こさないようにすることを目指します。
エントリー内容です。
- 行動分析学の特徴
- 行動に効くのは、行動後の60秒以内にうれしいことがあるか
- ダイエットなどへの応用例
行動分析学の特徴
行動分析学は、行動の前後をセットで見ます。
- 行動直前の状態
- 行動する
- 行動直後の状態
例えば、身近な例では食事に当てはめると、以下のようになります。
- 直前の状態:お腹が減っている (空腹がある)
- 行動:食事をする
- 直後の状態:満腹になる (空腹がない)
行動分析学の特徴は、行動が起こった理由を見い出すために、行動の直前の状態だけではなく 「行動直後の状態」 から、何が行動を誘発したかを探ることです。直後の状態という結果から逆算して、行動の理由を考えます。ここが行動分析学のユニークなところです。
上記の食事の例で言えば、直前の状態を見て 「お腹が減っている (空腹がある) から行動する」 だけではなく、行動直後に 「空腹がない」 という状態になるために行動が起こったと考えます。
60秒以内に 「行動直後の状態」 を実感できるか
では、行動直後とは具体的にどのくらいなのでしょうか?
行動分析学では60秒以内を目安にします。行動直後の状態が60秒以内に発生すれば、その行動に影響があるとする考え方です。60秒は、研究や実験によって得られた行動分析学のコンセンサスです。
60秒が経過すれば効果が全く無くなるわけではなく、1分程度以内のなるべく即時で行動後に状態が変われば、行動を起こす強いきっかけになるということです。
先ほどの食事の例に当てはめても、もし食事という行動後に 「空腹がない」 という状態がすぐに起こらなければ、食事行動への誘発は弱くなります。食べてすぐに空腹がなくなるからこそ、行動するのです。
60秒から考える 「なぜダイエットは難しいのか」
この考え方を適用すれば、ダイエットを続けることがなぜ難しいかを説明できます。
ダイエットのために有効なのは、食事制限や運動をすることです。これらの行動後の状態は 「適正な体重である」 です。
もし、この状態、例えば 「今よりも -5kg」 という状態が、食事制限や運動後の60秒以内に起これば、行動はすぐに起こせ、ダイエットは簡単に成功するでしょう。しかし現実は、体重変化は緩やかに起こり、数週間や長ければ数ヶ月のタイムスパンです。
この間は、ずっと行動を続けなければいけません。行動後の状態になるまでに、他の誘惑に負け食事制限や運動をしなくなると、ダイエットに失敗します。ダイエットだけではなく、禁煙や禁酒も同じです。
どうすればよいか (行動分析学からの応用)
では、どうすればよいのでしょうか?
ダイエットの例で続けると、行動後60秒以内に望む状態の変化 (-5キロ減) は無理なので、代わりの行動直後の状態を設定するとよいです。
例えば、腹八分目に抑えた、糖質制限をした、砂糖が入った食べものを控えたという行動ができれば、60秒以内にカレンダーに達成マークを付けたり、手帳であればシールを貼ることです。
行動と行動前後の状態として一般化すれば、次のようになります。
- 直前の状態:マークが付いていない
- 行動:食事を控える (腹八分目)
- 直後の状態:マークが付いている
ポイントは、食後に時間が経って後から思い出したときや、その日の夜にやるのではなく、行動したその場ですぐに状態変化をつくることです。行動分析学の視点から、60秒以内のなるべくリアルタイムでというのが有効です。
まとめ
今回は、行動分析学の 「60秒ルール」 をご紹介しました。今回のまとめです。
- 行動の直前と比べ、行動直後はどんな状態になるかを理解する。その状態は、行動することの動機になるかを見極める
- 直後の状態は、行動後の60秒以内に起こるかを把握する
- 60秒以内に起こらない状態変化であれば、代替できる行動直後の状態を設定する
行動分析学の考え方には、自分の行動をより良くできるヒントがあります。