今回は書評です。
ドッグファイト という本をご紹介します。
✓ この記事でわかること
- この本の概要
- 皆が Win になるビジネス、誰かの犠牲の上に成り立つビジネス
- 追い詰められたプレイヤーの反撃
- 誰を向いて仕事をするか
ドッグファイト というビジネス小説が興味深く読めたので、考えさせられたことも併せてご紹介をします。
ぜひ記事を読んでいただき、よかったらこの本も手に取ってみてください。
この本に書かれていること
フィクションですが内容を一言で言えば、Amazon とヤマトをモデルにしたガチンコ対決です。
この本では Amazon はスイフト、ヤマトはコンゴウという社名になっています。以下はこの本の内容紹介からの引用です。
物流の雄、コンゴウ陸送経営企画部の郡司は、入社18年目にしてはじめて営業部へ異動した。
担当となったネット通販大手スイフトの合理的すぎる企業姿勢に反抗心を抱いた郡司は、新企画を立ち上げ打倒スイフトへと動き出す。そのために考え抜いた秘策は、買い物難民を救い、商店街を活性化するとともに、世界に通ずるものだった――。
運輸界最大手企業と世界的通販会社、物流の覇権を巡る戦いの火ぶたが、いま切られる!
読んで考えさせられたこと
この本を読みながら考えさせられたことは、次の3つでした。
✓ 読んで考えさせられたこと
- 皆が Win になるビジネスモデル
- 追い詰められたプレイヤーの反撃
- 誰を向いて仕事をするか
ではそれぞれについて順番にご説明していきます。
[所感 1] 皆が Win になるビジネスモデル
この本での大きな構図は、 Amazon に相当するスイフト社と、ヤマトに当たるコンゴウ社という 「発注者と受注者の力関係」 です。
スイフトはコンゴウに対して、無理難題な値下げ圧力をかけてきます。
コンゴウにとっては、スイフトとのビジネス関係が深まるほど取り扱う荷物量が増え、売上が上がります。しかし、適切な利益が追いついてきていません。コンゴウはそれだけ利益を犠牲にしながらスイフトとのビジネスを続けていました。
パートナー会社も含めた時に、ステークホルダーで皆が Win になるビジネスモデルをどう作るかを考えさせられました。逆に言えば、この本のストーリーのようなスイフト社だけが利益を上げ、協力会社の犠牲の上に成り立つビジネスモデルでは持続可能性がありません。
小説を通じて、皆が Win になるビジネスと、誰かの犠牲の上に成り立つビジネスとは何かを考えさせられました。
[所感 2] 追い詰められたプレイヤーの反撃
この本の見所は、スイフト社に追い詰められたコンゴウが、起死回生の反撃となるかもしれない新しいビジネスを仕掛けます。
窮鼠猫を噛むといいますが、一方的に相手を追い詰めすぎると思わぬ反撃に出てきます。
[所感 3] 誰を向いて仕事をするか
3つ目に思ったことは、誰に向いて仕事をしているか、誰のために仕事をしているかです。
この小説では、スイフトでは幹部社員は、自分の成果、昇進や地位、創業 CEO に認めてほしい気持ちを一番のモチベーションにプロジェクトや仕事に臨んでいます。
ここにエンドユーザーである顧客は出てきません。
顧客が抱えている不、顧客への提供価値は間接的・副次的にしか語られないのです。仕事をしているのは自分たちの保身のため、社内の上のポジションに向かって仕事をしています。
一方のコンゴウの新しいビジネスは違いました。具体的なターゲット像を明確化し、見込み顧客の不の掘り下げと問題設定、解決方法と顧客への提供価値を解像度高く描きます。
自分たちだけではなく、エンドユーザーやその先にある社会全体にとって何が良いかを三方よしから実現させようとしています。皆に Win があり、全員に収益がもたらされるビジネスモデルです。
顧客を主語にし事業から実現したい世界観をビジョンとして描く、ビジネスモデルに落とし、事業開発や展開のロードマップを時間的なシナリオと共に創っていきました。
まとめ
今回は、ドッグファイト という本をご紹介しました。
最後にまとめです。
この本の概要
- 内容は、Amazon とヤマトをモデルにしたフィクションのガチンコ対決
- 追い詰められたコンゴウ社の新規ビジネスは買い物難民を救い、商店街を活性化するとともに世界に打って出る可能性のあるもの
読んで考えさせられたこと
- 皆が Win になるビジネス、誰かの犠牲の上に成り立つビジネス
- 追い詰められたプレイヤーの反撃
- 誰を向いて仕事をするか (自分たちの都合ばかりではなく主語は顧客になっているか)
ドッグファイト (楡周平)