出典: ケンズカフェ東京
今回のテーマは、ブランディングです。
✓ この記事でわかること
- 年商3億円のガトーショコラとは?
- ガトーショコラの戦略
- マーケティング 4P
- 戦略とマーケティングからのブランドのつくり方
おもしろいと思ったガトーショコラを取り上げ、人気の秘密を戦略とマーケティングから紐解きます。
そこから学べることとして、ブランドのつくり方を見ていきましょう。よかったら最後までぜひ読んでみてください。
年商3億円のガトーショコラ
MarkeZine の記事を読みました。
一つの "推し" で年商3億円。「ケンズカフェ東京」 氏家シェフが語る、ブランドを作る看板商品の作り方|MarkeZine
出典: FASHION PRESS
1本3,000円、こだわり抜いたガトーショコラだけを販売して年商3億円の売上実績を上げる 「ケンズカフェ東京」 のオーナーシェフ・氏家健治氏による寄稿記事です。
ケンズカフェ東京は、東京・新宿御苑前の路地裏にある小さなお店で、販売するのはガトーショコラだけです。事前予約による店頭販売のみで、年商3億円を売り上げています。
非常識ともいえる販売方法ながら、食べログのチョコレート部門で第1位を獲得したり、6年前からはファミリーマートとコラボしたデザートを監修するようになりました。
たった1つの看板商品であるガトーショコラで、ケンズカフェ東京をブランド化した話が興味深かったです。
学べること
ケンズカフェ東京のガトーショコラから学べるのは、次の3つです。
✓ ガトーショコラから学べること
- 戦略の本質
- マーケティング
- ブランドのつくり方
では順番に見ていきましょう。
ガトーショコラの戦略
ケンズカフェ東京の戦略が興味深かったです。
戦略の本質
ガトーショコラの戦略の話の前に、そもそもの戦略とは何かです。
一言で言えば、戦力とは、目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごとです。
ポイントは、「やらないこと」 にあります。意思を持ってやらないことをまず決め、残ったやることに注力するのです。この意味で、戦略は 「やらないことを決めるためにつくる」 と言ってもいいくらいです。
ケンズカフェ東京の戦略
では、ケンズカフェ東京の戦略を掘り下げてみましょう。
意思を持って 「やらないこと」 として、ガトーショコラ以外は捨てました。元々はイタリアンレストランで、ガトーショコラはデザートの1つでした。しかし、徹底的にこだわったガトーショコラ1本に絞ることを決断しました。
以下は記事からの引用です。
ユニクロのフリースやアップルの iPhone もそうですが、圧倒的な知名度と信頼をもつブランドには 「顔」 と呼べる看板商品があります。
お客様のニーズに応えようと品揃えを増やしたくなる気持ちも分かりますが、「何でもある」 は、言い換えれば 「これといった商品がない」 とも言えます。ですから、商品やサービスをブランド化して安定経営を目指すなら、まずは看板商品を絞り込みましょう。
(中略)
私はビジネスにおいて 「凡庸は悪」 と考えています。
同じようなお店や会社がある中、ある商品やサービスが集中的に選ばれているとしたら、そこに「当たり前ではない何か」があるからです。であれば、目指すべきは当たり前を超えたレベル。つまりダントツに良いものを目指すべきではないでしょうか。
ガトーショコラという売り物以外にも、売り方でも 「やらないこと」 を明確にしています。
ガトーショコラの販売は店頭のみで、ネット販売はやっていません。受付も事前予約のみです。
マーケティング 4P
ケンズカフェ東京のガトーショコラは、マーケティング 4P がきれいにつながっています。
4つの P を順番に見ていくと、
Product [商品]
- 当たり前を超えたダントツに良いガトーショコラ
- 「絶対に美味しいはず」 と期待させるパッケージ
出典: FASHION PRESS
Price [価格]
- 手のひらに乗るサイズで3,000円
Place [販売チャネル]
- 事前予約による店頭販売のみ
出典: FASHION PRESS
Promotion [コミュニケーション]
- 口コミをもとに 「温めて・常温で・冷やして」 と3つの食べ方を提案
- レビューでは 「そんな食べ方があるの?試してみたい!」 と食べログの評価が上昇。提案の切り口を変えて魅力を高めた
ブランドのつくり方
では最後に、ケンズカフェ東京のガトーショコラから、ブランドのつくり方について見ていきましょう。
やらないことを決め、やることに集中して磨き込んできたのが、ケンズカフェ東京のガトーショコラです。中途半端ではなく徹底的に絞り、突き抜けた存在になりました。
商品やサービスがブランドになると、つまりお客さんの頭の中で明らかに他とは違う独自の存在感 (ポジショニング) ができると、選ばれ方が能動的になります。平たく言えば、「これでいい」 という消去法的なものではなく、「これがいい」 という 「で」 が 「が」 に変わり、指名されるように買ってもらえるのです。
ケンズカフェ東京のガトーショコラは 「これでいいかな」 ではなく、「ケンズカフェ東京のガトーショコラがいい」 と、手のひらサイズで3000円の値段でも選ばれています。
このようにブランドになっているのですが、背後にはガトーショコラ1本にかけた想い (信念) があります。信念にもとづいた戦略とマーケティングの打ち手を連動させ、他とは違うことをやり、お客さんに価値を提供しているからこそ、選ばれるガトーショコラになっているのです。
まとめ
今回はケンズカフェ東京のガトーショコラから、戦略やマーケティングからのブランドのつくり方を見てきました。
最後にまとめです。
戦略の本質
- 戦力とは、目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごと
- ポイントは 「やらないこと」 にある。意思を持ってやらないことを決め、残ったやることに注力する
- 戦略は 「やらないことを決めるためにつくる」 と言ってもいい
ブランドとは
- 商品やサービスがブランドになると、つまりお客さんの頭の中で明らかに他とは違う独自の存在感 (ポジショニング) ができると、選ばれ方が能動的になる
- 「これでいい」 という消去法ではなく、「これがいい」 と指名されるように買ってもらえる
ブランドのつくり方
- 中途半端ではなく徹底的に絞り、やらないことを明確にし突き抜けた存在になる
- 戦略とマーケティングの打ち手を連動させ、他と違うことをやり、お客さんに価値を提供した先にブランド化がある
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