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科目 「国語の現代文」 から学ぶマーケティング。顧客の心をつかむ読解テクニック

#マーケティング #顧客理解 #国語

国語の現代文とマーケティング。一見無関係に思えるこの2つですが、実は共通点が存在します。

現代文の読解と設問解答のコツをマーケティングに応用すると、効果的なマーケティング活動につながります。

今回は、現代文とマーケティングの意外な共通点を紐解き、マーケティングスキルを開花させる秘訣を探ります。

科目 「国語の現代文」 


国語の現代文の学習、また、現代文のテストでは 「筆者の考えがすべて」 という姿勢で臨むことが大事です。

現代文の問題作成の仕組み

出典: ストマガ

現代文の設問作成の仕組みは、

  1. 出題者が文章を選ぶ。その文章は筆者が自分の考えを発信するために書いたもの
  2. 出題者が出題する文章を読み、筆者の考えを理解する
  3. 出題者が 「この文章で言いたいことを分かるか?」 という視点で設問を作成する
  4. 設問解答者が問題文を読んで 「私は文章で言いたいことを分かっています」 と答える


という流れになっています。このプロセスを俯瞰して見えてくるのは、文章の筆者の意図を正確に読み取ることが重要であることです。

筆者が言っていることが全て

現代文の設問で解答において重要なのは、筆者が本文で書いていることをそのままの論理構成で理解し、「筆者が書いていること」 と 「筆者は書いていないこと」 を正しく把握することにあります。

筆者の意図を正確に理解し、それを出題者に伝える能力が現代文のテストや設問解答では必要になります。「筆者が言っていることが全て」 と言ってよく、一般論や過去の自分の経験は、それを明示的に記入せよと指定されない限り問われていません。

現代文を解くための読解力の鍛え方

では、現代文の設問を解くための読解力の鍛え方についても見ていきましょう (参考記事) 。

現代文における読解力とは、出題文章の筆者が何を伝えようとしているのかを理解する力です。そこで現代文の読解力を鍛えるためには、現代文の問題集を使って次のような方法を実践していくといいでしょう。

  1. 文章の各段落で最も筆者が伝えたい部分に線を引く
  2. 各段落を要約しながら文章を読む
  3. 各段落の役割を記述しながら文章を読む


3つ目の各段落の役割については、転換 (別の視点で意見を述べる) 、追記 (1つ前の情報 (例: 意見) に対して追加情報を加える) 、具体例 (意見に説得力を持たせるための例) 、理由 (前の段落での主張などへの理由を述べる) の主に4つの種類があります。

これらの役割を意識しながら現代文の文章を読むことで、文章の全体的なつながりが理解できるようになり、筆者の伝えたいことが分かるようになります。

解答力の鍛え方

では次に、現代文を解くための解答力の鍛え方についてです。

解答力は、設問の出題者に 「自分はこの文章をしっかりと理解しています」 とアピールするために必要な力です。

現代文の解答力を鍛えるための方法は、次の2つがあります。

  • 選択肢の問題は、まず選択肢を見ずに記述式の設問として考えてみる
  • 次に各選択肢を要素分解しながら比較検討する


1つ目の選択肢を見ずに解く方法では、まず設問文を読み、解答を自分の頭の中で作ってから選択肢を見るという手順を踏みます。この方法により、選択肢に惑わされずに解答を作成する力が身につきます。

また、2つ目の各選択の分解からの比較検討をするやり方ですが、次のように選択肢の要素を分解して評価することで、正確な解答を選ぶ能力を磨くことができます。

✓ 要素分解の方法
  • 選択肢を複数の要素に分解
  • 各要素を評価する。◯ (問題文の中で述べられている) 、△ (どちらとも判断しづらい) 、× (述べられていない) 
  • ◯ が多く、× がない選択肢を選ぶ

出典: ストマガ

現代文の学習では、筆者の意図を正確に把握し、自分が理解した内容を出題者に解答を通して伝えることが求められます。読解力と解答力の両方を鍛えることで、現代文のテストの正答率を高めることができるのです。

現代文から学ぶマーケティング


では、後半のパートでは現代文の設問の解き方から、ビジネスへの示唆を考えます。ここではマーケティングに学べることを考察していきます。

現代文の学習法とマーケティングには、関連性がないように思えるかもしれません。しかし、現代文の 「筆者」 をマーケティングにおける 「顧客」 に置き換えてみると、現代文とマーケティングには多くの共通点と学びがあります。

 「筆者がすべて」 は 「お客さんがすべて」 

現代文のテストや設問では 「筆者の考え方がすべて」 と捉えることが重要です。これは、基本的には筆者の意見や解釈を正確に読み取ることがテストでは求められるという意味で、読み手 (設問解答者) の個人的な見解や、世の中での一般論は関係ないという原則です。

この考え方は、マーケティングにおける 「顧客中心主義」 と似ています。

ビジネスでの商品やサービスの価値は、企業や売り手が決めるのではなく、最終的にはお客さんが価値を見出します。お客さんのニーズ、欲求、何に価値を見出すかのお客さんの価値観こそが、ビジネスの成功を左右する要素なのです。


正確な読解から顧客理解へ

国語の現代文では、自分の意見や解釈の前に、まず筆者の言いたいこと (書きたかったこと) を正確に理解することが求められます。これは、マーケティングにおけるお客さんを理解するプロセスと共通します。

効果的なマーケティングを行うためには、自社の商品やサービスについて語る前に、まずお客さんの声に耳を傾け、顧客ニーズや望み、不満に感じていることなどの顧客心理までを深く理解することが大事です。

自社の視点や一般論に惑わされず、お客さんの真の声を汲み取る能力が求められるのです。

読解力と顧客理解の鍛え方

現代文の読解力を鍛える方法は、マーケティングにおける顧客理解のスキル向上に応用できます。

重要ポイントの抽出

現代文では、各段落で最も重要な部分に線を引くことで、筆者の言いたい重要な箇所を捉えるという練習方法があります。

マーケティングでも、お客さんの声の中から最も重要なニーズや不満点を抽出することが大事です。膨大な情報の中から本質的な部分を見抜く力はマーケティングに不可欠です。

要約

現代文の各段落を要約する練習は、マーケティングでのお客さんの声を簡潔にまとめるスキルの向上と共通します。

多岐にわたるお客さんの声やフィードバックの中から、核心を捉えて要約する能力は、顧客理解の構造化や体系化のために重要です。

構造理解

現代文の各段落の役割 (転換, 追記, 具体例, 理由) を把握する練習は、お客さんの購買行動や意思決定プロセスの構造を理解することに通じます。

お客さんがどのような頭や心の中の流れで商品選択と購入に至るのか、カスタマージャーニーとその構造を理解することで、より効果的なマーケティングにつながります。

解答力とマーケティング戦略立案

現代文の解答力を高める方法も、マーケティングへの示唆に富んでいます。

自力での解答作成

選択肢の設問で、まずは選択肢をあえて見ずに設問を解いてみるアプローチは、マーケティングにも共通点があります。

既存のマーケティング手法や競合他社の動向にとらわれることなく、お客さんのニーズなどの顧客理解にもとづいて自分たちのマーケティングアイデアを生み出すことが大切です。

選択肢の要素分解と比較検討

現代文の選択肢の設問で、選択肢を要素分解して比較検討する方法は、複数のマーケティング案を評価する際に応用できます。

各要素に分け、お客さんの状況や文脈、市場環境に照らし合わせて、◯ (合致している) 、△ (判断が難しい) 、× (合致していない) のように評価することで、最適な戦略を選択できます。

顧客理解を活用する

現代文では、文章の筆者の意見や主張、論理展開を正確に捉え、理解した内容を設問の出題者に解答を通して伝えることが求められます。

マーケティングでも同じです。お客さんの言動や心理を理解し、見出した顧客理解をもとに商品開発やサービス改善、広告やプロモーションなどのマーケティング活動に反映させることが大切です。

お客さんが使う言葉、何に価値を求めているかの価値観などの顧客文脈に沿っているからこそ、より共感を得られるマーケティングになります。

一般論や先入観にとらわれない

現代文では、世の中での一般的な解釈や常識、自分の先入観にとらわれず、あくまで筆者の書いていることもとづいて設問に解答することが求められます。

この姿勢は、マーケティングにおいても当てはまります。

一般的な傾向や、マーケティングの教科書に書かれていること、自社内で昔からある見立てや先入観が絶対的に正しいとして見てしまうと、お客さんの本当の姿を見るレンズが曇ってしまいます。

常にフレッシュな目でお客さんに向き合い、素直な姿勢や発想でいることが大事です。

継続的な練習の重要性

現代文の学力を向上させるためには、継続的な取り組みが不可欠です。同様に、お客さんの理解と顧客理解にもとづくマーケティング思考や能力も日々の実践と改善の積み重ねによって高まるものです。

お客さんの声に耳を傾け、お客さんの立場に少しでもなろうと心がけ、お客さんのことを理解する。一朝一夕には身につくものではありませんが、日々のお客さんとの顧客接点を大切にし、その都度学びを得ていく姿勢が、マーケターとしての学力やスキル向上につながるのです。

* * *

現代文の学習方法や向き合う姿勢は、マーケティングにおける顧客起点の実践に多くの示唆を与えてくれます。

文章の筆者の意図を理解し、設問の解答を通じて出題者に理解した内容を伝える力は、マーケティングでのお客さんのことを的確に把握し、顧客ニーズに応える力と同じことです。

この現代文とマーケティングにおいて 「筆者 = 顧客」 という視点を持つことで、より深いお客さんへの理解と、効果的なマーケティングになります。

まとめ


今回は国語の 「現代文」 に注目し、マーケティングへの示唆を考えました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • 現代文の 「筆者」 をマーケティングの 「顧客」 に置き換えることで、現代文とマーケティングには多くの共通点がある。筆者の意図を正確に理解し伝える力は、顧客ニーズを的確に把握し応える力と同じ

  • 現代文の読解力を鍛える方法は、マーケティングでの顧客理解のスキル向上に応用できる。現代文の重要ポイントの抽出、要約、構造理解といった国語の技術は、マーケティングのお客さんの声や行動から本質を洞察し、購買行動や意思決定プロセス、顧客心理を理解することにつながる

  • 現代文の解答力を高める方法もマーケティングに応用できる。出題文の筆者が書いていること・言いたいことに注力することは、ビジネスでは一般論や先入観にとらわれず、顧客理解にもとづいた商品開発やマーケティングの重要性と共通する


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。