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地域開発の成功のカギを握る3つのプレイヤー。マーケティング活動へ当てはめた示唆

#マーケティング #地域活動

お客さんの本当のニーズを理解できているでしょうか?
部門間の連携がうまくいかず、社内での動きが滞っていないでしょうか?

実は、地域開発を成功させるポイントには、こうした対処すべき課題へのヒントがあります。地域開発を成功に導く 「外部のよそもの」 「地元事業者」 「働く人」 という3つの役割が、企業のビジネス活動に応用できるのです。

ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。

持続可能な地域開発を実現する3つのプレイヤー


持続可能な地域開発を成功させるためには、どうすればいいのでしょうか?

地域開発に成功をもたらすためには 「よそもの」 「地元事業者」 「働く人」 の三者が協力して価値を共創することがカギを握ります。

それぞれの役割を順番に見ていきましょう。

よそもの (外部のパートナー) 

ここで言う 「よそもの」 とは、地域の外部からやってくる人々を指します。地域に新しい視点、ノウハウ、そして資本を持ち込むことにより、地域に刺激を与え、新たな風を吹き込む役割を果たします。

新しい視点やアイデアの提供

地域住民では気づかない外部からの視点を提供し、地域の魅力を再発見することができます。

その地域の人たちにとっては見慣れた景色やモノでも、美しさや地域の食材などの魅力が 「よそもの」 の視点から発見され、地域全体の価値が再評価されます。

資本やノウハウの投入

外部からの資本や経営ノウハウを導入し、地域の持続的な成長をサポートします。新しい事業や観光スポットを生み出し、地域に新しい経済の流れを生み出します。

地域住民との関係構築

外部の人として、最初は地域住民に受け入れられにくい場合があるかもしれませんが、時間をかけて地域住民との信頼関係を築くことによって、その存在が地域に溶け込んでいきます。例えば、ボランティア活動や地域住民との対話を通じて信頼を得るというようにです。

地元事業者

次に 「地元事業者」 を見てみましょう。その地域に長く住み、地域の文化や資源に深い理解を持つ人々です。地域に根付いた事業を行っており、経験や知識が地域開発において重要な役割を担います。

地域資源の活用

地元事業者は長年の経験にもとづき、地域の文化や自然、資源を最大限に活用する方法を知っています。例えば、地元の水産業者との協力でお寿司のお店を開業し、地元の新鮮な魚介類を使った料理が人気となるというようにです。

持続可能な開発の中核

地元事業者は、地域開発の中核となる存在です。

地域住民や行政との信頼関係がすでにあるため、地域開発のプロジェクトが地域に根付くための橋渡し役を果たします。地元事業者が積極的に関与することで、外部からの資源やノウハウが地域全体に行き渡りやすくなるでしょう。

地域の魅力を高める

地元の事業者が新しい挑戦をすることによって、地域に刺激を与え、新たなビジネスや観光の機会が生まれます。ひとつの活動をきっかけに、地元の事業者が自分たちのスキルを高め、地域全体の魅力を向上させることが期待できます。

働く人

 「働く人」 は、地域で実際にプロジェクトを遂行する実行部隊です。彼ら・彼女らは現場での労働力を提供し、地域開発の実現に直接的に貢献します。

地域開発の実行者

 「働く人」 たちの熱意や行動力が、地域開発の成功を左右します。

実際に現場で汗を流し、プロジェクトを形にすることにより、地域の発展に寄与します。多くの 「働く人」 が現地に赴き、地域住民との関係を深めることによって、地域開発のプロジェクトが進みます。

地域に魅力的な雇用を生む

プロジェクトを通じて地域に新たな仕事を生み出すことが、地域の活性化に直結します。地域に根ざす安定した雇用機会がもたらさせれることにより、若者が地元に留まるきっけかにもなります。

地域の未来を創造する

働く人たちの存在は、プロジェクトを遂行するだけにとどまらず、地域の未来を形作ることにつながります。持続可能な地域開発には、地元で働く人たちの熱意と努力が不可欠です。

マーケティング活動への示唆


ここまで、地域開発における 「よそもの」 「地元事業者」 「働く人」 の三者の役割を見てきました。

三者を企業のマーケティング活動に当てはめると、次のようになります。

  • よそもの (外部パートナー) : 社外にいる顧客
  • 地元事業者: 社内の研究開発 (R&D) 、生産部門
  • 働く人: マーケティング部門、営業部門


このように三者を解釈し直すと、マーケティングへの示唆が得られます。

顧客

まず 「外部のパートナー」 、つまり既存顧客や潜在的な顧客は、企業にとって新しい視点や需要をもたらす存在です。

お客さんは、社内の人間では気づきにくい商品やサービスの新たな価値を発見する可能性を秘めています。例えば、ある商品の予期せぬ使用方法や、サービスの思わぬ効果を見出すかもしれません。これは、地域の美しい自然が外部の人々によって再評価されたことと同じです。

お客さんという外部のパートナーの視点を活用することによって、商品やサービスの魅力を再発見し、顧客価値の最大化に貢献できます。

ただし、外部のパートナーとの関係構築には時間と努力が必要です。お客さんとの対話を重ね、顧客ニーズや課題を深く理解することが大事です。

社内の研究開発や生産部門

社内の研究開発 (R&D) や生産部門は、企業内で製品やサービスを生み出す核となる技術や資源を熟知しています。R&D と生産部門の人たちの知識と経験は、地域開発での 「地元事業者」 のように、長年培った経験と専門知識にもとづいて製品開発の中核を担います。

マーケティング部門や外部のパートナーと連携することで、R&D・生産部門が顧客ニーズに合致した製品をより効果的に開発し、提供できるようになります。

地域開発において、たとえば地元の水産業者と寿司店が協力して成功するというように、社内で R&D や生産部門と、マーケティング、営業などの部門が密に連携することで、自社の強みを最大限に活かした製品開発を実現できます。

マーケティング部門・営業部門

マーケティングや営業部門は、企業がお客さんにアプローチし、顧客価値を提案し提供する 「実行部隊」 です。アイデアを実際の製品やサービスとして具現化し、市場に届ける存在です。

地域開発における 「働く人」 の役割と同様に、現場での活動を通じてお客さんとの接点をつくり、そして増やすことによって、商品価値を直接伝えたり、買ってもらう役割を果たします。実行部隊の行動力や熱意は、マーケティング活動の成否に大きな影響を与えます。

三者での共創

これら三者の協力が、成功するマーケティング活動のカギを握ります。

お客さんを外部のパートナーと捉えて得た洞察を、R&D や生産部門の持つ知見と技術力で具現化し、マーケティングや営業部門が効果的に市場に伝え届けていくーー。このプロセスの循環が、持続可能な企業成長をもたらすのです。

ただし、こうした協力関係の構築には時間がかかります。

部門間の壁を取り払い、お客さんとの対話を深め、長期的な視点で取り組む必要があります。短期的な成果を追い求めすぎず、お客さんと企業の双方に価値をもたらす関係性を築くことが、真の意味でのビジネスの成功につながります。

まとめ


今回は、地域開発の成功ポイントからマーケティングへの示唆を考察しました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • 外部パートナーの重要性
    地域開発では、外部パートナーは地域に新しい視点やアイデアをもたらし、既存の価値を再発見する役割を果たす。マーケティング活動においては、お客さんや市場の声が 「外部パートナー」 に当てはまり、社内では気づかない製品やサービスの新たな価値をお客さんが引き出す

  • R&D と生産部門の役割
    社内の R&D や生産部門は、地域の資源や知識を最大限に活用する 「地元事業者」 と同様に、企業の技術力と知見を活かして新たな価値を創造する。顧客ニーズにもとづいた製品開発を行うことで、外部パートナーであるお客さんの洞察を具現化する

  • マーケティングと営業の実行力
    マーケティング部門と営業部門は、現場でお客さんとの接点を増やし、製品やサービスの価値を市場に届ける実行部隊。行動力や熱意が企業の成功を左右し、顧客価値を実現する。地域開発における 「働く人」 の役割と同じように、企業活動においても実行者がお客さんとの関係を深めることで、持続的な成長を可能にする


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。