
今回は、OODA (ウーダ) ループの観点から考える、戦略の立案と実行です。
- OODA ループとは?
- 戦略のつくり方 (事業戦略を例に)
- 戦略を実行する時のポイント
こんな疑問に答える内容を書きました。
この記事でわかること
この記事でわかるのは、大きくは2つです。OODA ループと、戦略です。
記事の前半では OODA ループという意思決定から実行のフレームをご紹介します。後半では OODA ループに当てはめた戦略の立案と実行を解説しています。
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。
OODA ループ
いきなりですが、OODA ループをご存知でしょうか?
OODA は 「ウーダ」 と読みます。意思決定をして実行するためのポイントになる、4つの項目からの頭文字です。
OODA ループ
- Observe 観察
- Orient 判断
- Decide 決断
- Act 実行
ビジネスに当てはめると、外部環境や顧客などの対象となるものの観察から入り (Observe) 、次に大きな方向性を判断します (Orient) 。何をやるかを決め (Decide) 、行動に移します (Act) 。
OODA ループとあるように、4つのプロセスは1回きりではありません。Act の後に再び Observe になり、次の OODA ループに入ります。
OODA ループについては、別の記事でも取り上げています。よければ、ぜひこちらも読んでみてください。
OODA ループのポイント
OODA ループの4つのうち、ポイントだと思うのは2つ目の O です。
Orient という観察したことからの大きな方向性の判断です。
判断が決断の前にあるのがポイントとも言えます。判断と決断を分けているわけです。
まずは判断で、大きな方向性を定めます。時には直観を使い、どこに向かうのか、何をするのかの方針を決めます。
方針を絞り、その後に具体的な行動内容に落とし込みます。
ここまで、OODA ループについて見てきました。OODA ループの考え方は、戦略の立案と実行にうまく当てはめることができます。
ここからは、OODA ループの観点で、戦略について掘り下げてみます。
OODA ループと戦略
これに気づいた時に目から鱗だったのですが、戦略の立案と実行を OODA ループに当てはめると、すごく良い流れになります。
例として事業戦略でご説明します。事業戦略をつくり、実行を OODA ループのそれぞれに当てはめると次のようになります。
1. Observe 観察
事業戦略をつくる出発点は、現状分析です。
分析では数字からの定量分析、環境や顧客状況などの定性分析をします。現状の正確な理解からの現実直視です。
現状分析で大事なのは、素直な目での観察です。起こっている事象、背後になる構造、さらに奥にある本質は何かを掘り下げます。
現状分析から、自分たちはどんな問題を解決したいかの問題提起・問題設定をします。
2. Orient 判断
現状分析を基点に戦略をつくっていきますが、いきなり各論には入りません。戦略の大きな方向性を定めます。
方向性で大事になるのは、ビジョンです。目指す姿、戦略が実現された後に見える景色です。
ビジョンから、事業の目的、目的を達成した状態であるゴール設定をします。これらを通して戦略の方向性が見えてきます。何をやって・やらないか、リソース配分の方針です。
なお、この段階では戦略の方向性は1つとは限りません。複数の方針案があってよいです。
3. Decide 決断
判断した方向性に沿って、具体的な戦略を決めます。
具体的には、次の通りです。
事業戦略で決める項目
- 顧客定義と提供価値
- 顧客
- 顧客の問題 (解決したい問題)
- 解決方法
- 提供価値
- 価値の源泉 (なぜ価値提供ができるのか)
- ビジネスモデル (持続的な儲け方)
- 実行プラン、組織体制
- 計数計画、PL へのインパクト
戦略の方針が複数ある場合は、それぞれのメリット・デメリットから比較を提示し、どの案をプラン A にし、どれをバックアップとしてのプラン B にするかを決めます。
プランごとに、上記の項目に沿って戦略を詰めていきます。
4. Act 実行
戦略と実行プランを実行に移します。
戦略も実行プランも、つくられた段階ではあくまで仮説です。実行して始めてうまくいくかどうかがわかります。
逆に言えば、実行できない戦略やプランは絵に描いた餅です。現場が本当に実行できてこそ、価値が出るのです。
戦略実行のポイントはいくつかあります。
戦略実行のポイント
- 戦略を現場に丸投げせず、立案側がフォローする仕組みをつくる
- 実行からの短期的成果に目を向ける。小さくても早めの成果を祝う
- 戦略の上位にあるビジョンや目的の周知を徹底し、浸透させる
- 実行から戦略 (という仮説) の各論での良し悪しを見極める
最後の4つ目は、OODA ループで言えば次のループに入ることを意味します。戦略を実行してみて、想定と違うこと・うまくいかなかったことを観察し、方向性や戦略内容に反映していきます。
まとめ
今回は、戦略立案と実行についてでした。
OODA ループに当てはめて、戦略のつくり方、実行のポイントを解説しました。
最後に今回の記事のまとめです。
OODA ループをビジネスに当てはめると、
- 外部環境や顧客などの対象の観察 (Observe)
- 大きな方向性を判断する (Orient)
- 何をやるかを決める (Decide)
- 行動に移す (Act)
OODA ループのポイントは2つ目の O 。観察したことからの大きな方向性の判断。決断の前に大きな方向性を定める。方針を絞り、その後に具体的な行動内容を決める。
戦略の立案と実行は、OODA ループに当てはまる。
- 観察: 戦略をつくる出発点は現状分析。起こっている事象、背後になる構造、さらに奥にある本質は何かを掘り下げる
- 判断: 現状分析を基点に大きな方向性を定める (ビジョン, 目的, ゴール設定) 。方針は複数あってよい
- 決断: 判断した方向性に沿って、具体的な戦略を決める。顧客定義, 提供価値, ビジネスモデル, 実行プラン, 計数計画
- 実行: 戦略と実行プランを実行に移す。フォローの仕組み, 短期的成果を祝う, ビジョンや目的の周知と浸透, 実行から戦略各論の良し悪しの見極めと反映