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1120回目のブログ更新です。今回は、企業のミッションとバリューについてです。
- メルカリのミッションとバリューを知っている?
- メルカリから学べること
- 求心力の高い組織のつくり方
こんな疑問に答える内容でブログを書きました。
この記事でわかること
この記事でわかるのは、ミッションとバリュー (価値基準) から求心力の高い組織のつくり方です。
メルカリのミッションとバリューがどのようにできたか、メルカリから学ぶ組織開発を書いています。ぜひ、最後まで読んでみてください。
以下は記事の内容です。
- メルカリのミッションとバリュー
- ミッションとバリューの策定と浸透
- バリューが浸透している組織
メルカリのミッションとバリュー
メルカリ - 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間 という本に、メルカリのミッションとバリューの話が書かれていました。
2014年1月に、メルカリはミッションとバリューを決めました。
ミッションとバリューを決めた背景
本書によれば、メルカリがミッションとバリューを決めた背景には、社員の求心力を高める狙いがありました。
メルカリがミッションとバリューを決めた背景
- 事業が拡大基調の時は組織の求心力が自然と高まるが、逆回転を始めると一気にきしむ。社員の離脱も目立つようになる
- 社員がプロダクトを愛し、プロダクトと会社を同一視するような状況は、平時にはさらに大きな成功に向けた好循環の基盤となるが、成長が止まるともろさを露呈する。過剰ともいえる愛情は失望へと転じやすい
つまり、企業や組織内のメンバーの求心力を高め、組織が一体となるためには、事業の成長やプロダクトへの求心力だけでは十分ではない、組織が一枚岩になるには、ミッションとバリューに対してが望ましいとメルカリは考えました。
ミッションとバリューの策定プロセス
メルカリがミッションとバリューを策定したプロセスは、本書に以下のように書かれています。
2014年1月初め。おとそ気分も抜けきらないうちに、山田進太郎、富島寛、石塚亮の3創業者、そして小泉は都内の一等地に建つホテルに集合した。
(中略)
そこそこの大きさの部屋を確保し、まず壁一面に持参の模造紙を広げる。それぞれが思いついた言葉を付箋紙に記して貼っていった。
やがて模造紙の白色の部分が少なくなっていく。同じような項目を丸で囲い、整理してできたのが以下のようなミッションとバリューだった。
(引用:メルカリ - 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間)
結果、メルカリのミッションとバリューは、以下になりました。
ミッション
新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る
バリュー
Go Bold (大胆にやろう)
All for One (全ては成功のために)
Be Professional (プロフェッショナルであれ)
なお、バリューは 「人間、覚えられるのは3つまで」 という小泉氏の提案もあり、4人の挙げた項目を整理し3つにまとまったとのことです。
ミッションとバリューの浸透
メンバーへのミッションとバリューの浸透方法について、再び本書からの引用です。
約一カ月後、全社員を神奈川県小田原市のホテルに集めた。このころ社員は25人ほどまで増えていた。
ミッションとバリューの発表がこの 「社員合宿」 の目的だった。会議室に集合した社員にミッションとバリューを伝えるとともに、これをどう行き渡らせるかについても説明した。
ミッションの浸透は経営を率いる山田が担当する。「大胆にやろう」 は米国展開を担うことが決まっていた石塚、「すべては成功のために」 は管理部門の担当として人事や組織づくりを担当する小泉、そして 「プロフェッショナルであれ」 はプロダクトをみていた富島を 「担当役員」 とし、常に意識して言葉や行動で示すことにする。
標語を刷り込んだ T シャツをつくり、しばらくしてから構えた自前のオフィスでは会議室の名前などにもやはりこうした言葉を採用した。会社で配るミネラル水にもミッションやバリューを記し、あらゆる場面で刷り込もうとしている。
「迷ったときはミッションやバリューに立ち返って判断しよう」 というのが経営陣の一貫したメッセージだ。そこには、メルカリというプロダクトではなく、実現すべき使命や重視する価値観を求心力としたいという考え方がある。
(中略)
経営陣があらゆる場面で連呼し、社員の目に触れる機会を増やしただけでなく、様々な社内制度の整備を進める際の基盤にもなるのだった。
(引用:メルカリ - 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間)
ミッションとバリューの策定と浸透
策定と浸透のプロセスは、大きくは3つです。
策定と浸透のプロセス
- 新たに策定、または既存のものを見直し
- 意識と理解の醸成
- 体現 (ミッション・バリューに沿った行動)
2つめと3つめを、どれだけやりきるかです。
ミッションとバリューはつくるだけでは道半ばです。どれだけ立派なミッションやバリューであっても、企業や組織内のメンバーに認知されず、普段から意識されていなくては絵に描いた餅です。
知られていても、意味合いをその企業や組織での文脈で正しく理解していなければ、行動につながりません。
例えば、メルカリの3つのバリューは、それぞれ以下の説明が書かれています (2019年1月現在。参照: About | 株式会社メルカリ) 。
Go Bold 大胆にやろう
世の中にインパクトを与える多くのイノベーションを生み出します。
破壊的創造を目指し大胆にチャレンジし、数多くの失敗から学んでいきます。
All for One 全ては成功のために
メンバーの力を結集してチームで最高のプロダクトを創ります。
チームはどのような成果をあげており、それに個人としてどのように貢献しているかというチームワークを非常に重視しています。
Be Professional プロフェッショナルであれ
メルカリは卓越した能力を持った個人が考え抜きベストを尽くす組織です。
メンバーは常にオーナーシップを持って自由闊達に仕事をし、専門的能力をレベルアップしていきます。
これらの意味を理解するだけではなく、自分ごととして捉え、自分の仕事ではどういう意味を持つかです。ここまでの理解がないと、バリューに沿った行動には落とし込まれません。
バリューが浸透している組織
バリューとは、組織内で共有された大切にしたい価値観です。
バリューが浸透している組織では、普段の仕事においてバリューが共通言語として会話の中に自然と出てきます。
バリューの言葉だけで言わんとしていることが伝わります。判断に迷った時には、バリューやミッションに立ち返り自分たちの意思決定に使われます。
浸透しているバリューには、以下の傾向があります。
浸透しているバリューの特徴
- ミッションにつながっている
- 共感される
- 理解しやすく判断の拠り所になる
まとめ
今回は、メルカリのミッションとバリューから、求心力の高い組織のつくり方をご紹介しました。
最後に今回の記事のまとめです。
- メルカリは、企業や組織内のメンバーの求心力を高め、組織が一体となるためには、ミッションとバリューに対してが望ましいと考えた
- 策定と浸透のプロセスは3つ。
- 新たに策定、または既存のものを見直し
- 意識と理解の醸成
- 体現 (ミッション・バリューに沿った行動)
- 浸透しているバリューの特徴
- ミッションにつながっている
- 共感される
- 理解しやすく判断の拠り所になる
最後に
今回は、メルカリのミッションとバリューを例に、組織の求心力を高めるためにはどうすればよいか、ミッションやバリューを浸透させるために何をすればよいかを考えました。
ミッションとバリューを意識しなくても体現できるため大事なのは、理解と自分ごと化、習慣になるまでの行動と振り返りの継続です。
組織レベルであっても、個人のレベルでのミッションやバリューも同じです。