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戦略とは、あるべき姿と現状の差を埋めるために 「何をやるか」 です。目的を達成するためにやることとやらないことが明確にしたものが戦略です。
今回のエントリーでは、戦略を考えるためには何が大切かを考えます。
1. 強みを活かす。ただし強みは相対的なもの
戦略を考えるために重要なのは強みを活かすことです。
ただし、そもそも強みとは相対的なものです。何と比較するかによって、同じことが強みになり、弱みにもなります。
例えば自分が強みだと思っているのは、たくさんのアイデアが出せることだとします。
自分の回りの人たちと比較した場合にアイデアが豊富に出るのであれば、その状況では強みです。しかし、違う環境になりもっと創造的なアイデアを組み合わせる人がいると、強みにはなりません。
弱みも同様です。ある人と比べると弱みかもしれませんが、別の集団内では相対的には強みになるかもしれません。
企業の競争でも同じです。競合をどこに設定するかで何が強みかは変わります。
例えば、東京と大阪間の移動手段では、従来の航空機に対する新幹線の強みの1つは安さでした。今後 LCC が普及すれば、新幹線の値段は高くなり低価格は強みではなくなります。
新幹線の LCC に対する強みは、快適な車内空間やサービスなどの移動中に快適に過ごせることになります。
強みについて忘れてはいけない視点は、何が強みかを認識するのはあくまで相手 (例: 顧客) であるということです。
自分たちが高い技術と思っていることが反映されている製品やサービスであっても、利用する顧客が、他よりも魅力でと思われなければ、顧客にとってベネフィットはありません。強みがないのと同じです。
2. 戦略立案と実行は二人三脚
戦略とは、現在地からあるべき姿という目的までに行く道筋です。目的を達成するために、自分たちは何をやるのかという道筋です。
戦略で注意が必要なのは、道筋を決めれば安泰ではないことです。筋の良い戦略かどうかは、競争環境で変わります。戦略は、常に顧客ニーズの変化や競合他社の動きに合わせて見直し、修正や進化し続ける必要があります。
戦略というのは目的地に達するために何をやるか (何をやらないか) というプランです。仮説でしかないものです。
戦略という仮説は、実行をして初めて筋の良いものかどうかがわかります。戦略は、実行をしていく過程で仮説検証を繰り返し進化させるものです。
戦略には、立案することが醍醐味で一度決まれば粛々と実行するだけ、実行は現場に任せておけばよい、というイメージもあるかもしれません。そうではなく、戦略立案と実行はどちらか一方に偏ることなく、トップと現場で一体となり進めていくのが望ましいです。
3. コスト戦略と価値戦略
競争戦略の方向は、大きくは2つあります。
- コスト戦略:どのようにして競合他社に比べて低いコストを実現するか。構造的なコスト優位を構築し、その分のコスト差を低価格につなげる戦略
- 価値戦略:顧客により高い価値を提供する。価値を上げ、顧客にとっての魅力度を高め差別化を図る戦略
1つ目のコスト戦略で混同してはいけないのが、「安い商品の提供」 と 「商品を安く提供すること」 は意味が違うということです。
前者の 「安い商品の提供」 は、材質の品質を下げたり、利益度外視で価格を下げることです。
後者の 「商品を安く提供すること」 は、仕組みによりコストを下げて他者より優位なモデルを構築し、その分を安い価格にすることです。
コストを下げる仕組みの例はスケールメリットです。他には中間業者をなくしバリューチェーンをシンプルにすることです。
最後に
戦略とは、目的を達成するために 「何をやるか」 を決めることです。逆に言えば 「何をやらないか」 を決めることです。
戦略とは捨てることであり、やることを決めるよりも、何をやらないかを決めることに本質があるのでしょう。あれもこれもやるというのは、戦略なき状況です。