
マーケティングについてです。ベネフィットセグメンテーションという方法をご紹介します。
エントリー内容です。
- 一般的なセグメンテーション方法
- 求める価値が同じ人を 「くくる」
- ベネフィットセグメンテーションの方法
一般的なセグメンテーション方法
マーケティングでは、顧客になってほしい人を絞ります。人を分けることをセグメンテーションと言い、分けられたグループはセグメントと呼ばれます。
セグメンテーションで難しいのは、どうやって分けるかです。オーソドックスな切り口は、性別と年代、居住地域、職種、家族構成、年収などを使います。
例えば、20代女性というデモグラ情報で人を分けて、そのセグメントに入った人たちの特徴やニーズを探るやり方です。20代女性とそれ以外の人たちの 「違い」 を分析します。
求める価値が同じ人を 「くくる」
このやり方とは全く違うセグメンテーションの方法が、新人 OL 、つぶれかけの会社をまかされる という本に書かれています。
デモグラ情報などで人を分けるのではなく、ベネフィット (顧客が得られる価値) に注目します。同じベネフィットを求める人たちをくくり、セグメントをつくるというやり方です。
ポイントは、人を 「分ける」 のではなく、求める価値が同じ人で 「くくる」 ことです。
該当箇所を引用します。
「20代女性」 (男性でも同じです) といった場合、20歳の遊び回る大学生、21歳の就活の大学生、23歳の新人ビジネスパーソン、25歳の中堅ビジネスパーソン、27歳の DINKS の主任、あるいは29歳のお子さんがいる専業主婦など、さまざまな 「20代女性」 が含まれてしまいます。
「20代女性」 という分け方ではニーズが全く違う人が混在してしまうので、ニーズがわからないのは当たり前なのです。
(中略)
ではどうすればいいのでしょうか?求める価値が違うために分けるのですから、「ベネフィット (価値) 」 でくくればいいのです。
「分ける」 というより 「くくる」 ですね。ニーズが近い人をまとめるのです。
(中略)
当たり前のように見えますが、こればベネフィットセグメンテーションなどと呼ばれる、実は比較的高度な手法です。
「時間がないから10分で昼食をすませたい」 というニーズを持つ40代男性は、「ゆっくり同僚と話がしたい40歳男性」 より、「時間がないから10分で昼食をすませたい」 というニーズを持つ20歳女性に近いのです。
「ゆっくり同僚と話がしたい」 という40歳男性は、「ゆっくり友人と話がしたい」 という20歳女性のニーズに近いでしょう。年齢や性別ではなく、求める価値でくくればよいのです。
(引用:新人 OL 、つぶれかけの会社をまかされる)
マーケティングでのターゲット顧客を明確にするために、「分ける」 ではなく 「くくる」 というやり方を初めて知ったとき、なるほどと思ったことを覚えています。
ベネフィットセグメンテーションの方法
では、具体的にはどういう方法でくくればよいのでしょうか?
具体化 → 普遍化 → 人をくくる
再び、本書から引用します。
顧客を価値でくくる具体的な方法は、具体化 → 普遍化 → 人をくくる、という3ステップです。これは私のオリジナルノウハウです。
まずは 「価値」 を具体化します。「付加価値」 のようなあいまいな言葉ではダメです。「どんな」 付加価値なのかを、お客様の言葉で具体化します。
イタリアンレストランの場合、最低限 「上司に怒られた後、友人と大騒ぎしてスカっとしたい」 くらいには具体化します。
(中略)
次に、具体化した後で、普遍化します。この場合は、「大騒ぎして職場のストレスを発散」 ですね。
最後に、同じような 「価値」 を求める人を探してくくります。「いうことを聞かない部下にハラをたて、大騒ぎしてスカっとしたい」 という課長さんも、同じニーズかもしれません。
すると、この課長と部下のニーズは同じですから、同じセグメントとしてくくってしまっていいわけです。「ストレス発散大騒ぎニーズ」 で考えると、世代も性別も違う人が同じ価値を求めているわけです。
(中略)
「具体化 → 普遍化 → 人をくくる」 という順番がポイントです。
最終的には性別・年代などに落とし込んでもいいのですが、それは、価値で人をくくった 「後」 の話です。価値で人をくくってみて、「やっぱりゆっくり語らうニーズは30代カップルが多い」 ということであれば、それは 「30代カップル」 とすればいいのです。
このようなプロセスを飛ばして 「30代カップルのニーズは?」 などと考えると、「ニーズがわからない」 と嘆くことになります。
(引用:新人 OL 、つぶれかけの会社をまかされる)
価値を具体的に表現する
引用は平易に書かれていますが、内容は深いことを言っています。
「具体化 → 普遍化 → 人をくくる」 という順番であり、その中でも重要だと思うのは最初の具体化です。
ターゲットとしたい顧客はどんな価値を求めているのか。徹底的に具体化します。
顧客が求めている価値をなるべく具体的に言語化する、同じ価値を求めている人でくくります (セグメンテーションは 「分ける」 という発想ではなく) 。
顧客が得られる価値をベースにセグメントを考えるアプローチは、覚えておいて損はないセグメンテーションのやり方です。