
Free Image on Pixabay
子どもが 「やる気」 になる質問 - 叱る前に問いかけると、こんなに変わる! という本をご紹介します。
本書の内容
本書の内容説明からの引用です。
「こうしなさい」 「はやく!」 「どうしてできないの?」 と、いつも言っているのに効果なし。もっと 「やる気」 を出してほしいのに――というお母さん、お父さんへ。命令や叱言のかわりに、今日からは 「質問」 を投げかけてみませんか?
問いかけるだけで、やる気と能力と夢を引き出す――本書は、そんな 「魔法の質問」 を厳選し、親子コミュニケーションに役立つノウハウとともに紹介します。
「この勉強が終わったら、どうなっていたい?」 「夢に近づくために、今週できることはなに?」 「どのようにすればいいと思う?」 「ほかには?」 「どうやったら、もっとワクワクチャレンジできる?」 など、質問はそのまま使えるものばかり。質問の目的や聞くタイミング、その効果がもりこまれた、著者たちの経験に基づいた具体的エピソードは必読です!
勉強もすすんでやる子、自分で考える力のある子に育ってほしい!そんなときに親がやるべき大切なことに気づく一冊。
楽しいことは何かあった? → 楽しいことは何があった?
この本の最後の 「おわりに」 に2つの質問が提示されます。
- 今日楽しいことは、なにかあった?
- 今日楽しいことは、なにがあった?
違いは 「なにか」 「なにが」 の一文字ですが、質問をされたほうの印象は異なります。前者の 「なにかあった?」 と聞かれると 「楽しいことはなかった」 と答えることもできます。
後者の 「なにがあった?」 だと、楽しいことがあった前提にその中身を聞く質問になります。質問をされたほうは、その日の出来事から楽しかったことを探し、前向きな答えをすることができます。
答えをすぐに求めない
本書の全般を通して共通しているのは 「質問に対する答えをすぐに出す必要はない」 という考え方です。その場で正しい答えを出すことを求めるのではなく、質問を通じて親子で一緒に考えることを重視しています。
本書で紹介されている質問は、子どもに対して頭ごなしで指示をしたり詰問するのではなく、子どもの創造性や想像力、前向きに捉えるためのコミュニケーション方法です。
なんでやらないの? → どのようにすればいいと思う?
誘導尋問になってしまう例としては、子どもに 「なんでやらないの?」 と言うことです。やらなかった言い訳やできない理由を聞く詰問になっています。
質問の仕方を変え、 「どのようにすればいいと思う?」 と子どもに聞くと何が変わるでしょうか?この質問は、何かできることはないかと自分がやることに焦点を当てる質問です。
もちろん、子どもからはその場ですぐに答えは出ないかもしれません。ポイントは、どうすればいいかを質問を通じて子どもと一緒に親も考えることです。
なんでできなかったの? → ここからの学びはなに?
何か失敗をしてしまった後に 「ここからの学びはなに?」 という質問も同じです。
失敗したりミスしたことを、失敗 → 学びへと視点を転換させることができます。今のは失敗体験ではなくて学びの体験と捉えられるので、なぜ失敗したのか、どうすればよかったかを考えるきっかけになります。
失敗して親に怒られると、子どもは次はもう怒られたくないと思うのが自然な感情です。子どもは失敗に対して臆病になり、結果として挑戦することに二の足を踏むようになります。
失敗から何を学んだかという質問にすれば、失敗しても得られるものがあると思えること、次もまたやりたいと思えるようになることが大事です。
組み合わせると、何ができる?
もう1つ、いい質問だと思ったのは 「組み合わせると、なにができる?」 でした。
A と B のどちらかを選ぶ状況で、あえて A + B と組み合わせるとどうなるかの想像力を問いかける質問です。
大切なのは物と物、アイデアとアイデアを組み合わせる考え方を日常的にできるようにしておくことです。そのための質問が 「組み合わせると、何ができる?」 です。
アイデアは組み合わせから生まれるという考え方は、名著 「アイデアのつくり方」 に書かれています。アイデアをつくるための原理は2つあるとします。
- アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
- 既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい
要するに、アイデアは組み合わせであり、そのためには関連性を見分ける才能が重要ということを教えています。
質問を有効に使うための3つの心得
最後に、本書にある質問をうまく活用するための3つの心得をご紹介します。
- 質問に対する子どもの答えは全て正解である
- 子どもから出てきた答えは答えは全部受け止める
- 質問の答えは出なくてもいい
3つ目の補足として、質問に対して必ず答えを出さなければいけないという思い込みであると本書では言います。子どもから 「わかんない」 という答えが返ってくることもあるし、何も答えられない場合もあるでしょう。
質問の答えが出なくてもよいのは、質問に対する答えではなく、その質問を通して親子で考えることのプロセスが大事だからです。
最後に
本書に出てくる質問は、親と子どものやりとりが想定されています。大人同士、例えばマネージャーと部下との間でも、書かれていることの本質は同じです。