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スマホのデータと AI を使った研究
ヤフーと慶應義塾大学の共同研究で、スマートフォンで記録される身体動作データと AI を活用し、アプリのプッシュ通知が開かれやすいタイミングを予測できることがわかりました。身体動作データとは、例えば、徒歩などの人の移動がわかるデータ、端末の傾き・加速データなどです。
以下はヤフーのプレスリリースです (2017年4月) 。
Yahoo! JAPAN 初となる論文の世界 TOP3 入り、ユビキタス領域の二大国際会議の一つで達成|ヤフー株式会社
研究結果
プレスリリースからの引用です。
本研究では、スマートフォン端末から得られる身体動作 (自動車移動、自転車移動、徒歩移動、静止、端末を傾けるなど) のビッグデータと機械学習ベースの AI を用いた解析により、プッシュ通知が開封されやすいタイミングを予測しました。
その予測をベースに、「Yahoo! JAPAN」 アプリの一部ユーザー (約68万 UU) をランダムに選出し、21日間 (2016年9月内) に渡りサービス上にて検証を行ったところ、プッシュ通知を開封するまでの反応時間が平均 49.7% 短縮され、開封数を最大約 5.5% 向上させました。
AI を使うと通知の開封率が向上
AI で予測した開封されやすいタイミングでスマホのプッシュ通知を出すと、通知から開封までの時間が短くなり、開封自体も増えたという結果でした。
プッシュ通知が開封されやすいタイミングとは、例えば徒歩で移動して立ち止まった時、あるいは座った時などでしょう。私自身の場合で当てはめて考えると、例えば、通勤で駅まで歩きホームで電車を待ち始めた時、電車に乗って席に座ったタイミング、エレベーターに乗った時など、確かにスマホの通知に反応しやすいタイミングはあります。
スマホデータで日常生活が把握できる
このニュースで思ったことは2つです。
1つ目は、スマホの加速度センサーやジャイロセンサー (傾きを測定) のデータからわかることです。徒歩で移動なのか、自転車や電車での移動なのか、座った時なのかがわかり、かつ、これらのデータを機械学習からの AI で解析すれば、スマホ利用者がプッシュ通知に反応しやすいタイミングを予測でき、実際に効果があったのは興味深いです。
スマホに蓄積されるデータだけで、その人の動作や移動などが正確にわかるだけではなく、そうした動きを蓄積したデータを見れば、その人の日常生活が把握できてしまうのです。
アテンションのタイミングも重要
2つ目は、ユーザーからのアテンション (注目) をいかに集めるかについて、アテンションの中身 (例: プッシュ通知の内容) だけではなく、タイミングも重要であるということです。
身の回りの情報が増え続ける中、いかに自分たちが提供する情報に注目してもらえるか、プッシュ通知においても、競争は激しくなるでしょう。通知するタイミングを見計らう工夫は、アプリ単位で実装されるのか、それとも、デバイス単位で OS レベルで実装されるかによって、ユーザー体験も変わります。
プッシュ通知のタイミングは、リアルタイムで来るほうがいいと思う反面、細切れに通知がその都度あるよりは、いくつかまとめて来たほうが反応しやすいと感じます。
ヤフーと慶応の共同研究は、データと AI を使った取り組みとして興味深い内容でした。