今回は、データの価値化とマネタイズについてです。
✓ この記事でわかること
- データ活用の3つの壁
- Google の検索データで解説
- データをどう活用し収益化を実現したのか?
データの価値化の難しさを取り上げます。データ活用には3つの壁があり、その壁を乗り越えた事例として Google の検索データを使って解説をしています。
この記事を読んでいただきたいと思うのはビジネスパーソンの方で、特にビジネスモデルに興味がある人や考えるのが好きな方です。
事例では Google の検索データを使っているので、Google のビジネス成功の秘訣を知りたい方にも参考になればと思います。
ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。
データ活用の3つの壁
データを持っているだけでは、まだ価値を生んでいません。
ビジネスでは 「データ活用の3つの壁」 を乗り越えることが大事です。
✓ データ活用の3つの壁
- 機会発見の壁
- ソリューションの壁
- マネタイズの壁
それぞれについて簡単に補足しますね。
1つ目の 「機会発見の壁」 とは、データがビジネスで何の問題を解決するかを見出すハードルです。活用する機会を見つけることが最初の関門です。
2つ目は 「ソリューションの壁」 です。機会を見つけたとして、設定した問題をデータを使って解決し価値を提供できるかです。問題は特定したとしても解決できなければ、データから価値につながりません。
3つ目の 「マネタイズの壁」 は、価値提供から収益を生めるかです。ビジネスでは後からでもいいので、データから稼げる仕組みをつくることが重要です。
* * *
では、3つの壁の具体例を Google の検索データに当てはめて解説をしていきます。Google はそれぞれの壁をどのように乗り越えていったのでしょうか?
Google の検索データ
ここからの話は Google が検索データを使って検索広告という、データからの価値化と収益化をどうやって実現させたかを見ていきます。
Google が持っているデータは検索をした人の 「検索キーワード」 です。例えば、「東京駅 カフェ」 、「北海道 来週 気温」 で、検索利用者が検索ボックスに入力する語句をデータとして保存しています。
検索キーワードから、その人の興味や知りたいことが見えてきます。今の例で言えば 「東京駅 カフェ」 は東京駅で飲食店を探している、「北海道 来週 気温」 は来週に旅行か出張で北海道に行く予定があり現地の気温から着ていく服の参考にしたい、という興味関心やニーズです。
3つの壁の克服
それでは、このような検索データを使って Google はどのように価値化と収益化を実現したかを、データ活用の3つの壁から見ていきましょう。
✓ データ活用の3つの壁 (再掲)
- 機会発見の壁
- ソリューションの壁
- マネタイズの壁
[壁 1] 機会発見
商品やサービスをお客さんに売っている事業会社がやりたいことは、自分たちの商品・サービスに興味を持ってもらえそうな人、もっと言えば買ってもらえそうな人に直接アピールしたり宣伝することです。
想定しているニーズを持っている人が見つかれば、その人たちだけに商品やサービスのことを効率よく伝えたいわけです。
例えば自宅用の子ども用プールを売っているメーカーにとっては、子どもがいてビニールプールを買いそうな人を見つけたく、こうした企業ニーズが Google にとってのビジネス機会になります。
[壁 2] ソリューション
Google がやったことは、検索結果ページの一番上の目立つ位置に企業向けの専用スペースを用意しました。
ここに検索キーワードに沿った商品・サービス情報が表示されるようにしたのです。
あらかじめ検索ワードを指定しておき、例えば 「子ども プール 家」 とし、このキーワードで実際に検索した人に検索結果ページに子ども用ビニールプールの商品を表示しアピールします。企業にとっては、興味があり検索で探していて、買ってくれそうな人だけに見せることができます。
要するに Google がやったことは、検索データを使って、買いたい人と売りたい人をマッチングしたわけです。
同じ人でも 「子ども プール 家」 の検索にはビニールプールを見せますが、「晩ごはん 白菜 にんじん 献立」 と検索をした場合には見せません。あくまでその検索した時に知りたいこと、興味のあることに関連する情報を届けたいからです。
Google のコンセプトは 「適切な人に、適切な情報を、適切なタイミングで届けること」 です。
[壁 3] 収益化
Google は、検索結果ページへの表示スペース (アピールする場所) を有料で提供することにしました。
企業にとっては、興味があり買ってくれそうな人への宣伝機会は、お金を払ってでも欲しいものです。そこから商品・サービスが売れれば、Google にお金を払ってても元を取れます。
Google は広告がクリックされればお金を支払ってもらう課金方法にしました (その後に広告がクリックされなくてもお金を支払ってもらう課金方法も追加されました) 。広告がクリックされるという成果があった時だけに支払うので、払う側にはわかりやすく納得感のある支払い方法です。
以上のように Google は保有していた検索ワードデータを企業 (顧客) にとっての価値に変え、提供価値への対価として収益化まで実現しました。今でも検索広告は Google の収益源の1つです。
まとめ
今回はデータの価値化と収益化について解説をしました。
最後にまとめです。
データ活用の3つの壁
- 機会発見の壁。データを活用する機会 (解決したい問題) を見つける
- ソリューションの壁。データから問題解決をし価値を提供する
- マネタイズの壁。データでの価値提供から稼げる仕組みをつくる
Google 検索データの価値化
- 事業会社は商品・サービスを買ってもらえそうな人に直接アピールをしたり宣伝したい [機会発見]
- 検索結果ページの上段に企業向けのスペースを用意。検索データを使って、買いたい人と売りたい人をマッチングした [ソリューション]
- 検索結果ページへの表示スペース (アピール場所) を有料で提供。企業は、興味があり買ってくれそうな人への宣伝機会はお金を払ってでも欲しい [収益化]
- Google は検索ワードデータを顧客にとっての価値に変え、提供価値への対価として収益化まで実現した
ニュースレターのご紹介
マーケティングのニュースレターを配信しています。
気になる商品や新サービスのヒット理由がわかり、マーケティングや戦略を学べるレターです。
マーケティングのことがおもしろいと思えて、今日から活かせる学びを毎週お届けします。
レターの文字数はこのブログの 2 ~ 3 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方には、レターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。
こちらから無料の購読登録をしていただくと、マーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!