
今回は書評です。ご紹介したい本は、GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略 (田中道昭) です。
- 何が書かれている本?
- どんな視点でおもしろく読める?
- 覚えておいて損はない孫子の競争戦略フレームとは?
こんな疑問に答える内容でブログを書きました。
この記事でわかること
この記事でわかるのは、本書の概要、どんな視点で興味深く読めるか、読んで考えさせられたことです。
この本は、米中の最先端のプラットフォーム企業の8社 (GAFA と BATH) について、俯瞰して理解できる内容です。この記事も参考に、ぜひ読んでみてください。
この本に書かれていること
本書は、GAFA と BATH の8社を体系的に分析しています。
読んでいくと、世界最先端のプラットフォーム企業が何を目指し、どんな事業をし、どのような近未来をつくっていくのかが見えてきます。
事業内容、どんな特徴の会社なのか、各社の共通点と相違点がよくわかります。
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
米中新冷戦時代、全産業のルールをこの8社が塗り替える!
◎GAFA (グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)
◎BATH (バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)
話題の米中巨大テクノロジー企業 (メガテック) 8社の全容と戦略を、1冊で平易に完全理解できる初めての本!もはやこの8社なしにビジネスは語れない!
なぜすごいのか。何がすごいのか。これならわかる!
興味深く読めた視点
この本が興味深く読めたのは、以下の2つの視点からです。
興味深く読めた視点
- GAFA と BATH を俯瞰して見えてくるもの
- 競争戦略フレームワーク (孫子の兵法の応用)
それぞれについて、ご説明します。
[興味深かった 1] GAFA と BATH を俯瞰して見えてくるもの
8社それぞれで、何の事業でスタートしているかを見ると、2つのペアになります。
GAFA x BATH の事業の成り立ち
- 検索からのグーグルとバイドゥ
- ハードウェアデバイスからのアップルとファーウェイ
- SNS からのフェイスブックとテンセント
- EC からのアマゾンとアリババ
それぞれのペアはスタートが同じでも、その後の事業の進化は必ずしも同じではないのが興味深いです。
例えば、ソーシャルネットワークから始まったフェイスブックとテンセントです。
フェイスブックの以前のミッションは、「世界をよりオープンにし、人と人とをつなげる」 としていました。その後、ミッションはアップデートされ、「人々がコミュニティをつくる力を提供し、つながりを密にする」 となりました。
フェイスブックが目指しているのは、人々のつながりを強くすることです。
一方のテンセントです。テンセントについて本書で印象的だった表現は 「テクノロジーの総合百貨店」 です。
テンセントのミッションは生活クオリティを上げると掲げており、多岐にわたるサービスや事業を展開しています。具体的には、デジタルコンテンツ、ゲーム、金融サービス、クラウドサービス、自動運転、医療サービスです。
フェイスブックはソーシャルネットワークの源流のまま、テンセントはソーシャルをベースに多様な事業を展開しているのです。
[興味深かった 2] 競争戦略フレームワーク (孫子の兵法の応用)
この本で GAFA と BATH の分析には、ある競争戦略フレームが使われています。孫子の戦略を応用した5つで、道、天、地、将、法です。
それぞれは、以下となります。
競争戦略の 「五事」
- 道:ビジョン、ミッション、バリュー。特にミッションを重視
- 天:機会、どんな時流に乗っているか。なぜ今か?
- 地:事業領域。どこで戦うのか?
- 将:トップリーダーのリーダーシップ
- 法:事業領域やビジネスモデル。どう戦うか?
この5つのフレームを8社に当てはめることによって、体系的な分析がされています。共通フレームなので、比較が見えやすく GAFA と BATH の理解が深まります。
具体的な例で、5つを当てはめてみます。私の前職でもあるグーグルは、次のようになります (2019年5月現在) 。
グーグルの 「五事」
- 道:ミッション 「世界中の除法を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」
- 天:AI の民主化、オープンエコノミーの推進、多様性の重視、情報を整理するテクノロジー
- 地:AI 領域。デジタル x AI
- 将:CEO スンダー・ピチャイのリーダーシップ (思いやり愛されるリーダー)
- 法:プラットフォーム & エコシステム。検索・地図・動画など、自動運転やスマートシティ。収益構造の多くは広告
この5ファクターのフレームワークは、仕事でも使えます。覚えておいて損はない競争戦略の切り口です。
思ったこと (分析の本質)
この本を読んであらためて思ったのは、分析についてです。
いきなりですが、分析の本質とは何だと思いますか?
私が思う分析とは 「比較」 です。
比較のポイントは、何かと何かを、どんな切り口で比べるかです。
本書で言えば、切り口とは、
- 8社の最初の事業領域で、4つのペアから整理 (8 = 2 x 4)
- 孫子の 「五事」 という競争戦略フレーム
ものごとは、比較をすることによって見えてきます。GAFA と BATH が相対化され、共通点と相違点がわかります。
共通点とは、プラットフォーム、デジタル化、カスタマーエクスペリエンス重視です。1社単独では見えないことも、同じフレームによって俯瞰した理解ができます。
分析で終わらずに、では日本はどうするか、自分たちはどう対応していけばいいかも考えさせられる本です。
まとめ
今回は、書籍 GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略 をご紹介しました。
最後に今回の記事のまとめです。
この本は GAFA と BATH の8社の全容と戦略を体系的に分析。世界最先端のプラットフォーム企業が何を目指し、どんな事業をし、どのような近未来をつくっていくのかが見えてくる。
分析で終わらずに、では日本はどうするか、自分たちはどう対応していけばいいかも考えさせられる本。
興味深く読めた視点は、
- GAFA と BATH を俯瞰して見えてくるもの
- 競争戦略フレームワーク (孫子の兵法の応用)
GAFA と BATH の分析には、ある競争戦略フレームが使われている。孫子の戦略を応用した5つで、道、天、地、将、法。
- 道:ビジョン、ミッション、バリュー。特にミッションを重視
- 天:機会、どんな時流に乗っているか。なぜ今か?
- 地:事業領域。どこで戦うのか?
- 将:トップリーダーのリーダーシップ
- 法:事業領域やビジネスモデル。どう戦うか?
この本を読んであらためて思ったのは分析について。分析の本質は 「比較」 。比較のポイントは、何かと何かを、どんな切り口で比べるか。GAFA と BATH が相対化され、共通点と相違点がわかる。
GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略 (田中道昭)