
今回のテーマは、広告でのマーケティングコミュニケーションです。
✓ この記事でわかること
- ペットフードでのデジタル広告成功事例
- ブランディング広告とダイレクト広告の相乗効果
- 感動したブランド動画2つ
- マーケティングコミュニケーションに学べること
興味深かった広告事例を取り上げ、ブランディング広告とダイレクト広告の有効な活用法を掘り下げます。そこからマーケティングコミュニケーションに学べることを解説しています。
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ペットフードでの広告事例
ご紹介したいマーケティング事例は、MarkeZine のインタビュー記事からです。
Cookie レスでも 「人単位」 分析を可能に - 新時代のデータ統合基盤の最新活用事例をいち早く共有! (PR 記事) |MarkeZine
記事のタイトルにある 「データ統合基盤」 とは、Meta (旧 Facebook) が提供するデータクリーンルームの 「Facebook Advanced Analytics」 のことです。
この記事で書かれているのは、ネスレ日本のペットフード 「ピュリナ ワン」 が実施した、データクリーンルームを使ってのデジタル広告の活用事例です。
ブランディング広告とダイレクト広告の活用
記事で興味深かったのが、ブランディング広告とダイレクト広告の活用についてでした。
以下は記事からの抜粋です。
コミュニケーションは主にデジタルで展開しており、ブランディング広告とダイレクト広告でそれぞれ異なる指標を用いて運用しています。
ブランディング広告の目的は、ペットの健康に役立つ有益なコンテンツをお届けし、ブランド認知と購入意向を高めること。一方、ダイレクト広告では無料サンプルの申し込みを CV としています。
2つの相乗効果
おもしろいと思ったのは、ブランディング広告とダイレクト広告の相乗効果です。
記事から引用します。
最大の発見は、重複による CVR のリフトが想定以上に高かったことです。ブランディング広告とダイレクト広告の両方に接触した方は、ダイレクト広告だけに接触した方と比較して、約 3 倍 CVR が高いという結果が得られ、ブランディング広告の CV への貢献が定量的に可視化されました。
(中略)
ダイレクト広告で唐突に初回の無料サンプルをオファーするのではなく、まずは、ブランディング広告でブランドの特長や提供する価値、ミックスフィーディングなどに関する有益な情報に触れていただく。そうして腹落ちした状態で、無料のサンプルをご案内する、という一連のストーリーがあったことが、高い効果に繋がったのではないでしょうか。
伝える順番が大事
ネスレ日本のブランディング広告とダイレクト広告の使い方には、マーケティングコミュニケーションに学びがあります。
一言で表現すれば、お客とのコミュニケーションで、始めから 「売らんかな」 を出さないことの重要性です。
ダイレクト広告の役割は、サンプル申込み、利用者登録、入会、購入など直接的な成果を得ることです。
受け手 (生活者) からすると、何も文脈がない中でのこのような提示には唐突感があり、人によっては拒否感を持ってしまいます。
ではどうするかと言うと、ブランディング広告が担う役割にヒントがあります。
売り手側が 「売らんかな」 の姿勢を最初から出すよりも、まずは自分たちのことを知ってもらいます。例えば大切にしている考え方や価値観、ブランドが目指す世界観です。あるいは商品やサービスのカテゴリーに関連するお役立ち情報を届けます。
このような役割を果たすのがブランディング広告なのです。
ブランディング広告の具体例
では具体的なイメージを共有するために、ブランディング広告の例を2つご紹介します。いずれも動画広告です。
動画の中では商品・サービスのことは見せず、企業名やブランドをわずかに表示しているのみです。動画の中のストーリーから、自分たちが理想とする世界観、ブランドメッセージを伝えています。
2つとも見て感動したので、よかったらぜひ見てみてください。
早稲田アカデミー
SK-Ⅱ
動画を見ていただくとわかりますが、企業やブランドからの 「売らんかな」 は全く入っていないんですよね。
ブランドへの共感をまずつくり、関係性ができた後に商品やサービスの詳細を伝えていく流れです。つまりブランディング広告を見てもらい、相手からの共感や腹落ちがあって、その次にダイレクト広告という順番です。
学べること
では最後に、今回のブランディング広告とダイレクト広告の話から学べることを整理してみましょう。
一言で言えば、学びは 「相手の立場になってマーケティングコミュニケーションをしよう」 です。
売り手側の 「売るために届けたい情報」 と、買い手の 「知りたい・見たい情報」 は同じではありません。この前提を忘れ、いきなり 「売らんかなの情報」 を出すと、相手からはスルーされたり、時にはネガティブなイメージを抱かれてしまいます。
コミュニケーションの順番が大事で、まずは自分たちのことを知って興味を持ってもらうことからです。時には商品とは直接関係がないお役立ち情報、ブランドメッセージ、描いている理想の世界観から地道に届けていきます。
ステップバイステップで関係性を築き、心理的な距離感を縮め、絆を少しずつくっていくといいです。急がば回れのマーケティングコミュニケーションに成功のヒントがあります。
まとめ
今回はブランディング広告とダイレクト広告の事例から、マーケティングコミュニケーションについて学べることを見てきました。
最後に学びのまとめです。
伝える順番が大事
- 売り手側が 「売らんかな」 の姿勢を最初から出すよりも、まずは自分たちのことを知ってもらう
- 例えば大切にしている考え方や価値観、ブランドが目指す世界観。商品やサービスのカテゴリーに関連するお役立ち情報
- 相手の立場になり、一歩ずつ心理的な距離感を縮め、絆を少しずつくっていこう
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