投稿日 2025/02/15

マーケティングで大事なのは 「おもしろいを言語化する力」 。マーケターが言語化能力を高める方法とは?

#マーケティング #言語化

マーケティングを成功させために、あなたは何が必要だと思いますか?

創造性のあるクリエイティブな資質?斬新なアイデア?戦略を立てる力?コミュニケーション力?それとも、豊富な経験でしょうか?

もちろんこうした要素は大事ですが、これらに匹敵する重要なスキルがあります。それは 「言語化能力」 です。特に自分が 「おもしろい」 と思ったことを言葉にして説明できる力が、マーケティング力を飛躍させる可能性を秘めています。

では、どうすれば言語化能力を身につけ、高められるのでしょうか?そして、実際のマーケティング活動にどう活かせるのでしょうか?

おもしろいと感じたことを言語化できる能力


おもしろさを言語化できる力は、マーケターにとって重要な資質です。

マーケティング活動においてアイデアや自分の思考を他者に伝えるために、明確に言葉で表現し、相手に理解してもらえる力が不可欠な要素だからです。

思考の結果とプロセスを言語化する重要性

マーケティングでは自分が感じたことやアイデアをチームやクライアント、そして注力顧客となるお客さんにしっかり伝える必要があります。

おもしろさを言語化できる能力は、マーケターにとってのコミュニケーションスキルであり、クリエイティブな思考をロジカルに相手に説明する力、相手に納得してもらう力、そしてプロジェクトや施策を前に進めるための土台となるスキルです。

言語化能力が高い人は、複雑なアイデアや施策であっても明確に伝えられ、チームの中で重要な役割を果たせます。

ロジカル思考と言語化能力

おもしろさを言語化できる力によって、感情を伝える場合にも自分の気持ちの裏にあるロジックを明らかにできます。

クリエイティブなアイデアや感覚的なインスピレーションを言語化できる人は、同時にロジカルな思考を持っている証拠だと言えます。マーケティングにおいては、高い言語化能力によって感覚だけの判断や説明にとどまらず、なぜそれが注力顧客 (ターゲット顧客) の心に響くのか、施策がどういった感情的な影響を及ぼすのかを言葉を使って論理的に説明できるということです。

コミュニケーションでの言語化の効果

ビジネスの現場では、同僚や上司、他部署、社外のパートナーなどの多くの関係者と連携し、アイデアを形にしていく必要があります。

この過程で自分が何を感じているのか、どのようなアイデアを持っているのかを正確に伝えることができなければ、何度もコミュニケーションのやりとりが発生して時間をとられ、また、アイデアが十分に活かされないばかりか、相手からの誤解を生んでしまう可能性もあります。

しかし言語化するスキルがあれば、コミュニケーションが円滑に進み、その結果として仕事がやりやすくなり、施策を成功に導けます。

クリエイティブな仕事での言語化能力

広告の映像や画像、コピー、企画、戦略立案などのクリエイティブな仕事では、自分が感じたことやインスピレーションを言語化することが大事です。

例えば、あるマーケティングキャンペーンのクリエイティブアイデアを直感的に思いついたときに、そのクリエイティブ案がなぜ成功するかの根拠を言葉で説明できる人は、アートとロジックの両方が入った施策を提案することができるでしょう。

キャンペーンのアイデアを他のメンバーやクライアントに説明するときに、感覚的な話に終始せず、構造化され具体的に言語化できれば、アイデアを具体的な形にでき、さらにプロジェクト全体を効率よく進められます。

おもしろさを言語化する能力を鍛える方法


では、自分が感じた 「おもしろさ」 を言語化する力を高めるためには、どうすればいいのでしょうか?

 「なんかいいよね」 という言葉で終わりにしない

ひとつ有効なのは 「なんかいいよね」 という言葉を禁句にしてみることです。何かを見ていいなと思ったときに、単に 「いいよね」 と言って終わりにしないようにするわけです。

誤解のないようにすると、何かに 「いいよね」 と思うこと自体を否定しているのではなく、そこで思考を止めないことが大事だということです。いいよねと感じたときにそこで思考停止にならず、「なぜいいのか。これこれこうだからじゃないか」 「なぜカッコいいのか。こういう工夫をしたからじゃないのか」 と考えてみるのです。

自分の感情や何かに違和感を持ったときに立ち止まり、なぜそう感じたのかや思ったのかを、自分なりに掘り下げてみるわけです。奥にある 「なぜ」 がわかり言葉にできれば、言語化能力を鍛える機会になります。

なぜそのドラマにハマっているのか

例えば、最近見ているあるドラマについて、ハマっている理由を身近な人に説明してみるといいでしょう。

他人に説明するためには、自分が普段から感じているおもしろさを深く考えることになります。ついつい見てしまうドラマを自分はどう感じているのか、なぜ惹かれたのかを深掘りする質問を自分自身に投げかけていきます。

その過程が言語化する訓練になります。

習慣的にやっている 「好きな行動の理由」 を言語化する

他にも言語化能力を磨く方法として、例えばよく行くカフェについて、なぜ習慣的にそうしているのかを掘り下げてみるのはどうでしょうか。

習慣になっているとそれについて考えることがなくなっている状態ですが、あらためて自分はなぜそのカフェを選んでいるのか、他とお店と何が違うのか、そのカフェでの顧客体験の何が特別なのか、こうした質問を重ねることでまだ言葉になっていなかった自分の思考や感情を言語化します。

ここで重要なのは、ただ感じたことを述べるだけで終わらず、そう感じたことの理由を他の人に理解してもらえるくらいまで言語化し、そして体系立てて構造化することです。

まとめ


今回はマーケティングでの言語化について考察をしました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • マーケターにとって 「おもしろさを言語化する能力」 は重要な資質。おもしろさを言語化できる人は、クリエイティブでありながらもロジカルな思考を兼ね備えている

  • 言語化能力が高ければ、複雑なアイデアもわかりやすく相手に伝えられる。例えばマーケティング施策がなぜ注力顧客の心に響くのかを説明することで、効果的なコミュニケーションになる。相手に腹落ちしして納得してもらうことによって、チームやプロジェクトを推進できる

  • 言語化能力を鍛えるためには、日常の 「おもしろい」 を深く掘り下げる訓練が有効。「なにかいいよね」 で終わらせず、なぜよいと感じたのかを掘り下げる。また、なぜそれに惹かれるのかを身近な人に説明することも効果的

  • 自身の内側に向けて深掘りをする問いを自分に投げかけることで、まだ言葉になっていなかった思考や感情を具体的に言葉にできるようになる


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。