
Free Image on Pixabay
このブログでは、訪問いただいた方に役に立つと思ってもらえるような本を紹介しています。読んだ本の書評を書いたり、エントリーの参考情報として本の内容を引用しています。
今回のエントリーでは、2017年10月の1ヶ月でクリックが多かった本をご紹介します (5冊) 。順番は第1位から昇順です。
- 世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか - グーグルの個人・チームで成果を上げる方法
- WHY から始めよ! - インスパイア型リーダーはここが違う
- How Google Works - 私たちの働き方とマネジメント
- イシューからはじめよ - 知的生産の 「シンプルな本質」
- ストーリーとしての競争戦略 - 優れた戦略の条件
世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか - グーグルの個人・チームで成果を上げる方法 (ピョートル・フェリークス・グジバチ)
この本のテーマの一つは、仕事の生産性をいかに上げるかです。本書には、著者の考えやグーグルの働き方が紹介されています。
興味深く読めたのは、「自分の今の仕事をなくす」 という考え方でした。自分の仕事がなくなることを恐れるのではなく、むしろ 「どうしたら自分の仕事を IT に置き換えられるか」 「どうすればもっと自動化・省力化できるか」 を考えてほしいと著者のピョートル氏は言います。
自分の今の仕事なくすためにどうすればよいかと考えると、今の仕事のやり方に無駄があるのではないかという視点を持てます。今のやり方のままでよいなのか、それとも変えられることがないかでは、どちらの視点を持っているかで違いは大きいでしょう。
注意が必要なのは、自分の仕事をなくすことが最終的な目的ではないことです。自分の仕事をなくすことは手段にすぎません。大切なのは、なくした分の自分の時間やエネルギーを、新しいことに振り分けることです。
著者のピョートル氏に、フェイスブックで書評エントリーを取り上げていただきました。
書評エントリーはこちらです。
書評: 世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか - グーグルの個人・チームで成果を上げる方法 (ピョートル・フェリークス・グジバチ)
WHY から始めよ! - インスパイア型リーダーはここが違う (サイモン・シネック)
TED で 優れたリーダーはどうやって行動を促すか をプレゼンしたサイモン・シネックの著書です。
本書で紹介されているアイデアは、「人が動かされるのは、何を (what) ではなく、なぜ (why) である」 です。Why は、自分の動機・ビジョン・理念です。自分が信じていることを語り、共感が生まれれば人々を惹きつけられるという考え方です。
本書ではゴールデンサークルというフレームが紹介されています。中心から why, how, what の三重の円です。

ポイントはこの順番です。著者は、優れたリーダーは why → how → what の順で伝えると言います。
関連のエントリーはこちらです。
Why からはじまるゴールデンサークル:シンプルかつ応用度の高い思考アイデア
How Google Works - 私たちの働き方とマネジメント (エリック・シュミット / ジョナサン・ローゼンバーグ / アラン・イーグル / ラリー・ペイジ)
グーグルの組織論や人という観点から、グーグルがこれまでどのようにマネジメントをしてきたかが紹介されています。
この本の内容を簡単に言うと、グーグルが求める人材である 「スマート・クリエイティブ」 をいかに大切にしているか、彼ら彼女らが持つ能力を最大限に発揮するためにどういう環境や仕組みをつくり上げてきたのかです。
グーグルの企業文化、採用を非常に重視していること、人事や組織のあり方、スマートクリエティブに自由と権限を与え、絶え間ないイノベーションをいかに実現するかが書かれています。
印象的だったのは以下でした。
リーダーシップ
グーグルが求めるリーダーシップは、自らの職務あるいは組織でリーダーシップを発揮した経験に加え、正式なリーダーに任命されていなくてもチームの成功に貢献しているか。正式なリーダーという立場ではなくても、リーダーシップを持って行動できるかどうか。
ラーニングアニマル
スマートクリエイティブになるために必要なのは、常に新しいことを貪欲に学ぶこと。特に、失敗をした時に何を学ぶか。単に何かを学んで終わりではなく、学んだことを 「次」 に活かすことが大切。「学ぶ → 学習内容を活かして成果を出す → 学ぶ → … 」 、というサイクルを回し続ける。
プロジェクト管理
グーグルでの経験則から導かれたプロジェクト管理手法は、リソースを 「70対20対10」 に振り分けること。70をコアビジネス、20を成長プロジェクト、10を新規プロジェクトとする。
グーグルについて、特にマネジメントやカルチャーのことをよく理解できる一冊です。関連エントリーはこちらです。
- Google が全社員に求めるリーダーシップとは
- Google で活躍する 「ラーニングアニマル」 とは?
- Google のプロジェクト管理ルール 「70 : 20 : 10」 がシンプルで使いやすい
イシューからはじめよ - 知的生産の 「シンプルな本質」 (安宅和人)
本書で強調されているのは、知的生産レベルの高さは、「イシュー度が高い」 「解の質が高い」 の2つの軸があることです。
前者の 「イシュー度が高い」 とは、課題設定として適切であることです。後者の 「解の質が高い」 とは、問題解決した際のインパクトが大きいことです。
2つのうち、優先して考えるべきは前者のイシュー度です。本当に答えを出すべきことなのかを徹底的に掘り下げて考えることです。
本書を扱った関連エントリーです。
ストーリーとしての競争戦略 - 優れた戦略の条件 (楠木建)
この本の内容紹介は、次のように書かれています。
戦略の神髄は、思わず人に話したくなるような面白いストーリーにある。
大きな成功を収め、その成功を持続している企業は、戦略が流れと動きを持った 「ストーリー」 として組み立てられているという点で共通している。
戦略とは、必要に迫られて、難しい顔をしながら仕方なくつらされるものではなく、誰かに話したくてたまらなくなるような、面白い 「お話」 をつくるということなのだ。
本書では、多くの事例をもとに 「ストーリー」 という視点から、究極の競争優位をもたらす論理を解明していく。
本書で書かれていたことで、思わず人に話したくなったのは、ある競争戦略フレームでした。SP と OC という戦略概念です。
- SP (Strategic Positioning): ポジショニングの戦略。他社と違うところに自社を位置づけること。SP は、何をやる・何をやらないかという意思決定や活動の選択
- OC (Organization Capability): 組織能力による差別化。他社には簡単に真似できない組織や仕組みとしての強みのこと。表面的には真似することができても、実際の組織内での実行レベルでは中々真似できないもの。時間とともに常に進化していく
SP が他社と違ったことを 「やる」 に対して、OC は他社と違ったものを 「持つ」 ことです。SP は短期的な戦略的意思決定で、OC は中長期での競争優位性となるものです。
SP と OC のわかりやすい例えが、レストランです。
SP (やること) はどんなメニューを提供するかです。例えば日本食なのか中華なのかイタリアンかです。日本食でも高級か庶民的か、あるいは伝統的な料理か新しい料理かの、他店との違い (ポジショニング) です。
一方の OC (持つこと) は、腕前のよい料理人やシェフを雇い、どんな厨房や、料理の注文・調理・提供する仕組みを持つか、あるいは仕入先やどんな素材を持っておくかです。