
Free Image on Pixabay
1167回目のブログ更新です。
なぜ、優秀な人ほど成長が止まるのか - 何歳からでも人生を拓く7つの技法 という本をご紹介します。
このエントリーで読んでいただきたい内容は、以下です。
- この本に書かれていること
- 全ては師である
- 知識と知恵。AI と人間
この本に書かれていること
まずは、本書の内容を簡単にご紹介します。
本書の内容
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
残念な人、一流の人、その差は紙一重。
あなたの成長を阻む 「7つの壁」 を打ち破り、人生を拓くための 「7つの技法」 とは。「人は何歳からでも成長できる」 。田坂流「成長の思想」 の決定版。
成長が止まる7つの壁
この本で指摘する成長が止まる壁は、7つあります。
- 学歴の壁: 「優秀さ」 の切り替えができない
- 経験の壁:失敗を糧として 「智恵」 を掴めない
- 感情の壁:感情に支配され、他人の心が分からない
- 我流の壁: 「我流」 に陥り、優れた人物から学べない
- 人格の壁:つねに 「真面目」 に仕事をしてしまう
- エゴの壁:自分の 「エゴ」 が見えていない
- 他責の壁:失敗の原因を 「外」 に求めてしまう
7つを俯瞰すると、慢心や奢りも含めた現状への満足、自分の限界を意識的にも無意識にも決めてしまう 「自己限定」 が起こっている状態です。
本来はまだ可能性があるにもかかわらず、自分の成長へ壁を超えられません。
答えではなくヒント
7つのそれぞれの壁に対して、本書ではどうすればよいかが書かれています。
具体的なストーリー例も混じえ、どんな壁なのか、そして壁を乗り越えるための示唆が得られます。「示唆」 としたのは、いずれも直接の答えそのものは書かれているわけではないからです。読んだ内容から自分は何を感じるか、どう考えるか、何よりもどんな行動を取るかです。
全ては師である
ここからは、本書を読んで思ったことです。
特に考えさせられたことの1つめは、「全てのことは師である」 という考え方です。
あらゆる人、出来事には学びの機会があり、自分の捉え方や解釈、意味付け次第で成長の機会になります。
興味深いと思ったのは 「引き受けの技法」 という考え方でした。
引き受けの技法とは、自分に直接的な原因や責任があるかどうかにかかわらず、失敗やトラブルが起こったことを全て 「自分の問題」 として引き受けることです。
そして、なぜ失敗やトラブルが起こったのか、自分の心の姿勢が引き寄せたのではないかと受け止め自分を見つめ直す機会にします (あくまで自分の中で捉え、直接的に法的な原因を取るというわけではありません) 。
引き受けの技法は、人生で起こる出来事の全てが、自分に大切なことを教えてくれるという学びの姿勢です。
大事だと思うのは、自分の姿勢だと捉えることによって自分を見つめ直し、そこから何を学びとして得るかです。単に自分の責任として終わるのではなく、引き受けたところからが始まりです。
大切なのは、自分の問題として受け止めた後に、どんな解釈をし、その意味を考えることです。
知識と知恵。AI と人間
考えさせられたことの2つめは、「知識」 と 「知恵」 の違いです。本書では、それぞれ次のように説明します。
- 知識:言葉で表されるもの。書物やウェブで学べる。文献知や言語知
- 智恵:言葉で表せられないもの。経験や人を通じてしか掴めない。実践知や経験値 (本書では 「智恵」 という漢字が使われています)
本書の指摘で気付かされたのは、AI の時代になると知恵の重要性が相対的に上がることです。一方で知識は相対的に下がります。
知識は AI が再現、代替できます。なぜなら、知識は言葉や数字に落とし込めるので、機械への学習データに変えられます。人間が機械に教えることができます。
一方の知恵は言葉では表せず実践知や経験値という暗黙知です。学習データに変換しきれないのでアルゴリズムにはできず、AI は学習ができません。
知恵は人間しか持ちえないものです。知恵をいかに増やし高めるか、そのためには行動や実践、経験をし、現場や人から蓄積し続けることです。
最後に
この本からは、成長とは何のために必要なのかを考えさせられました。それは人生を拓くためです。
単に成功者になるためという意味ではなく、与えられた時間と人生において、自分の持つ可能性を開花させ生きていくことです。
7つの壁は、自分の慢心や奢りからの自分で可能性を定めてしまう現状満足、自己限定によって作られます。まずは壁を認識すること、そのためにどうするかを考えさせられた本でした。
なぜ、優秀な人ほど成長が止まるのか - 何歳からでも人生を拓く7つの技法 (田坂広志)