
今回は書評です。
ご紹介する本は、デッド・オア・アライブ (楡周平) です。
この記事でわかること
- 本のストーリー
- イノベーションのジレンマ
- 自らディスラプターになる
- 既存事業の横で失敗しておく
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、この本も手に取ってみてください。
この本に書かれていること
デッド・オア・アライブ はビジネス小説です。ストーリーを一言で表現すると、次世代自動車を巡る日本メーカーの開発競争です。
登場するメーカーは次の通りです。
登場するプレイヤー
- コクデン。次世代リチウム電池を開発。東芝がモデル
- イナズミ。軽自動車メーカー
- タカバ。トヨタがモデル
- ミライモーターズ。EV スポーツカーを開発するベンチャー企業。日本版のテスラ
以下はこの本の内容紹介からの引用です。
巨大電機メーカー・コクデンは、自社技術の粋である新型電池の市場を EV (電気自動車) に探ろうとしていた。
一方、経営不振の軽自動車メーカー・イナズミの中にも EV への動きが。さらに、世界的自動車メーカー・タカバが EV への戦略転換のため、そのイナズミを飲み込もうとしていた――。
一気に世界中が EV に向けて走り出し、戦場と化した自動車業界の最先端を鋭く先読みしたビジネス・サバイバル・サスペンス!
イノベーションのジレンマ
この本を興味深く読めたのは、イノベーションのジレンマの観点からです。
コクデン、イナズミ、タカバの三社に共通するのは、保守的で過去の成功体験を捨てきれないことでした。これが足かせになり新しい事業への挑戦に踏み切れません。
例えばトヨタ自動車がモデルのタカバは、ビジネスモデル、バリューチェーン、業界の産業構造に縛られ、既存の状況を打破することができません。ガソリン車を製造販売するオペレーションの完成度が高すぎ、事業と組織規模が大きいがゆえのイノベーションのジレンマです。
変化の兆しを捉えられず対応が遅れ、ゆっくりと沈んでいくように事業が衰退していきます。
自らディスラプターになる
ストーリーに直接関わるので具体的には触れませんが、ターニングポイントは自らディスラプター (破壊者) になるという、過去との決別ができるかどうかです。
このままでは座して死を待つのみという危機感が背中を押しました。これまでの成功しているやり方、ビジネスモデルを自分たちで壊していくのです。
他社にやられるくらいなら、その前で自らでという姿勢です。
常日頃からの新しい挑戦
小説では、「もう後がない」 という状況になって初めて保守的な会社でも変化が起こりました。
理想を言うならもっと前の段階で自ら変化すべきでしょう。もはや変えないと手遅れになるというギリギリの状態では遅いのです。
有事になってからの対応ではなく、平時から意思を持って新しいことにチャレンジをする、種まき活動の重要性です。小さく早めの失敗ができる状況で、余裕を持って新しいことを取り組みます。
これまで成功している既存モデルを維持し強化しつつ、新しいチャレンジを並行してやっていきます。
まとめ
今回は デッド・オア・アライブ をご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
最後に今回の記事のまとめです。
本書の概要
- ビジネス小説。ストーリーは次世代自動車を巡る日本メーカーの開発競争
- 自動車業界の今後の動向を先読みした内容
イノベーションのジレンマ
- 興味深く読めたのはイノベーションのジレンマの観点から
- 保守的で過去の成功体験を捨てきれず足かせになり、新しい事業への挑戦にできない
自らディスラプターになる
- このままでは座して死を待つのみという危機感が、これまでの成功とビジネスモデルを壊していく
- 自らディスラプター (破壊者) になる過去との決別ができるか
常日頃からの新しい挑戦
- 小さく早めの失敗ができる状況で、余裕を持って新しいことを取り組む
- 成功している既存モデルを維持し強化しつつ、新しいチャレンジを並行してやる
デッド・オア・アライブ (楡周平)