出典: PR TIMES
今回のテーマは、お客さんから 「これ欲しいかも」 と思ってもらうためのコミュニケーション方法です。
おもしろいと思った雨具の売らないお店を取り上げ、マーケティングに学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- 雨具の売らないお店 「アメトハレ」
- 具体的な利用シーンでの疑似体験
- 買い手目線での利用シーン体験から、「欲しい」 気持ちを生む方法
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
雨具の売らないお店
レインコートを主力で手掛けるカジメイクが、販売を行わないショールーミング型店舗 「AMETOHARE (アメトハレ) 」 をオープンしました (2022年5月) 。
出典: PR TIMES
店内にはレインウェア商品の特徴や機能を体感できるコーナーがあり、試着するスペースもある体験型店舗です。買いたい場合は、商品の近くにある QRコード からカジメイクの EC サイトにアクセスします。
おもしろいと思った取り組みは、日経新聞の記事の中にありました。記事から抜粋すると、
店員が防水性能など商品の機能を説明するほか、自転車も置き、レインコートを着て乗ったときに裾が邪魔にならないかといったことを確認してもらう。
具体的な用途での疑似体験
レインコートを着て自転車に乗る時に、レインコートの裾が自転車のギア部分に挟まれないようにアドバイスをしてくれます。
ポイントは、店内に置いてある自転車に実際に乗りながら確かめてもらうことにあります。お客さんはレインコートを着て自転車に走る状態を店内で疑似体験ができるわけです。
商品を単体で説明するだけで終わっていないのが良いです。レインコートの周辺領域にまで広げ、使うシーンを具体的に設定して商品を提案しています。雨の日にレインコートを着て自転車に乗るという用途をイメージしやすいように、わざわざ店内に自転車を用意しているのです。
買い手目線での使い方の提案
カジメイクはレインウェアを扱っているので、レインウェアが中心になりますが、買い手 (生活者) にとってはそうではありません。レインコートは雨の日に使うモノの中の 「one of them」 という1つにすぎません。
生活者の関心は、雨の日に自転車に乗っても服や体が濡れてほしくない、なるべく快適に移動したいことです。
レインコートは着方によっては自転車に挟まる可能性があることは、もしかしたら生活者は知らないかもしれません。カジメイクはレインウェアを売るメーカーとして、商品を売って終わりではなく、買ってもらった後もしっかりとケアをしています。
商品が具体的にどういうシーンで使われるのか、その利用シーンで自社商品がうまく活用されるためにはどうすればいいかを考え、お客さんへの提供価値を最大化するための自転車を店内に設置してのアドバイスやレクチャーなのです。
買い手にとっては具体的な用途での使い方や注意点を教えてもらうことで、自分の日常で使うイメージが頭の中で描けます。利用シーンによって普段の生活と商品がリンクすれば、「それなら欲しいかも」 と思ってもらえるわけです。
学べること
では最後に、カジメイクの売らないお店での接客から学べることを整理してみましょう。
一言で表現すれば、学びは 「商品の特徴や良さは、具体的な使い方の中で伝えよう」 です。
自社商品の機能やデザインを単体でアピールしても、買い手にとっては 「商品だけが切り出されている状態」 なので、商品の良さや魅力を自分ごと化しにくいです。
買い手が、どんな便利さやうれしさなどの価値 (ベネフィット) があるかをイメージしやすいのは、自分に当てはまるシチュエーションの中においてです。「こういう使い方で、こんな良さがあります」 という、お客さんの使い方を設定してのコミュニケーションで訴求をすると良いです。
まとめ
今回は雨具の売らないお店の接客方法を取り上げ、マーケティングコミュニケーションに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
売り手と買い手のギャップ
- 売り手は扱う商品が中心になるが、買い手 (生活者) にとっては商品は利用シーンの中では 「one of them」 にすぎない
- この認識がなく売り手が商品を単体で機能や特徴をアピールしても、買い手には商品だけが切り出されている状態。商品を自分ごと化しにくい
利用シーンから 「欲しい気持ち」 を生む方法
- 買い手が、商品の価値をイメージしやすいのは、自分に当てはまるシチュエーションで商品を使う時において
- 利用シーンによって普段の生活と商品がリンクすれば、「それなら欲しいかも」 と思ってもらえる
- 商品の特徴や良さは、具体的な使い方の中で伝えよう
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